帰らざる河 | ロロモ文庫

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ゴールドラッシュに沸く猥雑な町に現れたコールダーは生き別れになっていた9歳になる息子のマークと巡り合う。マークは酒場の歌手であるケイに面倒を見てもらっていた。ケイからマークを引き取るコールダー。マークと別れて悲しい気分にいるケイのところに、ケイの主人でギャンブラーのハリーが嬉しそうにやってくる。

「君のために稼いできた。酒場やショーとはもうおさらばさ」「酔ってるのね」「俺は大金持ちだ。最高の金脈を巻き上げた」「誰から」「関係ない。今度ばかりは大ばくちで勝ったんだ。邪魔が入らんうちに金鉱を登記したい」「邪魔?」「イカサマだったと騒がれることだ」「やったの?」「いいや、ついていただけだ。町へ行こう。馬が欲しいが誰も売らねえ。だからイカダを買って、カウンシル・シティーに行く」

農場で農業や狩猟を息子に教えるコールダーは、農場をインディアンから守るのは自分たちでやるしかないと説得する。「マークって名は誰がつけたの」「死んだお母さんだ。将来の話をしよう。秋に金が入ったら何が欲しい」「自分の銃」「買ってやる」「農場は金鉱より儲かるの」「いや。だが確実だ。だからお父さんは農場に戻った」「今までお父さんはどこにいたの」「それはいずれ話してやる」

コールダーはイカダに乗って漂流している男と女を助ける。男と女はハリーとケイだった。マークとの再会を喜ぶケイ。畑を作っているというコールダーに金鉱ブームで穴掘りかとあきれるハリー。コールダーはハリーたちがイカダに乗って町に向かうと聞いて、無茶だとあきれる。ケイはきれいだというマークに見かけだけだと冷たく答えるコールダー。大金ができたら、いい服を着てオペラを見たりぜいたくな暮らしをしたいとマークに言うケイ。「オペラって何」「いい歌を聴かせるの。私のとは大違いね」「僕はケイの歌が好きだよ」

カウンシル・シティーまで川で行くのは難しいとハリーにいうコールダー。「激流が待っている。地上を行くには銃と馬が必要だ」「早く金鉱の登記を済ませたい」「自分で見つけた金鉱か」「カードさ。運よく買ったんだ」「運よく?」「イカサマをやるまでもなかった」「なぜ急ぐ?」「イカサマだと疑うやつもいる」「それで」「相手が先に町につき、ケチをつけると撃ちあいになる。馬と銃を譲れ」「とんでもない。銀貨ではインディアンと戦えない」

ハリーはコールダーの銃を奪って、コールダーを殴り倒して、ケイに一緒に行こうというが、ケイは拒否する。「命の恩人よ。私はここで待つわ。けが人や子供はほうっておけないわ。一人のほうが早くいけるわ」「そうか」「登記が終わったら、すぐに戻って」「すっ飛んでくる」

馬に乗ってカウンシル・シティーに向かうハリー。正気に戻ったコールダーにハリーが戻ったらこの埋め合わせはするというケイ。「でも手遅れかもしれない」農場をインディアンが襲う。「イカダで逃げるぞ」燃える農場。激流を巧みな棹さばきで乗り切るコールダー。

河岸に着いて寝床を作る三人。ケイの童謡を聞いて寝るマーク。「いつ童謡を」「私も昔は少女だったわ」「なんで酒場に」「生きるためだけど、早くやめたかったわ。だからハリーの金鉱に夢をかけているの。今の暮らしから抜け出すチャンスだもの。あなた。ハリーを殺す気?」「ああ」「河を下るのは自殺行為と言ったわ」「彼には無理だ。でも俺ならできる「いきなり殺すの?」「彼は俺たち親子の安全をいきなり奪った」

翌朝、ケイはイカダを流そうとするが、コールダーに見つかってしまう。「今度やったら殺すぞ。イカダなしで生きれると思うか。インディアンがいるのに何を考えている」「うるさいわ」「自分を犠牲にしてハリーのような屑を助けたいのか」「私の勝手よ」「奴に満足しているのか」「一人前の女として私を扱ったのは彼だけよ。私はあなたの過去を知っているのよ。殺人犯より彼のほうがましだわ」「なんだと」「とぼけないで。あんたは人を殺して刑務所にいたんだわ。相手を背中から撃ってね」

その会話を聞いていたマークは本当なのとコールダーに聞く。「そうだ。パパの友達を殺そうとした悪党を撃ったんだ。そのために家からいられなくなった。いつか話すつもりだった」「後ろから?」「毒蛇を殺すのに前も後もない」

