新・高校生ブルース | ロロモ文庫

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陽明高校の椎名、和島、岡田の三人は童貞を捨てることを決意して、片っ端にナンパするが悉く失敗する。翌日、同級生で幼なじみの田村京子にガールハントはうまくいったと聞かれる椎名。「え」「振られっぱなしで、収穫ゼロ。ぴったりでしょう」「とんでもない。引っかかり過ぎて、どの子にしようか迷っているんだ」「本当かしら」

高校生の恋愛と言うテーマのホームルームで意見を述べる椎名。「僕たちの年頃の性欲は一生のうちで最も強烈だ。童貞やバージンは結婚まで守るなんて、まったくナンセンスと思うんだ。やりたくてたまらないのにウジウジしてるなて最低だ」反対意見を述べる京子。「椎名君の意見は破廉恥です。男性と女性の間を無視した暴言だと思います。それではけだもののセックスと同じです」

喫茶店で話し合う三人。「あーあ、どっかにどうぞって女はいないかな」「そもそも売春禁止法が出来たのが俺達の不幸につながっている」「大人たちがいけない」「資本主義がいけない。資本主義は自由競争の世界だ。そこで富の不平等が生まれる。実力のあるヤツがどんどんもてて、ない奴は全然もてない」「俺達のような童貞が増えて、バージンが減るってのは、実力のあるジジイがバージンをどんどんやってしまうからだな」

俺たちは振られっぱなしのプロレタリアだと言う椎名。「つまりフラレタリアだ」「そうだ」「俺たちはフラレタリア階級だ。そこで俺達に必要なのは何か。つまり階級闘争であり革命である。革命成就のために一致団結して同盟を作らなければならない」「決まった。フラレタリア同盟」

フラレタリア同盟条文を記入する三人。「一、我々は童貞を捨てるべく、ここに同盟を結成する」「一、期間は一か月後の学園祭までと定め、是が非でもそれまでに最低一人の女を経験しなくてはならない」「一、我々の目的はセックスだけであり、女に対して余計な愛情を抱くことをタブーとする」「一、最悪の場合、我々は強姦、輪姦、結婚詐欺などの非合法手段により、我々の意志を貫徹することにありえる」

椎名は京子にキスしようとして失敗し、和島は英語教師にアタックしようとして失敗し、岡田はお手伝いさんを強姦しようとして失敗する。喫茶店で話し合う三人。「フラレタリア同盟を結成して10日経って、何ら成果が上がらないってことは個人的に当たっても力が弱すぎるんじゃないかな」「やっぱり同盟を組んでやるしかないな」「週刊誌によると、成功率が高いのはやっぱり水商売の女なんだってさ」「素人女は俺達には無理なんだ」「第二次計画は一致団結して玄人女にアタックしようぜ」

京子に君の兄貴の背広を貸してくれと頼む椎名。「そんなものどうするの」「中学の同窓会に行くんだ」背広を貸した京子はラブレターを貰ったのと椎名に言う。「ちょっと読んでよ」「変な字だな。なんだい、ミスターエックスって」「名前はわからないの。でもよく読むと、この人は真剣なんだなあと思ったの」「君は自惚れ屋だな。太陽は自分を中心に回ってると曲解してるんじゃないの」「……」「とにかく背広は借りていくよ」

背広を来た三人はキャバレーに行くが、ホステスに同級生の相川早苗がいて驚く。タヌキジジイは早苗に触りまくるのを見て、意気消沈する三人。「面白くねえ。帰ろうぜ」「うん」勘定をぼられた上にマネージャーにボコボコにされる三人。マネージャーにやめてくださいと言う早苗。「この人たちは私の知り合いなんです。足りない分は私が払いますから。許してあげてください」その間にスタコラ逃走する三人。

翌日、和島の奴、どうしたんだろうと岡田に言う椎名。「あいつ、おかしくなったんじゃないのか。俺たちの倍、殴られていたもん」「大丈夫だよ。あいつ、元からおかしいから」椎名にその傷はどうしたのと聞く京子。「同窓会の帰りにヤクザに絡まれて、6000円脅し取られたんだ。なあ、岡田」「あ、ああ。そうだ」「本当に痛くないの」「ああ。借りた背広は後で返すよ」

