ロロモ文庫

ロロモ文庫

いろいろなベスト10や漫画のあらすじやテレビドラマのあらすじや映画のあらすじや川柳やスポーツの結果などを紹介したいと思います。どうぞヨロピク。

10位は鰙(わかさぎ)、9位は率(わりあい)、8位は廟(みたまや)、7位は武(もののふ)、6位は唐(もろこし)、5位は諸(もろもろ)、4位は邪(よこしま)、3位は源(みなもと)、2位は紫(むらさき)、1位は私(わたくし)となるわけです。

10位は悃(まごころ)、9位は壬(みずのえ)、8位は鋒(ほこさき)、7位は陵(みささぎ)、6位は俎(まないた)、5位は眦(まなじり)、4位は黛(まゆずみ)、3位は褌(ふんどし)、2位は幻(まぼろし)、1位は湖(みずうみ)となるわけです。

10位は臃(はれもの)、9位は蜩(ひぐらし)、8位は杓(ひしゃく)、7位は腸(はらわた)、6位は磔(はりつけ)、5位は柊(ひいらぎ)、4位は梟(ふくろう)、3位は蛤(はまぐり)、2位は隼(はやぶさ)、1位は懐(ふところ)となるわけです。

10位は妁(なこうど)、9位は習(ならわし)、8位は蒜(にんにく)、7位は鰰(はたはた)、6位は瓣(はなびら)、5位は餞(はなむけ)、4位は英(はなぶさ)、3位は某(なにがし)、2位は鋸(のこぎり)、1位は鶏(にわとり)となるわけです。

10位は皁(どんぐり)、9位は鰌(どじょう)、8位は譫(たわごと)、7位は朔(ついたち)、6位は輩(ともがら)、5位は永(とこしえ)、4位は兵(つわもの)、3位は掌(てのひら)、2位は灯(ともしび)、1位は丼(どんぶり)となるわけです。

10位は酣(たけなわ)、9位は鬣(たてがみ)、8位は篁(たかむら)、7位は筍(たけのこ)、6位は橙(だいだい)、5位は偶(たまたま)、4位は某(それがし)、3位は賜(たまもの)、2位は橘(たちばな)、1位は魂(たましい)となるわけです。

10位は屡(しばしば)、9位は皇(すめらぎ)、8位は銀(しろがね)、7位は屍(しかばね)、6位は漣(さざなみ)、5位は候(そうろう)、4位は殿(しんがり)、3位は姑(しゅうと)、2位は魁(さきがけ)、1位は侍(さむらい)となるわけです。

ショパンの心臓

西暦2000年。ポーランドでは5年に一度の大イベントが開催されようとしていた。ショパン・コンクール。課題曲はショパンの作品に限定され、ロシアのチャイコフスキー・コンクールと並ぶ世界的権威を持つピアニストのコンクールである。

2年前のワルシャワ。藤田は聖十字架教会に行く。「知ってる?ここの教会には、ショパンの心臓があるのよ。ポーランド出身のショパンは祖国の行く末を案じながら、パリで客死したの。遺体はパリの墓地に埋葬されたのだけけど、ショパン本人の遺言により、心臓だけは遺体から取り出され、壺に収められた。そして、ワルシャワに運ばれ、この教会に埋められたのよ」

藤田は神父に今あるショパンの心臓は50年以上前にすりかえられたニセモノだと報告する。神父は本物を取り戻してくれと頼む。「ショパンはポーランドの誇りです。ショパンの魂と心臓はポーランド人とともにあらねばなりません」「いいでしょう」

藤田はニューヨークにある世界的投機家のワシレフスキの家に行く。彼の一人息子レオンはピアニストを目指していた。藤田はワシレフスキにショパンの心臓を譲ってくれと申し込む。「確か、ワシレフスキさんのご両親はポーランド出身でしたね」「ああ。第二次大戦中、ナチスがポーランドに侵略した。そのとき、このアメリカに逃れたんだ」「1944年のことでしたね。ナチスはポーランド人の抵抗運動を殲滅するため首都ワルシャワを徹底爆撃した。ショパンの心臓を安置した聖十字架教会もその例外でなく、この戦災で一度破壊されました」「……」

