グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち | ロロモ文庫

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学生たちに出した廊下の黒板に描いた数学の難問が、誰かが解いているのを知って驚くマサチューセッツ工科大学の数学教授で数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞を獲得したことのあるランボー。チャックやモーガンやビルとバッティングセンターやバーで遊び、酔っぱらって喧嘩をするウィル。さらに超難問を黒板に描くランボー。問題を解くウィルに君の名はと聞くランボー。「くたばれ」「なんだと。おい、待て」

ハーバード大学の学生がたむろするバーにチャックらと行くウィル。女学生のスカイラーをナンパするチャックに、南部の植民地時代の前資本主義的な土地制度の支配について説明してくれと言うクラーク。恐るべき知識量を披露してクラークを沈黙させるウィル。「女にもてたくて俺の友達をコケにしようと?文句があるなら表に出ろ」「何も文句はない」あなたが気に入ったと電話番号を描いた紙をウィルに渡すスカイラー。

ウィルがバイトの清掃要員であることを突き止め、傷害事件で裁判中のウィルに保釈金を払って仮保釈させてもいいと言うランボー。「あんたは?」「くたばれと言われた教授だ。保釈の条件は2つある。毎週、私と会うこと。君が数学の天才なのか確かめたい」「悪くない」「二つ目の条件はセラピーだ。君はあまりの前科が多すぎる。その素行を直さないと、保釈は認められない」「セラピーはイヤだな」「ムショ暮らしよりマシだろ」

ウィルの天才ぶりに驚くが、どのセラピストもウィルに手を焼いて辞めてしまうことに困り、学生時代の同級生だったバンカーヒル市民大学の講師をしているショーンに会いに行くランボー。「最後に会ったのはいつだったかな」「妻が死ぬ前だ」「パリで会合があって、葬儀に行けなかった」ウィルは百万人に一人の天才だと言うランボー。「だが心を閉じている。君に心を開いてもらいたい」「なぜ僕に」「育った地域が似ている」「スラム生まれの天才か」

ショーンのセラピーを受けるウィル。「下町育ちだって?」「この本は学者らしく見せかけるだけの本?」「本が好きか」「アメリカ合衆国の歴史完全版より、合衆国の人民史を読んだほうがいい。高い金を出してくだらない本ばかりだ」「タバコはよせ」「あれはあんたの描いた絵?」「そうだ」「ひどい絵だ。ホーマーをパクってる。でも色使いはいい。ゴッホになれるぞ」「南仏に移住しよう」「嵐の中の舟か。一人しか乗ってない。結婚生活に失敗したのか」「……」「奥さんが逃げたのか」「妻を汚すようなことを言うな」「……」「わかったな」「時間切れだ」

スカイラーとデートするウィル。「私は6月からスタンフォード大学に」「デートはあまりしない」「そうなの」「本当はセックスしたいけど、今日はキスだけで満足だ」「じゃあやりましょう」「ここで?」「そうよ」

ショーンのセラピーを受けるウィル。「君が絵について言ったことを考えた。そしてある結論が出た。君は自分の言葉がわかってない子供だ」「どうも」「ボストンを出たことは?」「ない」「美術の話をすると君は美術本の知識を言う。ミケランジェロのことは何でも知ってるだろうが、彼の作品を見たことがない。戦争の話ならシェイクスピアを引用。だが本当の戦争は知らない。ガンになった彼女の手を病院で握り続ける。君はその悲しみと愛を知らない」「……」「今の君は生意気に怯えた若者。だが天才だ。それは認める。だが絵一枚で傲慢に僕を切り裂いた」「……」「僕は君自身の話を聞きたい。君と言う人間に興味があるから」「……」「後は君次第だ」

ショーンのセラピーを受けるウィル。「セックスの経験はある」「よかったな」「先週もデートした。楽しかった。頭がよくて面白い女の子なんだ。でも今度会うと退屈で頭がよくないかも。今のままなら完璧だ」「君も完璧な自分を壊したくないのか」「……」「素晴らしい哲学だ。誰とも本気で付き合わず一生を過ごす」「……」「妻は緊張するとオナラをする癖があった。そういう小さなことが今では一番懐かしい。僕だけが知ってる癖。僕の癖も彼女はみんな知っていた。問題は君らが互いにとって完璧か。それを理解するには飛び込むしかない」「よくしゃべる医者だ」「答えは自分で探すんだ」

