作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(458)」 | ロロモ文庫

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疑わしい日(後)

江森と金上はグルだとわかったと話す大原。「これでこの話は打ち切りだ」「このまま打ち切りじゃつまらん」「それもそうだな」「海原雄山を使え」海原に協力を頼む栗田。「お前は妊娠してるのか」「はい」「ぬう」「お願いを聞いてくれますか」「ぬぬう」

江森と金上に今日用意した料理は一品だけだと言う海原。「自分が今作ることのできる最高の料理ひとつだけに全てをかける。これが尾形乾山という天才に対して、最大の敬意を払う道だと思う」「はて、これは」「これはどう見ても」「ダイコン」

説明する山岡。「これはダイコンだ。しかし極めて繊維が細かいので、舌触りがダイコンとは思えない滑らかさ。そのダイコンの芯の部分をつゆの中でじっくり煮込んで味をしみこませてある。このつゆの味はスッポン。濃厚でしっかり味があるが重くもなく軽くもない。ダイコンの煮方はこの料理の一番の眼目だ。煮方が足りないとスッポンの味が染み込まない。煮すぎると柔らかくなりすぎて、この歯触りを失う」

捕捉する栗田。「海原さんは最高の料理と言われた意味がよくわかるわ。食べ終わると絵皿の模様が全部見えるようになる。味の余韻を楽しみながら、光琳の江と乾山の書を楽しむのよ」

ふんと鼻を鳴らす金上。「国宝級の陶器にダイコンみたいな貧相なものを載せるとは大向こうを狙った作為がみえみえだ」「なるほど、そのくらいのことしかこの料理からつかめぬのか。お前という人間の器量はそこまでなな」「ぬう」「ダイコンを貧相と見るところに、ものの本当の価値をつかむことのできない人間であることが現れているわね」「ぬぬう」いたたまれなくなって、金上と江森は退散するのであった。