作:雁屋哲 画:花咲アキラ「美味しんぼ(401)」 | ロロモ文庫

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まずいもの自慢大会

究極のメニュー作りなんて虚しいと言い出す山岡。「結局、美味しいとかまずいとかを判定する基準は、相対的で個人的なもので、究極の美味なんて、それこそ人によって違うじゃないか」「だから究極メニュー作りは意味がないと言うのはおかしいわ。究極のメニュー作りは、日本の文化と伝統に育まれてきた日本人の美意識を基盤とした日本人の大多数が納得できる、味の判定基準を基にするしかないと思うの」「まあ、それはそうだけど」

「人によって美味しいまずいの感じ方が違うのは面白いわね」「私の叔母は鯉の洗いが大好物だけど、叔母の娘は喉を通らないほど嫌いなのよ」「私の友人では生卵のご飯にかけたのを見るだけで、逃げ出す人がいるわ」「むう。今まで美味しいものに捉われすぎていたかもしれない。まずいと言うことについても考えなければ、偏ってしまう恐れがある」「あ、面白い」「自分が今までに食べた一番まずいものを再現して、皆に食べてもらうってのはどう?」「文化部名物、食べ物自慢大会。今度はまずいもの自慢」

披露宴の場所に心当たりはあるのかと栗田に聞く大原。「ある程度のお客様をお招きできて、しかも和洋中さまざまな種類の料理を用意することのできる所となると場所は限られてしまいます」「やはり、ホテルの宴会場と言うことになるな」「私の高校時代の同級生が帝都ホテルの営業部に勤めてますので、相談してみようと思います」

精一杯協力すると言う栗田の同級生の芦川たまみ。たまみから山岡と栗田のことを聞くたまみの同僚の田山。「山岡さんは鈍感だったので、なかなか大変だったの」「なるほど。山岡さんはゆう子に好かれているのに、気がつかなかったのね」「僕はずっと苦しんでるんです。ある女の人が好きなんだけど、その人は全然気づいてくれない。彼女は鈍感なのかもしれない」

「へえ。田山さんは秘めた情熱家なのね。田山さんにそんなに好かれる女の人はどんな人かしら」「芳川さん、僕が好きなのは君だよ。君が入社してきてから、ずっと好きだったんだ」「え。どうして私を、私なんか魅力のない女だし、おっちょこちょいだし」「君は他のどの女の人よりも魅力的だよ」「田山さん。たまみは鈍感なだけだったみたいよ」

まずいもの自慢大会に招かれる田山とたまみ。「なんだか、たまみさん、元気がないね」「彼女の態度、あれからすごく固くなってしまいまして。嫌われたんじゃないかと」砂糖入りカレー、ソルトレークシティの中華料理屋で出された焼きそば、麺がところてんのうどん、ファミレスのハンバーグ、キナコをまぶしたトロなど、さまざまなまずいものを食べる一同。

「おや、今度はポークチョップ」「うほ、なんだ、この味は。水っぽくて変な味のソース」「これ、私が作ったんです」「え、たまみが」「豚ロースの厚切りを玉ねぎとシイタケと一緒に焼いて、最後にウイスキーをかけてアルコールを飛ばし、醤油で味を整えると、ステキな和風ポークチョップができるんです。ところが、ある時、私はウイスキーの代わりに、麦茶をかけてしまったんです」「どうして」

「母が麦茶を冷やすのに、父が飲んだウイスキーの空き瓶に詰めておいたの。それを知らずにウイスキーと思って」「こりゃおかしい。水っぽいどころじゃない。麦茶ではかなわん」「田山さん、こんなおっちょこちょいの私でもいい?」「え」「お、何やらおめでたで」「まずいもので、田山さんを仕留めたたまみの技能賞。さあ、まだまだ、まずいものが出ますよ」