「その爆撃の直前、一人のドイツ人従軍神父が教会を訪れました。その神父はショパンの熱烈な信奉者であり、爆撃でショパンの心臓が失われることを恐れました。神父はショパンの心臓を預かりました。その心臓は私が調べたところ、1998年現在は」「そうだ。今私が所有している。しかし、今は売り渡す気はない。今はな」

「一人息子のレオン君のためですか。彼は天才的ピアニストといっていいでしょう。なんでも2年後のショパン・コンクールを目指しているとか。お気持ちはわからないでもありません。ショパンの心臓を手に入れた年、レオン君は生まれたそうですな。あなたにとって見れば、レオン君とショパンは切っても切れない仲」「あれには私のようにゼニカネに追われる人生でなく、芸術の道を進ませたいのだ」

しかし、レオンの乗ったタクシーは事故にあい、レオンは重傷を負う。ワシレフスキは壺を抱える。「それは」「ショパンの心臓のはいった壺だ。私の両親は熱烈なるカトリックの信者だった。しかし、私はそれに反発して、教会や神の権威を否定して育った。だから投機家として成功したと思っている。しかし、今夜生まれて初めて神に祈る。レオンを救いたまえ。息子の心臓を止めないでくれ。もしも、息子の命を救ってくれるなら、何もいらない。このショパンの心臓をポーランドに返還してもいい」

しかしレオンは脳死状態となる。「残念ですが、息子さんの生命は、現在生命維持装置の力で長らえているにすぎません」レオンはドナー登録をしていた。「申し上げにくいことですが、息子さんの臓器を移植用に摘出させていただきたのですが」「臓器というと」「腎臓、肺臓、脊髄、角膜。そして心臓もです」よろめくワシレフスキ。「これがあなたの答えか。神よ」

2000年ワルシャワ。ショパン・コンサートで一人のアメリカの少女がピアノを弾く。ワシレフスキに話しかける藤田。「彼女は2年前ピアノに触ったことがなかったそうです。それが、ある日唐突にピアノを弾いてみようと思いたった。するとピアノはみるみるうちに上達。このコンクールの舞台に出るまでになったという奇跡の物語」「……」「2年前、彼女は心臓移植の手術を受けています」「!」

「臓器移植を受けた人間は、ときに性格や嗜好が変化したり、臓器提供者の特技をマスターしたりという不思議な報告があるそうです。このため、人間の記憶は脳だけでなく、臓器個々の細胞にまでしみこんでいるという仮説もありましてね。私は彼女の心臓提供者を調べました」涙を流すワシレフスキ。(レオンだ。レオンは生きている)一ヵ月後、聖十字架教会にショパンの心臓は帰ってくるのであった。

パリスの審判

藤田と交渉する太目の女性。「つまり、これはルーベンスなんですのね」「ですから、正確にはルーベンスの工房の弟子の作品と申し上げております」「弟子といってもルーベンスはルーベンスなんでしょう。まったくのニセモノというわけじゃないはずよね」「いや、まあ。そこの違いを理解していただきたいんですが」

女性レポーターがパリス・コートを紹介する。「ここ、パリス・コートは複合商業施設であり、女性の女性による女性のためのテーマパークです。有名なお店がギッシリ。そしてなんといっても目玉はコレ。巨匠ルーベンスの名画「パリスの審判」が常設展示されております」総合プロデューサーの大谷はパリス・コートの名称について説明する。「パリス・コートの名称は「パリスの審判」から頂いております。ギリシア神話の「パリスの審判」はご存知ですわね」「たしか、世界最古の美人コンテストだとか」

「ええ。あるとき、三人の女神、ヘラ、アテナ、アフロディテ、最も美しいのは誰か競うことになりました。その審判をくだすのは、羊飼いの男パリス。女神たちは美味しい条件を出して、パリスの気をひこうとします。美を追求する豊穣な女神たち。それは、パリス・コートを訪れるお客様自身の姿でもあります」「でも、この絵の女神たち。ちょっと太めでは」「だからいいのよ。世の中が閉塞している今だからこそ、女性たちがうなだれた男たちを奮い立たせてほしいわ」女傑の大谷はさしずめゼウスの妃ヘラというところであった。