スカイラーとデートするウィル。「家は近所?」「いや、南ボストンだ」「どんな家庭」「どこにでもある普通の家庭さ」「大勢兄弟が?」「カトリックだからね」「会わせて」「そのうちにな」

ショーンのセラピーを受けるウィル。「奥さんに死なれて今の気持ちは?」「悲しみは忘れてた。喜びの価値を思い出させる」「何も後悔はない?」「それは今でも悲しい。だが妻との日々は一日たりとも後悔しない」

スカイラーとデートするウィル。「あなたの部屋を見たいわ」「わかってる」「お友達やお兄さんたちとも」「こっちには出てこない」「私たちが下町へ」「遠いよ」「私を会わせたくないの」「連れて行くよ」「友達にも会わせて」チャックたちにスカイラーを紹介するウィル。「楽しかったわ」「そうか」「今夜はあなたのところへ。お兄さんたちと会いたい」「また別の機会に」

セラピーは順調だとランボーに言うショーン。「将来の話は?」「まだ過去を突っついてる」「彼を雇いたいと言う申し出が多い。最先端の研究所。彼には理想的だ」「彼にはまだ早い」「ウィルはアインシュタインと同じ天分がある。問題は方向付けだ。ウィルに方向性を与え、世の中に役立つ道を」「本人に代わって、彼を操作するのか」「彼の人生を破壊するなんてことを考えるわけない」「彼の夢もフィールズ賞か」「これは僕らの競争心を超えた問題だ」「彼の人生は彼に考えさせるべきだ」

スカイラーとデートするウィル。「その記憶力はどこで?」「自然になんでも記憶しちゃうんだ」「有機化学の公式も?」「自然に」「楽しく?」「まあな」「楽しく有機化学を学ぶ人間なんて聞いたことないわ。第一、あなたに学ぶ必要があるの」「モーツアルトやベートーヴェンは自然にピアノで曲を奏でる。それと同じようなものだ」「不公平だわ。ここに来て4年も発ってから出会うなんて」「でも出会った」

一緒にカリフォルニアにと言うスカイラーに、それは重大なことだと言うウィル。「カリフォルニアに言って俺のことがイヤになったら?誘ったのは自分だから、俺を追い返せず、仕方なく一緒に暮らしていくのか」「そんなことは言ってないわ」「カリフォルニアなんて無理だよ」「どうして?」「俺はここに仕事があって、ここに住んでいる」「何を怖がってるの。自分の小さな世界が安全だから」「俺の世界を知ってるのか。君はスラム育ちのボーイフレンドと火遊びして、育ちのいい金持ちの息子と結婚して、めでたしめでたしさ」「自分の恐れを棚に上げて、私を責めないで」「俺が何を恐れてる」「私に愛されなくなることを」

俺は嘘つきかと言うウィルにお兄さんの話はと聞くスカイラー。「話してよ」「兄弟はなく孤児ってことを聞きたいのか。ガキの頃、継父に煙草を押し付けられたって話を」「あなたを助けたい」「俺の背中に助けてくれと書いてあるか」「一緒にいたいのよ」「いい加減なことを言うな」「愛してないと言ったら、あなたの人生から出て行くわ」「愛してない」

働くのが嫌なら私の紹介で大学にと言うランボーに、一生かけて公式の解説をするのかと聞くウィル。「こんな問題、俺には朝飯前だ。簡単すぎて遊びにもならない。モタモタする先生を見てるのが苦痛だ」「……」「こんなもの、時間の無駄だ」「私には解けない」「お気の毒」「まったくだ。君に会っていなければ、夜も安眠でき、君を脅威に感ずることもなかっただろう」

