作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(593)」 | ロロモ文庫

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究極の紅茶(前)

西洋骨董のマイセンのティーポットが欲しいと山岡に訴える板山。「じゃあ買えよ」「それがダメなんだ。俺は店主の深川さんにこの大きさのポットならティーバックが4つはいると言った。そしたらティーバックの紅茶を飲まれる方には売る気がないと言われた。だから俺に紅茶のことを教えろ」「ぬう」

板山に試験をしたいと言う深川。「A、B、C、この紅茶3種類はそれぞれ違う。飲んでみて、この3つがどう違うか答えて。まずAから」「ぬ、Aはダージリンだ」「見事なダージリンだ。まず香りが素晴らしい。バラの香りが鼻に抜けていく。味も渋み、甘味、酸味、そのすべての釣り合いが取れてる上に、ボディがしっかりしてるから、舌の上にくっきりしたピラミッドが立つ。しかも飲んだ後の後味がさわやかで甘い。そしていつまでも香りが口から鼻に漂って気持ちが浮き立つ」

「次はBよ」「む、Bはスリランカだ」「見事だ。ダージリンのようなおおらかでふっくらとした風味ではなく、味も香りも強く鋭い。だかそれは切れ味が鋭いという感じだ。日本人に一番なじみ深いのがスリランカだ。ミルクを入れたり、レモンを入れたりするのにダージリンよりスリランカの方が向いている。そういう楽しみ方のできる紅茶だ」

「最後にCよ」「ぬう。これはダージリンの仲間だけど、さっきのに比べてだいぶ落ちる。これはティーバックの中身だ」「ティーバックだから先ほどの高級品というわけにはいかない。しかも色を濃く出すためにダストと呼ばれる粉茶が入ってる。味も香りも先ほどの高級品と比べものにならない」

「板山さん、全問正解よ」「じゃああのティーセットを売ってくれ」「そうはいかないわ」「ぬ」「今の試験は第一関門。山岡さん、板山さんに究極の紅茶を教えてあげて」「え」「私、海原雄山先生に素晴らしい紅茶を飲ませていただいたことがあります。それはまさに至高の紅茶でした」「……」「至高の紅茶に負けない究極の紅茶を私に飲ませてください。そうしたら、あのティーセット、板山さんにお売りします」「ぬううう。まず至高の紅茶を飲ませろ」