作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(473)」 | ロロモ文庫

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心の味

食道楽の京極に投資してほしいので高価な料理を提供したいという金のない赤森にありのままの姿を晒せと命令する山岡。「お前ができる範囲で一番うまいものを作れ。そのかわり最大限の努力をしろ。一切の手抜きをするな。誠心誠意、お前の全てをぶちこめ」「わかった。それで相手が俺を認めないなら、そんな奴はくそくらえだ」「安くて美味しくて身も心も温まるフランス料理を教えてやる」「頼むぜ」

京極にポトフを出す赤森。「なんや、ポトフかいな。ふむ、ええ香りやな。この野菜が肉と一緒にええ香りを生み出しとる。肉は安いとこのスネやがじっくり煮てあるから柔らかい。煮込むのは誰でもできるのがうまい煮込みを作るのは至難の業や。ポトフはじっくり煮んとあかんが5時間以上煮てもあかん。そのへんのツボをよう心得て調理してある。ニンジンもポロ葱もセロリもあっぱれな味になっとるわ。このポトフという料理ほど恐ろしいものはあらへん。煮込むだけの料理やから、材料の良し悪し、作る人間の神経のできの良し悪しが出る。赤森さん、なんでわしにポトフを食べさせようと思った?」

「今の俺を表すのにポトフが一番いいからだ。ポトフには金がかからん、肉と野菜を鍋で気長に煮るだけの何の変哲もない料理だ。しかも肉はすね肉の安いところを使う。だが野菜がまずいと美味いポトフはできない。今の日本で美味い野菜を手に入れるのは大変だが、歩き回って手に入れた。探し回る努力を惜しまないと本物の野菜を作る人と出会えるのだ」

「ぬう。借金して高級な料理を出されたら、わしはあんたを見限った。そんな見栄っ張りで頭の働かん男に投資するのは金をどぶに捨てるもんや。とゆうて金がないと貧乏たらしいもんを出されても、工夫の出来んつまらん男と見限ったところや。そこでポトフが出た。これなら文句なしや。あんたに投資させてもらいまっせ」「うまくいった」