作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(600)」 | ロロモ文庫

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ジャガイモ嫌い!!

俺はジャガイモは嫌いだと山岡に言う中松。「子供のころ、剣道の稽古かえりにおやつに出された、ふかしたジャガイモを食べた。稽古のあとで喉が渇いているところに、ほこほこしたジャガイモを詰め込んだからたまらない。呑み込むことも吐き出すこともできず、呼吸ができなくなり死にそうになったことがある。それ以来、ジャガイモを見ると、あの時に喉に詰まった恐怖を思い出す」「ぬう。情けない男だ。俺がジャガイモ料理を食わせるようにしてやる」

ジャガイモグラタンを作る山岡。「ジャガイモの薄切りにホワイトソースをかけ、チーズをかけてオーブンで焼いた。たっぷりミルクとバターを使って作ったから、ジャガイモのぱさついた感じはしないはずだ」「げげええ。ダメだ。ホワイトソースなんか使うから余計にジャガイモの匂いが立つよ。あの時、喉に詰まったジャガイモの匂いが忘れられないんだ」「ぬう」

カレーイモを作る山岡。「メリケン粉をよく煎ってカレー粉を入れ、スープで溶いて塩味をつ固めのカレーペーストを作り、そのルーをジャガイモにたっぷりまぶしてオーブンで焼く。ヨーグルトソースは唐辛子の粉とクミンを加えたもの。カレーの風味をつけて香ばしく焼けた芋をあっさりしたヨーグルトソースで食べるとさっぱりしてうまい。しかもこのジャガイモは男爵イモのようにほこほこしないメークインだ」「げげええ。いくらカレー風味でもヨーグルトソースをつけてもメークインでもジャガイモはジャガイモだ。この匂い、この味、ダメだ」「ぬう」

これが最後だという山岡。「ぬううう。ジャガイモが丸ごとスープに浸っているだけじゃないか」「いいから食え。ジャガイモはスープをたっぷり吸わせて食え」「ぬ。これがジャガイモか。すごくすっきりしている。ジャガイモのあの土臭さがない。しかもさらさらと口の中で溶ける」「これはジャガイモのバター煮だ。ダシはカツオの一番だしを使う。ジャガイモに有塩バターを入れ、超弱火で煮込む。すると40分くらいでジャガイモがダシに浮かんで、さらに煮込み続けるとまた沈んで、2時間半たつともう一度浮かんでくる。それからまだ30分ほど煮込むと最高の食べごろになる」「じゃあ4時間近くも煮込むのか」「ジャガイモグラタンとカレーイモはジャガイモの本質から逃げる料理だった。だかこれはジャガイモに正面から正攻法で取り組んで、ジャガイモのうまさを素直に引き出そうとする料理だ」「いやあ、ジャガイモってこんなに美味いのか。目から鱗だぜ」