暗黒街の対決 | ロロモ文庫

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暴力渦巻く荒神市に横柄な態度をとる藤丘という男がやってくる。藤丘は鉄雄という男に自分が大岡組の手先だと間違われて殴られてしまう。鉄雄は3か月前に自分の女房を自動車事故で亡くしていた。大岡組が経営するキャバレーに乗り込んだ藤丘は、小塚組に雇われた用心棒と勘違いされ、大岡組のチンピラと大乱闘を起し、荒神署の豚箱にぶちこまれてしまう。

翌朝、なんたる醜態だと署長の大久保に怒鳴られる藤丘。「君は恥の上塗りだと思わないのか」「社会見学が過ぎたもんで」「君はどうゆう理由で東京から回されてきたか認識しとるのかね」「左遷です。汚職の片棒を担いだ札付き刑事です」「謹慎して汚名を注がねばならんのに、なんという精神だ」

にんまりと笑って署長室を出る藤丘。困ったもんだと次席の望月にいう大久保。「いくら暴力団対策に人手が足りないからといって、あんな札付きをよこさなくても」「当分、私の下でぶらぶらさせておきましょう。ちょっと面白そうなやつです」

弁護士の天堂は大岡のところに現れ、荒神市での仕事を引き受けるという。「ここの警察はサーカスのライオンみたいで、見かけより大人しい」大岡の腹心でキャバレー経営者の柴田は警察に自分たちのスパイが必要だという。「夕べ店で暴れた刑事なんかどうです」「お前にまかせよう」

小塚組の幹部の弥太は鉄雄の経営するスナックに行く。「兄貴、頼みがあるんだ。大岡のやつ、市の有力者をたらしこんで砂利の採取権を小塚組からとりあげようとしてるんだ」「それで」「親分は新興やくざなど相手にしてないが、降りかかる火の粉はふり払わなくてはならねえ」「俺に何を言いたい」「手を貸してくれ。兄貴だって元小塚組の幹部だ」「断る。今は堅気だ。堅気になるのが女房との約束だ」

クレー射撃を楽しむ鉄雄のところにやってくる藤丘。「昨日、奥さんの事故の調書を読みました。トラックに轢かれたそうですな。確か奥さんを殺した運転手は二木っていったな。姿を消したままらしい」「僕が消したというんですか」「そうは言わないが、お前さんは何か知っているらしい」「大きな壁があるのさ。大岡組の夜のコンツェルンって壁さ」

「警察でもぶちやぶれない壁をあんたはぶちやぶろうとするのか」「ダメだって話ですよ」「壁の向こうに二木がいるのか」「そっちはそっちで勝手にやってもらおう。旦那はなぜ蒸し返すんです。名誉挽回ってやつですかい」「俺がそんなしおらしい男に見えるか。事実を知っていれば、甘い汁を吸えるんでね」

キャバレーの女給サリーのところを尋ねる藤丘。二木はサリーの元亭主で、サリーは今は大岡の女になっていたが、ひそかに大岡たちの内情を探っていた。藤丘はサリーに二木のことを迫るが、そこにやってきた大岡に諌められる。「女には親切にしたほうがいいよ」「牙を隠した親切もあるからね」「見解の相違か。君とは話し合う必要がある。それに、まだ歓迎会もやってないしな」「親切だな」「ええ、僕は親切ですよ。それをとやかく言うやつはいるがね」

柴田のところに現れる鉄雄。「死んだ女房の自動車事故のことでね」「知らん。何度も何度もしつこいぞ」「知らないってあんたが証言したんですぜ。それで、あんたはキャバレーの支配人に出世した。そのへんのところも」「知らん。帰れ」「いいかい。俺はあきらめないぜ」天藤は殺し屋を柴田のところに連れてくる。サリーは二木は自分の亭主ではなく、自分の兄だと藤丘に教える。

キャバレーに乗り込んだ小塚は、お前のやりかたは汚いと大岡を糾弾する。「俺たちやくざはカスだ。お前はそんな俺から見ても鼻もちならねえ、大カスだ」そんな小塚に逮捕するという藤丘。「だいぶご酩酊のようですから」キャバレーから出て別れようとする藤丘に声をかける小塚。「やるねえ。こんなカスの酒でよければ、つきあってもらえませんかい」鉄雄の店に行く小塚と藤丘。「妙な組み合わせですな」「鉄雄。お前は死んだ女房のことで大岡組に探りを入れているようだが、それで死んだ女房が生き返るわけじゃねえぞ」「僕は何も」

「こいつの女房じゃ大岡のキャバレーのナンバーワンだったんだ。それを大岡と張り合って見事にものにしたんだがね。ただ大岡も黙っている奴じゃない」「それで自動車事故ですね」「いや。それだけじゃない。大岡は何か人に知られたくない秘密を握られてたらしい。こいつの女房にね。その秘密はなんだかわからない。死人に口なしってやつさ」店を出た小塚に天藤の殺し屋の銃弾が浴びせられ、あの世に行く小塚。