お前の背広は田村から借りたのかと椎名に聞く岡田。「うん。あいつの兄貴んだ」「田村はお前に気があるんじゃないのか」「俺、何とも思ってないよ」「そうかな」「だけど、驚いたな。相川早苗がホステスなんて」「ああ」昼過ぎに学校に現れた和島は椎名と岡田を喫茶店に連れていく。「相川早苗のことだけどよ、俺、あいつに惚れちゃったかもしれないんだ」「本当かよ」「昨夜よ、お前たちと別れてよ、急に早苗のことが心配になって、あのキャバレーに引き返したんだよ」

12時過ぎに店を出た早苗に声をかける和島。「相川さん」「あら、まだいたの」「さっきはすまなかったな」「いいのよ。人の世話やくヒマがあったら、早く帰ったら」「送っていくよ」「いいわよ。人と会う約束があるんだから」「誰だい」「誰でもいいじゃないの」「さっきキャバレーに来てたあのタヌキジジイと会うんだろ」「……」「行くなよ。君はそんなことをする女じゃないよ」そこに現れたタヌキジジイをボコボコにする和島。「彼女はもうあんたと付き合うのは御免だとさ」

タクシーに乗る和島と早苗。「和島君、ありがとう」「いや、僕の方こそあんなことしちゃって、かえって君に」「ううん。いいのよ。嬉しかったの」「……」「あたしって不良だと思うでしょう。その通りなの。お金の為なら何でもする悪い女だわ。父が酒乱で女癖が悪くて、耐えられなくて母と二人で逃げ出したの。でも母は身体が弱いから、私が働かないとしょうがないのよ」「……」「本当は学校をやめて昼間働けばいいんだけど、でも私、なんだか怖いの。学校を辞めてしまうと、どんどん堕落してしまいそうで」

早苗の奴は眠ってしまったと言う和島。「俺、そのあどけない寝顔を見てると、とてつもなく胸が苦しくなってしまってさ。何だか知らないうちに涙が出てきたんだ。俺みたいな単細胞のおっちょこちょい野郎を信じてくれると思うとな」お前は本当に幸せな男だと和島に言う椎名。タヌキジジイを殴ったのは殊勲賞ものだと言う岡田。「でもお前は女に惚れてしまったから、フラレタリア同盟条文違反の第1号だ。罰として、ここのサテン代を払え」

背広を京子に返しに行った椎名は衝動的に京子の唇を奪ってしまう。「怒ってるの?」「……」「俺、帰るよ」京子に和島と交際していると言う早苗。「そう?素敵じゃない」「ねえ、客観的に見て、和島君のことをどう思う」「気取らないし、男らしいフィーリングがあると思うわ」「彼って、あれで以外に純粋なのよ。頼りがいもあるし、思いやりがあるの」「あらあら、ちょっとお熱が上がり過ぎじゃない」「京子さん。これからも相談に乗ってね」

岡田の答案用紙を見て、ミスターエックスが岡田であることを知った椎名は離縁状を京子に渡す。「訳あって、俺はお前と別れなければならない。義理と人情をはかりにかければ義理が重たい男の世界。とかく浮世はままならぬ。京子、俺を男にすると思って、黙って許してくれ。椎名君、狂っちゃったのかしら」

俺は京子に振られたと岡田と和島に言う椎名。「俺は別にあいつのことは何とも思ってなかったけど、ちょっと屈辱だよな。岡田、俺とバトンタッチしろよ。京子は多分、お前みたいな文学青年タイプに弱いぞ」「絶交を言い渡されたって本当かい」「ああ」「どうして」「そんなこと、俺にわかるかい。あんな奴、こっちからお断りだ」

私は今週で学校をやめると京子に言う早苗。「働かなきゃならないの。母が病気だから。それでいろいろ考えたけど、昼間働いて、夜定時制に行くのが一番いいと言う結論に達したの。和島君も賛成してくれたし」「そう。淋しくなるな」「それで高校を卒業したら、和島君と結婚しようと約束したの」「本当?頑張って」

喫茶店で早苗と結婚すると椎名と岡田に言う和島。「俺には早苗に責任があるからな」「ということは、早苗と寝たのか」「ああ」「どういう具合でやったんだ」無我夢中だったと言う和島。「なにしろ初めてだっただろう。いろいろ研究しつくしたつもりだったけど、いざとなるとあせっちゃってさ。抱き合っているうちになるようになっちまったんだなあ」「それでグンバツだったか」「あったりまえよ」

