2022年GWに訪ねたイラクの旅を綴っています。以前、現地で書いた記事に写真と文書を大幅に追加しています。

 

 

 

 

 

ここから数日、イラク国立博物館に展示されている遺跡の説明と感想が続きます。私の備忘録ですので、あまりメソポタミア文明に興味のない方はスルーされてくださいね!

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

イラクで、何は飛ばしてもここだけは必ず訪ねたかったイラク国立博物館に到着しました。

 

 

 

 

 

 

見どころは何と言ってもメソポタミアコレクションの数々。世界最古の文明メソポタミア(地元イラク)から出土したシュメール、アッカド、アッシリア、バビロニア、イスラム文化までの石像や壁画、陶器、金属、楔文字のタブレット、羊皮紙などの遺物が収蔵・展示される世界で最も重要な美術館の一つと云われています。

 

 

とは言っても状態が良く、いかにも価値のありそうな遺物は欧米に強奪・略奪され、パリのルーブルやロンドンの大英、ベルリンのペルガモン、ニューヨークのメトロポリタンなどの盗品陳列館に収蔵されています。

 

 

 

 

 

 

私は、どの国を訪ねても首都の国立美術館は必ず行くようにしているのですよね。国を代表する芸術・文化・文明の宝庫ですものね。そんな中でもこの博物館、ちょっと他国とはレベルが違いました。

 

 

 

 

 

 

 

先ず展示物の歴史が違う。古くは紀元前6000年。今から8,000年前。たかだか700 年前のオスマンや1,000年前のマヤ、2,000年前のローマとは訳が違います。ペルシャ帝国アケメネス朝でさえ2,500年前。

 

 

どこから始めようかと思いましたが、展示面積の圧倒的に多いアッシリアからご紹介したいと思います。

 

 

初期アッシリアに人々が街を形成した形跡は紀元前6000年以前。展示は新アッシリア時代が大半で、今からおよそ2,800年前にメソポタミアからエジプトまでの古代オリエントを初めて統一したBC7世紀頃の遺跡が中心です。下図は最盛期アッシリアの領土です。

 

 

先ずは、アッシリアの首都コルサバード、古代名:ドゥル・シャルキンにキング・サルゴン2世(在位前721~前705)が治世の晩年に建設した宮殿遺跡からご紹介します。

 

 

城壁で囲まれた基壇の上に王宮と神殿、ジッグラトがあったようですね。

 

 

因みに先日ご紹介したドゥル・クリガルズなど「ドゥル」は「新しい」という意味だそう。

 

 

 

 

 

王宮の入り口にはこちら、有翼の人面獣身像。人間の頭を持つ翼のある巨大な雄牛が、宮殿と街を結ぶ門に建てられていたよう。特徴的なティアラを身に着けています。

 

 

そのすぐ先には、翼の生えた人?.

 

 

発掘当時の様子はこんな感じだったよう。

 

 

この有翼人面獣身像は、現在のイラク紙幣500ディナールにも載っていますよ。

 

こちらはキング・サルゴン二世です。王冠をかぶり、前の開いた長い衣服を着ています。

 

 

長方形のあごひげを生やし、ブレスレットとイヤリングを身に着けています。

 

 

現地の作品横の解説には「左手に植物を持っている」と書かれています。ヤシの葉だ、蓮の葉だなど諸説あるよう。

 

 

因みにシュメールの時代からヤシは神聖なもので、知恵を与えるとされていたそう。ヤシの木は砂漠でも成長し実を結ぶ唯一の木としてシュメールの記録に言及されており、アザや腫瘍の治療に用いたとも。

 

 
また、母親をヤシの木に見立て、その大切さと深い母性を伝えたらしい。ハムラビ法典にも、ヤシの木に関する事項が7条(全部で282条)も出てくるようです。
 
 
 
 
 
 

裾をフリンジで飾った長い衣服を着ています。芸が細かい!足の指、長い。

 

 

サルゴン二世は右手を挙げて右の軍事司令官に何かを託けているように見えます。どうやら彼は実の息子センナケリブ。サルゴン二世が退いた後、センナケリブはシリア、フェニキア、バビロンを次々と併合してメソポタミアを統一し、ドゥル・シャルキンを去ってご近所のニネヴェに砦を構えますよ。

 


王の後ろに立っている人は手に扇子を持っています。暑いので、サルゴンを扇いでいたのでしょう。髭のない人は、地位の低い若い人だと思われます。


 

その後ろには、2頭の馬を率いるアッシリア人。

 

 

同列に並ぶこの人たちは一体、なーにを運んでいるのかなあ?と考えました。

 



解説には「家具を運んでいる」と書いてありますが、家具?何で?引っ越し?こんな家具ある?万歳して上部を支えてる人型の彫刻は何やろな。笑


で、思いついたのは、「これ、椅子を解体した部品なんじゃないの?」と。

 

下の写真は椅子のサイドの部分(多分)。この素材は大理石なのでは?二人で運んでいる理由は結構重いうえ、落としたら割れる素材だからなのでは?サイドに彫られた4人が細かいし下の渦巻きも可愛い。


ここは後ろの脚部分のカバーかな。キングが向かうところに着いて持って行って、その場で組み立てるんちゃう?皆様はどう思われます?


 

まだ、超広い一フロアの一区画にある一つの壁しかご紹介していませんが(爆)、長くなったので次回に続きます。

 

 

この調子で行くと、イラク国立美術館の展示物ご紹介だけで一ヶ月かかりそうだ。笑