手塚治虫「ブラック・ジャック(21)」 | ロロモ文庫

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ピノコ生きてる

洗濯をしていたピノコは突如倒れる。ピノコを調べて「俺としたが何というミスを」とうめくブラックジャック。意識を取り戻すピノコ。「ごめんちゃい。先生。急にボーッとちて、目がまわっちゃたの」「そういえば、お前このところ顔色が冴えなかったな」「エヘ。こんなもん、一日でなおっちゃう」ピノコは起きて掃除を始める。「ピノコ。無理に仕事をするな」「急にそんなに寝なくっったていいのよさ。そえに、今日はゴミをといにくゆ日よのさ」

「寝てろ。お前は自分の体がわかっていない」「ちぇ。何かってっと、すぐにそういうんらから。そやあ、ピノコのかやだは先生が作ったんらもんね」「じゃあ、教えてやる。お前は白血病だ」「いいの、いいの。先生なや、簡単になおしちゃうかや」「今度はそうはいかん」「えっ」「お前の白血病は厄介な悪質なやつで、このままでは命にかかわる。白血病は血の中に白血球がどんどん増える病気だ」「……」

「ただ一つ助かる方法は、お前の血を全部入れ替えることだ。それも赤の他人じゃだめだ。お前の血をわけた姉さんから血をもらうんだ」「ピノコ、ねえたんなんか、いないよのさ」「いる。私が手術をしてお前を切り離した女の人だ」「あんなの、ねーたんじゃないよのよ」「お前を助けられるのはあの女だけだ。私はあの女をきっと探し出す」しかしブラックジャックは女を探し出すことができず、あせり始める。

「一応、普通の輸血はやってみるが、期待しないでくれ。血液銀行の血だ。せめてあの時、彼女を連れてきた医者さえつかめたらなあ」「先生。ピノコちぬの」「なんともいえんね」「もし、ちぬんならお願いがあんの。ピノコね、ちぬ前に、いちろらけ、ちゃんとちた大きちゃになってみたいのよの」「大きくなる?」「ピノコ18よ。普通やな、八頭ちんよのよ」「18なら18らしく死にたいのか。それもよかろう」「そいれ、先生ときちゅして、だきちめてもらう」

必死で女の行方を探すブラックジャックは、女を連れてきた医者を探し出す。「あの時は私があなたの患者を救った。今度はあなたが助けてくれる番だ。患者の双子の妹にあたる子供が白血病で苦しんでいる。その子の命を救うには、あの女の人にきてもらうしかないんだ」「わしにはあの患者を連れてくることはできません」「なぜだ」「あの患者は死にました。自殺したのです」

がっくり肩を落とすブラックジャック。「ピノコ」ブラックジャックはピノコを八頭身にする手術の準備をする。「八頭ちんのきえいな女の子になゆ?」「ああ、なるとも。誰だって問題じゃない美人になるさ。その代わり手術して何日かでお前は死ぬんだぞ」「いいの。一日れも、我慢ちゅゆ。ねー先生。先生が見てきえいと思ったや、ピノコと結婚ちてくえゆ?」「ああ、してやるとも」「わー、ちゅてき」

ピノコに麻酔をかけようとするブラックジャック。「ピノコ」「なーに」「お前には生きてほしかった」そこへ医者がやってくる。「申し訳ありません。あの女性は生きています。ただ、あの女性は大変地位の高い家柄の人なので、一切を秘密にしてくれと口止めされましたので」「居場所を知っているのですか」「私が医者としての責任で連れてきました。すぐに輸血を」顔をベールで隠した女がやってくる。

「よく来てくだすった。あれがあなたの妹です」「見たくありません。妹でもなんでもありません。早くすませて帰して」「世間体か。冷たいもんだな。ピノコ。お前の血が来たぞ。お前は助かるんだ」「いやん。いやん。ピノコ、八頭ちんのすごい美人になゆのよ」「無理に八頭身になる必要はない。そのままでも十分生きていけるんだ。さあ、安心して寝ろ」「先生のバカ」