ウルトラマン 第6話 | ロロモ文庫

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沿岸警備命令

変なニュースが入ったわと呟くフジ。「横浜沖で20メートルもあるサメが傷だらけになって浮かんでたんですって」「大方船にでもはねられたんだろう」「それが違うのよ。何かに噛まれた傷なの」「問題は二つだ。一つはそのサメがどうして20メートルも成長したか。もう一つはそのサメに傷を負わしたのは何者かってことだ」「この頃東京湾では船がよく沈んでいるでしょう」「何か事件が起きる前触れのような気がするな」「ホシノ君、友達と一緒に横浜に行ってるのよ。大丈夫かしら」

双眼鏡を見るホシノ。「あの船、南米航路のころんびあ丸だ。あ、今、クレーンであげてるのはカカオビーンズだ」「カカオビーンズって何だい」「チョコレートの原料さ」双眼鏡を見るチロ。「カカオビーンズ見えないよ」「もう一度よく見ろ」「そんなこと言ったって。あっ」「どうしたんだい、チロ」「怪物だよ。僕、見たんだ」「どれどれ」双眼鏡を見るホシノ。「なるほど。こいつは確かに怪しい」「ね。ホントだろ」「怪しいヤツは怪しいヤツだが、人間だよ。あの顔、どっかで見たことがあるな。とにかく行ってみよう」

埠頭であたりを見回すホシノ。「畜生。見失ったか」「そっちじゃないよ。怪物は海の中にいるってば」「逃げたな」「逃げてないよ。ちゃんといるってば。早く電話してよ」「電話?」「そうだよ。怪物を見たら科学特捜隊に電話することになってるんだろ」「うん。電話だ」電話ボックスに入るホシノとチロ。「あ。密輸犯人手配書。そうだ。ダイヤモンド・キック。この男だ」

ホシノからの電話に出るアラシ。「なんだ、ホシノ君か。え?ダイヤモンド・キックが港で見つかった?そりゃお門違いの事件だよ。当本部の扱う事件じゃない。警察に連絡したまえ。それからケガをすると危ないから早く帰りなさい」アラシさんの馬鹿と怒鳴るホシノに、どうして僕の言うこと聞いてくれないのというチロ。「僕、見たんだよ。背中にトゲトゲがあって、ツノが生えてて、なんだかヌメヌメしてて」

はははと笑うころんびあ丸の船員の斧山。「坊やの話が本当だとすると、それはゲスラじゃな」「ゲスラ?」「ゲスラは南米に住んでいるトカゲの一種で、カカオの実が大好きなんじゃ。それにカカオの実にたかる害虫まで退治してくれるいいトカゲなんだ」「つまりゲスラはチョコレートの原料を守ってくれるわけか」「そういうわけじゃ。君達がチョコレートを食べられるのもゲスラのおかげなんじゃ。しかし、ゲスラがそんなに大きくなってるなんて考えられんな」「それよりおじさん、なぜ東京湾にゲスラがいるんだい」「船で運ぶカカオに卵が紛れ込んでいたんだろう。ゲスラは水の中にも棲むことのできる両生類じゃからな」「あ。ゲスラだ」ころんびあ丸を転覆させて海の中に消えるゲスラ。

ちぇっと呟くホシノ。「ゲスラもダイヤモンド・キックも逃げられてしまったよ」「そうだ。ゲスラはカカオの実が好きなんだろ。だったらさっき荷揚げしたカカオの実のある倉庫に行ってみようよ。いるかもしれないぜ」「あんな大きなゲスラが倉庫にいるわけないだろ」「でもさ、ゲスラの赤ちゃんならいるかもしれないだろ」「なるほど。いるかもしれないな。チロ、いいカンだ」

倉庫でカカオの袋をナイフで裂くダイヤモンド・キックと部下のケン。「くそう。これにもねえや。確かに運ばれてきたんですかい」「ああ。ダイヤを隠してあるのはころんびあ丸に積んであるカカオビーンズの袋の中だと連絡があったんだ」倉庫に入って来たホシノとチロを捕まえるダイヤモンド・キックとケン。

カカオを積んだ別の船がすでに東京湾に入ってきていると話すムラマツ。「倉庫になるカカオの実を飛行機で撒いて、ゲスラをおびき寄せる。その間に荷揚げをさせる」倉庫に入るムラマツたち。「袋が破られてる」「ゲスラにやられたのかな」「違う。刃物で裂いたあとだ」「とにかく運びだそう」「なんだ、これは」「密輸ダイヤだ」「この靴はホシノ君の友達の靴。やっぱりダイヤモンド・キックに」「じゃあ、ホシノ君の話は本当だったのか。しかし、なんだって、ゲスラはあんなに大きくなったのかな」「東京湾の水にはいろんなものが含まれすぎている」

ムラマツに説明する斧山。「ゲスラは元々小さなトカゲですが、大きな物音や強い刺激を受けるとものすごく狂暴になり、ジャガーにさえ向かって行って、これを倒してしまいます」「弱点は?」「頭の触角を取ると死んでしまいますが、難しいですねえ。この体の針には人間など死んでしまうほどの猛毒があるんです」ビートルからゲスラを発見したとムラマツに連絡するアラシ。「これから攻撃を開始します」「待て」「どうしてです」「ゲスラはカカオを与えておけばおとなしいが、必要以上の音や刺激を与えると狂ったように暴れ出す。しばらくはバラまいたカカオでおとなしくなる」「あ、ゲスラがまた横浜方面に戻りました」そうかと呟く斧山。「辰己倉庫にはカカオビーンズがいっぱい詰まっている」「ではその匂いを嗅いで」「よし。これからゲスラ防御作戦をとる」

ダイヤモンド・キックのアジトから抜け出すホシノとチロ。「待て、小僧たち」「兄貴。あれはなんです」「怪獣じゃないか」「チロ。逃げるんだ」ゲスラに向かって発砲するダイヤモンド・キックとケン。怒り狂って暴れるゲスラ。ホシノとチロを助けるアラシたち。ウルトラマンに変身するハヤタ。ゲスラの触角を取り、ゲスラを斃すウルトラマン。ダイヤモンド・キックとケンを捕まえて現れるハヤタ。「こいつらを助け出しているうちに、今日もまたウルトラマンの活躍を見損なってしまったよ。ははは」

ホシノとチロに君達のおかげで宝石密輸団も捕まったと言うムラマツ。「御苦労さん」「あ」「どうした、チロ」「チョコレート」チョコレートを持って現れるフジ。「はい、どうぞ」「やっぱり」「ちぇ、ゲスラみたいなヤツ」