作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(543)」 | ロロモ文庫

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居酒屋新メニュー(後)

怒鳴る川平。「冗談じゃない。こんなもの何の役にも立たない。居酒屋をバカにするな」「ぬう」「お前、どの料理も臨時雇いで出来ると言ったな」「最近の居酒屋の営業形態を考えると熟練した料理人ばかり雇えないからな」「どの料理にも若い人に好まれるという注釈をつけたな」「最近の居酒屋は昔の大衆酒場と違って若い年齢層の客が多い。だから若い人を惹きつける料理がいいと言ったんだ」

怒鳴る川平。「お前は居酒屋をなめている。この3つの料理、いかにも居酒屋でございって顔してる。居酒屋なんかしょせんこんなものという意識が丸見えだ。究極のメニューの担当者の私が望んだのか居酒屋経営者が思いもつかないメニューだ。こんないかにも居酒屋風のメニューなんか、あんたたちに頼まれなくたって我々で開発できる。お前は素晴らしいメニューを考えろ。そこから先はこっちの仕事だ。調理が簡単とか若者向きでなければいけないなど、お前は考える必要はない。わかったか」「ぬう。三日待て」

山岡の持ってきたメニューを見て、説明しろと怒鳴る川平。「居酒屋で感じる不満は、酒を飲んでいろいろな料理を食べてこれでおしまいと言う時に感じる不満だ。何か物足りない、この場を締めるものが欲しいと思う人がいる。それをよく知っているフランス人は食後デザートを食べることを始めた。今の居酒屋はその最後の大事なところを見逃している。少なくとも飲食に関しては最後まで居酒屋に満足させるくらいに欲張ればいい」「ぬ」

「最後をどう締めくくるか人によって違う。日本人は麵類が好きだ。飲んだ後にラーメンというのは日本人の酔っ払いの定番だ。そしてカレーうどん。カレーも日本人は大好きだ。それじゃきつすぎるという人には、きつねうどんやにゅうめんが胃に優しくて喜ばれる」「ぬ」「酒の後に甘いものが欲しいという人も多い。そういう人のために白玉小豆とあんみつ。甘いものは苦手という人はところてんとお餅を焼いて海苔で焼いた磯辺焼きだ」

むうううと唸る川平。「これは我々が考えつかなかった。最後を締めくくるものに気づかなかったばかりに、こういう美味しいところを他の飲食品に取られていたんだ。山岡、礼を言うぞ」