大谷のところに高田美術館の三田村館長がやってくる。藤田に聞く三田村。「やあ、三田村館長。相変らず美しい。美の女神アフロディテという役どころですかな」「あなたが売った「パリスの審判」。作者はヨールダンスだわね」オランダ人のヤーコブ・ヨールダンスはルーベンスの工房で弟子だったこともある画家だった。三田村はパリス・コートは即刻展示を中止するか、真の作者を発表すべきだ、と主張するが、大谷はそれはできない、と拒否する。

「あれは、うちの目玉。パリス・コートの柱なんですよ。オープンしたばかりで、そんなことはとても」「今はルーベンスです。全てはこのケリをはっきりつけてからのこと」「あなた。あなたなら、わかるでしょう。男社会の中で私たち女性がどれだけ苦労しているか。私の下で働いて面白くない男たちは、今もたんといるんですよ。わかってくださいよ、三田村さん」「私は自分の正しいと思ったことを公表するだけです」

地震が発生し、ポセイドン広場で石像が倒れ、大谷は下敷きになる。それを助ける女子プロレスラーのアテナ恭子。藤田は三ヶ月待ってくれ、と三田村に頼む。「本物のルーベンス、必ず用意しますから」「あの気の毒な大谷さんのために?意外に涙もろいのね。フジタ」「いいえ。もちろん、ヘラ、アテナ、そして、アフロディテ。三人の女神のためですよ」

箪笥の中に

軽井沢の別荘に藤田を連れてくるサラ。藤田は別荘の家具を買いに奔走する。サラと藤田は古沢堂という骨董屋で、さまざまな名品を見つける。「やはり、別荘地だけあって、裕福で目の肥えた御仁が多いんですかな」「それもありますが、最近掘り出し物を持ち込んでくれるお客様がいらっしゃいましてね」サラは車箪笥に目をつけて、ゲットする。

隣の別荘に住む老婦人が引っ越し祝いにやってきて、車箪笥に目を丸くする。「和箪笥は機能性は勿論デザインも優れていて人気が高い。その歴史は意外に浅く、江戸時代中期に始まります。それ以前、日本にあったのは引き出しのない大陸風の箪笥だったのです。和箪笥が全盛期を迎えるのは、明治から昭和にかけてであって、衣装箪笥、帳簿箪笥、船箪笥、茶箪笥などが作られました」「これは岩手の産ね。最高級という檜箪笥だわ。木目や肌、金具の細工がとってもきれい」

老婦人は自分の別荘にサラを呼び、古伊万里の皿を見せる。「あの箪笥の上に置いたら、とっても映えると思うの」「おばあさん、とっても骨董に詳しい方だったんですね」「亡くなった主人の道楽だったのよ。息子夫婦は東京に住んでいて、ここを引き払って同居しないかというのよ。だから、少しずつこの骨董品を処分しないといけないのよね」「あ。ひょっとして古沢堂に掘り出し物を持ってくるお客さんって」「あらあら。そんなこともご存知なの。そうなのよ。だからね、この皿もサラちゃんに進呈しようと思うのよ。お近づきのしるしに」

老婦人の別荘に食事をしにいく藤田とサラ。藤田はそこにある骨董品をチェックする。「あの古伊万里も古沢堂にあった黄瀬戸も志野も、この2、3年のうちに民間で盗まれた骨董品とよく似ているんですよ。盗難地は箱根、河口湖、八ヶ岳。おや、どこも別荘地ですな。警察は同一犯の別荘荒らしとして、全国の美術品骨董品にリストを回している」老婦人の右手をつかむ藤田。「お上品な物腰にこの右手のタコは似つかわしくありませんなあ。これは金庫破りの常習者に見られる、ピッキングダコとよく似ていますぜ」

藤田は取引をしようと老婦人に申し出る。「あんたの持ち物を引き取ろうじゃないか。ただとはいわない。格安でね。ただし、あの古伊万里の皿はいただけない。あれは贋作さ。本物なら色絵の発色がもっといいはず。まあ婆さんの老眼じゃ見抜けなかったか。あんたもそろそろ骨董から手を引く潮時じゃないのか」しかし藤田とサラは老婦人に眠り薬を飲まされて、ぶっ倒れる。そのスキに老婦人は古伊万里の皿を叩き割って、逃走するのであった。