2018年9月、コーカサス&東欧の未承認国家を中心に旅した記録です。
 
 
 
 
 
144ヶ国目、ベラルーシへ飛びました。
 
 
私の訪ねるちょっと前まで、ベラルーシはベールに包まれていました。
 

ビジネスVISAこそありましたが、個人旅行でのツーリストビザは取れない国だったのですよ。観光情報などはほとんどありませんでした。
 
 
しかし、私の訪ねる少し前にいきなり門戸が開いたのです。日本のパスポート保持者はアライバルVISAが取れるようになったのですよ。
 
 
旧ソ色強く、これまで鎖国状態だったにもかかわらず、先進国に門戸を開いたということは、
 
 
当時、原油価格が大暴落(今は世紀の大暴騰。笑)し、脱オイル依存を打ち立てたサウジと同じく、相当お金に困って観光客を招く必要に迫られたのだろうと。
 
 
国民も貧しい人が多く、街は汚れてