作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(562)」 | ロロモ文庫

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おばあちゃんの味

私は松谷と結婚して、貴子という娘を生んだと言う富士子。「しかし松谷の母は私が男の子を産まないので、私に冷たくします。私は松谷と離婚します。貴子は松谷家の娘として残ったほうが幸せなので松谷家に残します。でも本当は私も貴子も一緒に暮らしたいんです」「ぬう。その松谷の母をなんとかしないと」

松谷の母の貴代にお茶とお菓子を出す山岡。「まあ、これは」「あんたの得意のお菓子だな。俺もちょっと手伝ったが、貴子ちゃんが作ったぞ」「え、貴子が」「フレンチ・ホットケーキというらしいな。フレンチ・トーストは食パンを使うけど、これはホットケーキを使う」「フレンチ・ホットケーキなんてフランスにないわ。わたしの創作よ」

作り方を説明する山岡。「卵に牛乳を加えて、よく溶いて、砂糖で甘くする。本当はホットケーキは焼きたてより、食べ残して冷たくなったもののほうがいい。ホットケーキにメープルシロップをかけ、シロップを十分に中にしみこませる。フライパンを熱してバターをひとかけら。シロップのしみこんだホットケーキを甘い溶き卵の中に入れて、手早く卵を絡めて両面をこんがりと焼いて出来上がり」

「まあ、ホットケーキに卵の衣がきれいに。そしてこのお味。なんて優しい味なの」「やわやわとして、噛むとジュっと中からシロップが出て来るのがたまらない」「ホットケーキそのままより、味がたっぷりして、贅沢な感じね」「バターの焦げた香ばしい香りとメープルシロップの爽やかな香りが塩梅よく調和して、単純で一見泥臭いお菓子なのになかなか華やかなところもある味だ」

反省する貴代。「上手にできていること。わたしの教えた作り方を覚えていてくれたんですね。貴子はちゃんと私のことを愛していたのですね。それにひきかえ私はなんという祖母でしょう。富士子さんには今まで私のしたことを許してもらいます。私は隠居します」「ぬう。それがいいだろう」