作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(535)」 | ロロモ文庫

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対決再開オーストラリア(8)

おせち料理を用意したと言う海原。「おせち料理は日本人にとって特別なもの。一年で一番晴れがましい料理だ。一方、オーストラリア人にとってはクリスマスの料理が一番晴れがましい料理だろう。クリスマスと正月は一週間しか違わない。それなら早めにおせちを作って、オーストラリア人の家に押しかけたらどうだろう?おせち料理の中のひとつでも、お祝いの料理として根付かせることができたら、オーストラリアの文化をより豊かにするのに貢献するだろう」

おせち料理について説明する海原。「このカニはキンググラブ。深海に棲んでいるので盛んに食べられるようになったのは5年前からだ。いったん蒸してから身をほぐし、甲羅の下に置いてある。あまりに姿が大きいから、大味に思われるだろうが、事実は逆。ふっくらと豊かな味で、これだけの味のカニは滅多にない」

「隣にあるのは蒸しアワビ。身の縁が緑色のグリーンリップといわれるアワビだ。日本のアワビは縁が黒い。こちらではブラックリップといって格下だ。シドニーの中華街のリーガルのアワビのしゃぶしゃぶは日本のアワビでは味わえない味だった。そのアワビをおせちのふさわしく、蒸しアワビにしたものだ」

「右にあるのはラムの刺身だ。オーストラリアでは一番人気のある肉を日本風に刺身で食べるところがミソだ。上にあるには牡蠣の炒め物。この牡蠣は日本の研究所と協力して、シドニー近くのホークスベリー川で養殖しているもの。牡蠣の養殖では、とっくに日本とオーストラリアの友好関係は築かれているのだ。そしてレンコン、大根、ニンジンの酢の物。これは日本のおせちでは定番だ。この野菜の全てがオーストラリアで手に入るのだ」

究極のメニューの主題も日本とオーストラリアの友好だと言う山岡。「日本とオーストラリアは第二次世界大戦で敵同士と戦った不幸がある。それを清算するのは政治家の仕事だが、我々の立場でできることを考えると、オーストラリア一のシェフに選ばれたレストランの経営者の和久田のことが頭に浮かんだ。彼は日本の食文化を持ち込んで、オーストラリア人の心をつかんでいる。日本とオーストラリアの友好を深めることでは、一人で政治家数百人分の仕事をしている」

弁当を用意したという山岡。「弁当は日本独特のものだ。ひとつの容器の中にこぢんまりと小さくまとまっているが、無駄がなく機能的でしかも美しい。日本人の美意識が作り出した傑作の一つで、日本人の生活感覚をわかってもらうのにちょうどいい。ご飯はニューサウスウェールズ州原産の米を使ったえんどう豆の炊き込みご飯だ、オーストラリアの野菜は日本のスーパーで売ってる野菜と比較にならないほど味も香りも強く、色も濃い」

「料理はまずシマアジをしめたもの。シマアジは日本では超高級魚で高価だが、こちらでは普通の値段で売っている。エミューの生ハムのサラダだ。エミューはオーストラリア独特のダチョウに似た大きな鳥で、野生のものは保護鳥だが、これは牧場で育てたものだ。鳥とはいえ、動物に似た肉質で、その味は力強いが気品がある。ザリガニのニンニク風味のバター焼きだ。この味の深さはまさにオーストラリアの大地の味だ」

「最後は赤飯饅頭だ。パンの研究所はあるくらい、オーストラリアでは小麦の生産に力を入れている。同様に米の生産にも力を入れています。東南アジア向けの長粒米から日本人向けのジャポニカ米だけでなく、もち米も作っている。この赤飯饅頭は小麦食のオーストラリアと米食の日本人の融和を象徴したものだ」

究極のメニューと至高のメニューは今回は引き分けだという審査員。和久田を見て刺激を受けて、独立するという立村。団とジュディは付き合うことを決めるのであった。