再びイカダに乗って河をくだる三人。「この河は「帰らざる河」と呼ばれる理由がすぐわかる」恐ろしい激流が三人を襲うが超絶的な櫂さばきで難所を乗り切るコールダー。イカダはなんとか川岸に接岸するが、精根尽きて倒れたケイを懸命に看病するコールダー。翌朝、再びイカダに乗って河をくだる三人の前に溺れた大鹿が現われる。見事な縄裁きで大鹿を捕まえるコールダー。

早速鹿の丸焼きを作るコールダーとマーク。「彼女はどこに行った」「水浴びだよ。どうしてケイに冷たいの」「普通にしているだけだ」「パパはあの男を殺すの?」「マーク。世の中には法律というものがある。ここで馬を盗むのは命を盗むのと同じことだ。彼のせいで命が危ない」水浴びから戻ったケイとイカダの荷物をおろしに行くコールダー。「あなた、意外にいい人ね」「急にどうした」「あなたは意地っ張りだけど、根はいい人よ。素直にすればきっともてるわ」

急にむらっときたコールダーはケイを抱こうとするが、息子の叫び声に気付く。マークは猛獣に襲われそうになるが、むさくるしい男が現われて、猛獣を銃殺する。「俺はコルビー。二日間食ってない」「肉をどうぞ」「香りがしたからやってきた」「金鉱さがしか」「今は金鉱より人探しだ」

ケイに好色そうな目をして話しかけるコルビー。「お前はイカサマ師ハリーの女だな。二人でイカダに乗ったと聞いたが。何かあったのか」「……」「イカサマ師に捨てられたのか」「……」「俺も彼を探しているが、こっちには馬も銃もある。連れてってやろうか。イカダじゃいけねえぜ」ケイはイカダで行くとコルビーに言う。コルビーはコールダーを襲うが、逆にねじふせられる。コルビーの銃を奪うコールダー。

再びイカダを走らせるコールダーに私は疫病神ねとつぶやくケイ。「コルビーのことなら気にしなくていい。みんな金のせいだ。ハリーもコルビーも欲ボケになった」「……」「君は感心だ。トラブルから逃げない」「あんたは不思議よ。人間じゃないみたい」「昼間は悪かった」「……」「君だって不思議だ。コルビーと行く方が安全なのに、なぜ断った」「誰があんな男と」「ハリーも同類だ」「何もわかってないのね。コルビーなんかと一緒にしないで」

インディアンは執拗に攻撃をしかけてくるが、コルビーの銃で追い払うコールダー。最後の大激流を乗り切り、カウンシル・シティー近くに到着するコールダーたち。ケイはハリーに先に会わせてとコールダーに頼む。「彼に反省させたいの。数分でいいわ」「わかった」「ここに着くと思ってた?」「さあな」「あんたは成功する、と私は信じてたわ。憎しみと愛の強さで」「愛?」「マークへの愛よ。きっと愛が不可能を可能にしたんだわ。そんな愛が私はうららましいわ」

酒場でトランプに興じるハリーに会いに行くケイ。「なぜ戻らないの」「やっと着いたところだ。誰と来た?コールダーか」「そうよ」「どこにいる」「雑貨屋で待ってるわ」「話を聞こう」「あんたは殺されても文句が言えない立場よ。コールダーに話して。迷惑をかけてすまないという気持ちを」

「わかってくれるかな」「いい人なのよ。息子もいるし」「惚れたのか?」「……」「登記は済んだし、リッチに暮らそうぜ」「……」「俺はつまらない男だった。ケチなイカサマ師だった。夢に見たチャンスをつかんだんだ。馬泥棒くらいで殺されてたまるか。話をつけにいってやる」

コールダーのいる雑貨屋に近づいたハリーは、問答無用とコールダーに向かって発砲する。とどめをさそうとするハリーの背後から雑貨屋の銃を発砲するマーク。即死するハリー。「仕方なかったんだ」「いいのよ。マーク。撃つしかなかったわ」父親に抱きつくマーク。立ち去るケイ。「どこに行くの」「さあな」「遠くへ行くの」「さあな」

酒場の女に戻ったケイは「帰らざる河」をけだるく歌う。「耳をすませば悲しい波音。帰らざる河と人の呼ぶ流れ。時には穏やかに、時には激しい。恋は旅人。帰らざる河を下り、流れ流れて、末は荒海の泡を消える。河が囁く、もう帰らないと。この河で恋を失い、永遠に痛むこの胸、あの人は去った、帰らざる河を下って、あの人は戻らない、永遠に」歌が終わり、コールダーが現われ、ケイを抱えて馬車に乗せる。「どこへ?」「家だ」マークを抱きしめるケイなのであった。