ショーンのセラピーを受けるウィル。「君には親友はいるのか」「親友の定義は?」「刺激的な友達」「チャック」「魂に触れるのが本当の親友だ」「いるさ」「誰だ」「シェイクスピア。ニーチェ。フロイト」「皆、死んでる」「生きてるさ」「彼らと話せるか?」「話すには霊媒師が必要だ」「現実世界の君は自分が傷つくことを恐れ、先に進もうとしない」「就職なんか」「就職などどうでもいい。君は好きな道を選べるんだ。君は何をしたい?」「掃除夫も立派な職業だ」「なぜ君はわざわざマサチューセッツ工科大学を選んだ。なぜ誰も解けない問題をこっそり解いた?」「君は何をしたい?」「あんたの心の友は?」「死んだ」「死んだからあんた人生を降りた?」「勝負はしたぞ」「でも負けた」「君は何をしたい?」「……」「ああ言えばこう言う。なのに簡単な質問に答えられない。答えを知らないんだ」

スカイラーは発ったとチャックに言うウィル。「カリフォルニアで医者の勉強を」「残念だな」「俺は一生ここで働いてもかまわない。近所同士で家庭を持ち、ガキを野球に連れて行く」「ウィル。親友だからはっきり言おう。20年経ってお前がここに住んでたら、俺はお前をぶっ殺してやる」「何の話だ」「お前は俺たちと違う」「俺は自分の好きに生きる」「俺は50になっても工事現場で働いてもいい。だがお前は宝くじの当たり券を持っていて、それを現金化する勇気がないんだ。お前以外の皆はその券を欲しいと思ってる。それを無駄にするなんて、俺は許せない」「無駄だとなぜわかる」「俺はこう思ってる。毎日、お前を迎えに行き、酒を飲んでバカ話。それも楽しい。だが一番のスリルは車を降りて、お前んちの玄関に行き、ノックしても出てこない。何の挨拶もなくお前は消えている。その瞬間を味わいたい」

このままでは彼は刑務所行きだとショーンに言うランボー。「友達はあのゴリラどもか」「そうなった原因を考えたことは?」「君もやはり彼の頭に負けたんだ」「なぜ彼は殻にこもるのか。まず愛を知らず、親に捨てられ」「フロイト説か」「ゴリラと付き合うのはヤツラが味方してくれる友達だからだ。そして人に捨てられる前に人を捨てる。防衛本能なんだ。だから20年間孤独。下手に無理強いすると同じことの繰り返しだ」「だから敗残者になっていいのか。僕の成功を腹立たしく思うのなら」「バカな」「本当さ。君は腹を立ててる。成功した僕の何が悪い。自分もああなれたのにと腹立たしいんだろう」「……」「ウィルに同じ敗残者の思いを?」「なんて思いあがりだ。僕は敗残者じゃない。自分が選んだ誇りある道だ」「……」「とにかく無理強いはよせ。彼に決めさせろ」「わかった。やっぱり、いつも君が正しい。ショーン」

ショーンのセラピーを受けるウィル。「僕をどう評価する?」「ウィル。過去の全てを気にするな。君は何も悪くない」「知ってる」「わかってない。君は悪くない」「俺を許して」「ウィル」

ショーンのセラピーを受けるウィル。「就職を決めた」「どこに」「先生が前に紹介してくれたマクニール社に。ボスが感じのいい人だった」「それが望みかい?」「そう思う」「おめでとう」「セラピーはこれで終わりかい?」「そうだよ。君は自由だ」「これからもずっと連絡を」「いいとも。君は自分を信じて生きろ」「ありがとう。ショーン」「ありがとう。ウィル」

誕生日おめでとうとウィルに言うチャックたち。「覚えてたんだぞ。お前に誕生プレゼントだ」「……」「どうだ。これから毎日会社通いだろ。だから車が必要だ。俺は送っていかないからな」「……」「21歳の誕生日だから、正式に酒を飲める。となりゃ贈り物は車だ」「こんな醜い車は初めてだ」「俺とビルがスクラップパーツを集め、モーガンが塗装」「……」「ウィル、21歳、おめでとう」

ウィルを迎えに行き、ウィルがいなくなったことに気づくチャック。「モーガン、ベン。いない」「そうか」郵便ポストにあるウィルのメッセージを読むショーン。<先生に仕事を断るお詫びを。悪いけど、僕には彼女がいます>ウィルはボロ車でスカイラーのいるカリフォルニアに向かうのであった。