作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(612)」 | ロロモ文庫

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父と子(前)

俺は父親になるのは不安だと言う山岡。「俺と雄山の関係はひどいものだった。俺は怖いんだ。生まれて来る子供と俺と雄山みたいな親子関係を作ってしまったらと思うとな。ひどい親子関係の中で育った人間は悪い親子関係を意識の底にすりこまれているから悪い親子関係しか作れないんだ」「わかりました。私の料理を食べてもらいます」「私の伯父にも来てもらうわ」

お膳形式に仕上げたと言うチヨ。「具の入ってない玉子と出汁だけで作った茶碗蒸しよ」「茶碗蒸し好きな人はこっちのほうが嬉しいんじゃないかしら」「だし巻き玉子の田楽よ。だし巻き玉子を角に切り、酒で溶いて甘みをつけた味噌を塗って炙り焼きにしたわ」「だし巻き玉子の旨味に田楽の香ばしさが加わって、食欲が増すわ」「完熟のプチトマトにクルミのタレをかけたもの」「香ばしいクルミのタレが甘いトマトの風味ととても合うわ」

「菜の花のおひたしは苦味のないところを選んで、醤油と出汁にスダチの汁を絞ったものをかけてある。これは中華料理のサンチョイパオ。ウズラの身を叩いたものとニラ、シイタケ、タケノコのみじん切りを炒めて醤油で味づけしたもの。レタスの葉で包んで食べて」「この菜の花のおひたしのさわやかな味」「このサンチョイパオ、少し濃厚な味だけど、それをレタスで包むとさっぱりする」

「最後は牛肉どんぶり。5ミリの厚さに切った牛肉を一晩味噌の中に漬け、その肉を中はレアになるよう焼いて、1センチ幅ほどの細切りにする。ご飯の上にもみ海苔を敷いて、その上に肉を並べ、ワサビを盛り付ける」「味噌味の牛肉はこんがりと香ばしくて、それに加えて、海苔の香り、ワサビの風味、そのすべてが渾然となっている」

山岡の牛肉どんぶりはワサビが入ってなくて、子供用の食器だと呟く栗田の父。「士郎さん、この食器を覚えているでしょう」「ぬう」「この食器と今日の献立は先生の愛情の深さが表れているんです」