弥太は弔い合戦だ、と組員を砂利場に集結させるが、鉄雄は返り討ちにあうだけと諌める。そこに大岡組が襲ってきて、弥太たちはあの世に行くが、鉄雄は藤丘に救われる。「警察に行くんじゃないんですかい」「誰が逮捕するって言った。お前さんだって、まだ捕まりたくないだろう。お前さんは俺の切り札になるんだ。悪くないだろう。エースだぜ」

翌朝、望月は大岡に近づきすぎると藤丘に忠告する。「まだ恥の上塗りをするつもりか」「大岡の世話でキャバレーの支配人でも鞍替えしますよ」「馬鹿」柴田はダルな浮浪者たちを引き連れて警察にやってくる。激怒する望月。「君は彼らが実行犯だというのか」「本人たちがそういうんだから間違いないでしょう。これで二つの勢力が一つ。党内一本化ってやつですよ。警察ものんびりできますなあ」「警察のいう一本化は善良な市民だけの話だよ」

藤丘は荒れ小屋に隠れる鉄雄のところに食糧を持っていく。「警察と大岡組に狙われていることは忘れるなよ」「俺は目的を果たすまで死なないよ」「恋女房を殺された気持ちはわかる。しかし大岡は殺すなよ」「サツにまかせろ、というのか。それより、あんたはどういうつもりだ。サツ側か、大岡側か」「おいおいわかるよ」「俺はお前さんに助けられたことは確かだ。礼は言わねえ。この勘定ははっきり返す」「ふん。義理堅いことだ」「だけど俺の邪魔をするやつは誰も容赦しねえ」「いいか。天井に寝るんだぞ」

サリーは二木が殺されたことを知り、キャバレーでやけ酒を飲み、大岡にからむ。「早く兄さんに会わせてよ、狸おやじ」「だから待ってろと言ってるんだ」「嘘よ、兄さんは生きていないのよ、パパの目を見ればわかる、私をだましてんのよ」「サリー、お前は俺のことを必要以上に知りすぎた」自分の屋敷にサリーを監禁する大岡。サリーは暖炉に大量の拳銃が隠してあるのを発見する。

鉄雄のところに持っていく食糧を準備する藤丘のところにやってくる天堂。「ピクニックをするには早すぎるようですな」「まあ、好き好きだな」大岡のところに連れていかれる藤丘は、100万くれれば鉄雄の居場所を話すという。「初めからそのつもりで隠していたのか」「そうですよ。警官なんて一度札付きになると、一生うだつがあがらんもんだ。その上俺は、この前の汚職で目の前にぶらさがった大金をふいにした。今度はドジを踏みたくないからね。鉄雄は土砂切り崩し後の荒れ小屋だ」サリーはカーテンを使って、屋敷から脱出する。

殺し屋たちは荒れ小屋を襲うが、天井に潜んでいた鉄雄に返り討ちにある。サリーは藤丘のところに行って、大岡から金をとってくれと頼むが、そこに大岡と天堂がやってくる。「野口さん」「……」「暴力団狩りのベテランの野口警部。そうでしたな」

サリーの首を締め上げる大岡。「その手で鉄雄の女房と二木をやったな」「そうだ。俺の秘密を握っている女は、俺を離れるときは口止めすることになっているんだ。それも永久にな」「……」「二木は俺の秘密を知って、それで勢力を伸ばそうとした。出る杭はうたれる」

藤丘は天堂たちに殺されそうになるが、鉄雄に救われる。「これで借りは返したぜ」大岡はサリーを自動車事故に見せかけて殺そうとするが、藤丘に救われる。大岡は警官を射殺して自宅に逃げ込む。大岡邸を警官隊が包囲するが、鉄雄は強引に包囲網を突破し、大岡邸に乱入して、藤丘の制止を振り切って、大岡を射殺する。「馬鹿」「一対一だぜ」「拳銃を捨てろ。法に従え」「サツに恩を売りたくねえ」「拳銃を捨てろ。友達として言うんだ」「友達?妙な友達だったな」

しかし鉄雄は拳銃を撃つ。反射的に鉄を狙撃する藤丘。倒れる鉄雄。「おい。わざと狙いを外したな」「見損なうな。俺の狙いは確かなものさ」藤丘の背後で藤丘を狙っていた天堂が倒れる。「これで借りは全部返したぜ」「しっかりしろ、頑張るんだ」「うるせえなあ、生きていてもしょうがないんだ、俺は。今夜は女房と二人っきりになれそうだな」鉄雄は死に、藤丘こと野口は窓硝子に拳銃を投げつけるのであった。