お前たちも早くいい恋人を見つけろと言う和島。「そうだよ、岡田、早く京子を口説き落とせよ」見え透いたことをするなと椎名に言う岡田。「俺、お前の動きがおかしいんで、京子に直接探りを入れて聞いてみたんだ」「出しゃばりやがって」「お前、俺に同情して、離縁状を叩きつけたらしいけど、くだらない意地を張るもんじゃねえよ。自分だけ男になりゃいいってもんじゃないぜ」「なんだと」二人とも落ち着けと言う和島。「俺は公平な第三者として見て、京子を幸せにできるのは、椎名、お前しかないと思う」その通りだと言う岡田。すまないと言って岡田と握手する椎名。

京子にわび状を渡す椎名。「つもり重ねた不徳の数を、なんと詫びよか、京子ちゃん。背中で泣いてる昇り竜。何よこれ。いったいどういう悪戯」「悪戯じゃないさ。俺、心からすまないと思ってるんだ」京子にキスをする椎名。

定時制高校に通う早苗に会いに行く京子。「どう、大変でしょう」「やっと慣れたわ」「これ、クラスでカンパしたの」「ありがとう、みなさんによろしく言って。学園祭に行く約束をしたの、和島君と」「そう。あたし、クラスのテニス代表に選ばれたの。応援して」「頑張ってね」「あたし」「なに?」「キスしちゃったの、本物の」

俺は童貞を失ったと椎名と和島に言う岡田。「それはめでたいな」「それが全然めでたくないんだ。お前の場合と逆だからな」「どういうことだ」「童貞を捨てたんじゃなくて、奪われたってことさ。強チンされちゃったよ」「本当か」「生殖器の塊のような中年女にナンパされてよ」「ふうん。まあこれで残り一日でギリギリセーフだな」

京子を喫茶店に呼び出す椎名。「なあに、重大な話って」「あの、つまり、うまく言えないんだ」「変な人。早く言って」「俺だけがまだなんだよ」「何ぶちぶち言ってるの。男でしょ。はっきりして」「イライラしてたまらないんだ」「ノイローゼ?」「最近女を見るとみんな裸にしたくなり、強姦しようと思い留まるのがやっとなんだ」「性的ノイローゼね。セックスを不当に抑圧するから起こるのよ。スポーツをやるとか芸術作品に取り組むとか、性的エネルギーを有意義に消化させる必要があるわ」

思わず京子の太股に触ってしまう椎名。「いや。変なことをしないで」「ごめん」「不潔よ、椎名君って。重大な話って言うから、わざわざ出てきたのに。ひどいわ」「じゃあ、帰れよ」「何よ、その口のきき方は。悪いのはそっちよ」「うるさいな。君なんかに男の気持ちがわかるもんか」「わかるわけないでしょう。私、女だから」「もういいよ」やけくそになってトルコ風呂に飛び込む椎名。「椎名君やめて」トルコ風呂から椎名を引っ張り出す京子。「田村君」「……」「どこに行くんだ」「黙ってついてきて」

誰もいない深夜の学校に椎名を連れて行き、教室に入った京子は裸になる。「私を見て」「……」「椎名君。私以外の女には絶対触れないで。どうしても我慢できないのなら私を抱いて」「……」「椎名君。学園祭までにと言う条約があったんでしょう」「え」「早苗さんから聞いたわ。フラレタリア同盟のこと。だからいいのよ。私を」

「京子ちゃん。君も約束してくれる?」「何を」「他の男には絶対触れさせないって」「約束するわ」「僕たち、大学に入るまでは今まで通りでいよう」「守れる?」「うん」「フラレタリア同盟のことは?」「いいんだ。僕だけ童貞でも。彼らにどう言われても平気だもん」

学園祭の日、テニスをする京子を応援する椎名と和島と岡田と早苗。(俺だけついに童貞のままだったけど、右や左に追うボールを見てるうちに、すごく幸せだなあと感じちゃって。というのは空もすごく晴れていて、岡田も和島も早苗もみんないい奴で、おまけに京子の奴がぐっと冴えてるもんだから、俺は嬉しくてもう少しで涙を流すところだった。きっとホットドッグにからしをつけすぎたせいに違いない)