作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(454)」 | ロロモ文庫

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団の弱点(後)

私たちは美味しいものに目がないと言う丸電産業社長の浜川と霧松デパート社長の武藤。「週刊タイムの究極のメニューと至高のメニューの対決は楽しみに呼んでますよ」「その究極のメニューを味わえるとは幸せです。二木会長のおかげですな」「私は究極のメニュー担当者の山岡君と栗田さんとは面識がありましてな。そしてお二人にはぜひ今日の料理を食べていただきたいと」

「まずこれだ」「おや、これは卵だ。大きさからしてうずらの卵だな。かかっているトロリとした黒いものは」「おう、うずらの卵だから、と軽い気持ちで食べたらどうだ」「実に豊饒極まりない味」「このソースと半熟のトロリとしたうずらの卵の黄身が出会って、普通に考える卵の味を超越した味を作り出している」「山岡君、このソースはなんだ」「トリュフのスープだ。トリュフをすりつぶしてコンソメスープで溶いて、味を調えて作ってある」「とにかく美味い」

「次の料理はこれだ。キャビアにうずらの目玉焼きを載せている」「これはまいった」「キャビアに目玉焼きとは合わないと思ったら、その反対だ」「魚脂の癖が強すぎるキャビアがうずらの半熟の目玉焼きと出会うと、どっしりと腰がすわって豊かさが出たわ」

「次の料理はこれだ」「む。トリュフ、キャビアと来て、次はフォアグラか」「うずらの黄身に醤油を混ぜたものをフォアグラに塗ってある」「ふあああ。黄身なんて塗るとフォアグラの味を壊すと思ったらとんでもない」「うまさが広がった」「黄身と醤油の味がフォアグラの脂臭さを中和して、味をすっきりさせるんだね」「はて?今日はうずらの卵ばかりだが、何か意味でも」

そこに現れて説明する団。「実はうずらの卵は大変に栄養価が高いのです。鶏卵と比べると100グラム当たりのたんぱく質、脂質、炭水化物はほとんど同じですが、鉄分、ビタミンが多いのです」「ということは我々に栄養価が高くて美味しいものを食べさせようとうずらの卵を」「違います。私の決意を表明しようと思ったのです」「え」

さらに説明する団。「私はこのうずらのように社会的には小さい人間です。うずらの卵がバカにされるように私の真価もわかってもらえません、ですから新聞や雑誌に醜聞記事を書かれると、それがでっち上げとわかっていても、皆さんが私を信用せずに離れていくのです。しかしうずらの卵は世界の三大珍味と言われるトリュフとキャビアとフォアグラをさらに一層美味しくする力があり、しかも自分より大きな鶏の卵より栄養がある。私は社会的に小さい力のない人間ですが、このうずらの卵のように、自分の力の範囲で社会のために尽くしていくつもりです」

ううむとうなる浜川と武藤。「なるほど。二木会長に引っかけられたか」「団社長とグルだったのですな」「ばれたか。で、結論は」「こういう美味しいものを食べて食い逃げとはいくまい。協力させていただきますよ」「ありがとうございます」