杉作J太郎「ボンクラ映画魂」かで始まる俳優ベスト10(1) | ロロモ文庫

ロロモ文庫

いろいろなベスト10や漫画のあらすじやテレビドラマのあらすじや映画のあらすじや川柳やスポーツの結果などを紹介したいと思います。どうぞヨロピク。

杉作J太郎「ボンクラ映画魂」は実録ヤクザ路線映画から特撮子供テレビ番組まで東映製作作品に出演した俳優たちを愛情込めて紹介している一冊でありまして、この本にロロモに与えた影響は計り知れないほどの大きさはありませんが、かなりの影響を与えていることは間違いなく、特撮子供テレビ番組はともかく、ここで紹介されている映画はレンタルやCSなどでかなり見ているわけです。

10位は<石井輝男監督の「無頼平野」で演じた主人公・狂犬サブ。その不良性、その厭世観、その退廃感。彼を包囲するコマーシャリズムと決別するための墜落劇がなければ、三千年かかっても到達不可能な地平だったと言える>と紹介した加勢大周

9位は<山下耕作監督、石井輝男脚本の異色戦争映画「海軍横須賀研究所」に主演。ゴリゴリしながらも愚直でまっすぐな、最も得意とする主人公像を、東映でもぶれることなく完成させた。劇中、助けた松方弘樹が、オール残飯おにぎりを作ってプレゼントした。汁がしたたっており、見事な残飯感であった>と紹介した勝新太郎

8位は<バッファロー軍団を結成した亀山達也、志賀勝兄弟の親父。東映京都では、時代劇から始まって悪役一筋である。一見、極悪ファミリーだが、その実は息子が俳優の道に進まんとした際、「底辺から出発せよ」とアドバイス。手取り足取りしなかった本格派>と紹介した加賀邦男。

7位は<実録ヤクザ映画で走って転んでハチの巣にされて。「実録外伝 大阪電撃作戦」では蒸し焼きにされたりもした。が、いつもいつもただ悲惨な目に遭ってるわけではなく、「狂った野獣」では実質的な主役と言っていいバスジャック犯人役をゲットした。が、これまた最後にはヘリコの脚につかまって、空高く舞い上がるもライフルで射殺されて墜落した>と紹介した片桐竜次

6位は<「日本の首領 野望編」で流行歌手・本山アンナ(ひろみ麻耶)を暴行せんとするヤクザ。ツルツルのスキンヘッドに鋭い眼光、こりゃあどう見ても役者じゃねえ、と思ったのだが、松方弘樹主演のテレビ時代劇「人形佐七捕物帖」を観てビックリ。「おかめ床の安」という名前のダメ人間で、レギュラー出演してるではないか>と紹介した勝野賢三

5位は<寺山修司が生涯に唯一撮った通俗映画「ボクサー」に海老原博幸、西城正三、輪島功一、具志堅用高、白井義夫、柴田国昭らとともに出演。だが彼のみは、ビリヤード場の支配人として、役付きで出演。演技者としての存在をアピールした。「神戸国際ギャング」にもギャング団員として出演>と紹介したガッツ石松

4位は<「仮面ライダースーパー1」で、白塗りの顔にカニの甲羅をかぶった悪の首領・悪魔元帥を演じたが、四国では高級羊羹のCMをやっていた。広く静かな庭を眺めながら、縁側で碁を打っている。そして羊羹を頬張って渋く語るのである。「練れてる男の……練れてる時間」>と紹介した加地健太郎

3位は<おびただしい、無限とも思えるほどの時代劇映画に出演。任侠映画はまだ時代劇の延長的なムードがあり、「博奕打ち 総長賭博」「緋牡丹博徒 二代目襲名」などに貫録たっぷりの姿を見せたが、その後の実録ヤクザ映画時代になるとぱったり姿を消した。しかし「柳生一族の陰謀」で再び東映京都撮影所で時代劇映画の製作がスタートするとたちまち登場。「赤穂城断絶」「徳川一族の崩壊」に続けて出演した>と紹介した香川良介

2位は<「爆発!暴走遊戯」「暴走の季節」「爆発!750cc族」など、一連の暴走族映画にいずれも暴走族の中核メンバーとして登場。頭髪をモヒカンにして、それを歯ブラシで整えて出撃していく様子はハッキリ言ってどうかしてた。が、ただの暴走族俳優でないことは、時折見せる拗ねたような、寂しそうな表情で証明済みだった、特に「新・女囚さそり 特殊房Ⅹ:では松島ナミの肉体にではなく、心底惹かれていく若い看守を演じて好感が持てた。でも特撮テレビ番組「透明ドリちゃん」に出演した際は、町の小さな食堂で働く勤労少年の給料をカツアゲする暴走族の役だった。キビシイぜ!>と紹介した貝ノ瀬一夫。

1位は<スバリ二枚目、「ジャッカー電撃隊」の大地文太である、そして彼の仕事の振幅こそが、ある一時期の東映の全てを象徴していたと言える。子供番組からヤクザ映画、そしてポルノまで、これをほぼ同時期に演じていたのである。つまり、東映という巨大な百貨店で、一階の婦人靴売り場から屋上のベット売り場まで、なんでも担当したわけだ。「五月みどりのかまきり夫人の告白」では五十嵐義弘の恋人ひろみ。「暴走パニック 大激突」ではサディスト林彰太郎の生け贄。「大奥浮世風呂」では男色家の住職・汐路章にバックから責め立てられるお稚児。これらはいずれもホモセクシュアルな役であったが、それを照れることなく黙々と演じたその姿勢。映画百年を振り返る時、忘れてはならない役者のひとりである>と紹介した風戸佑介となるわけです。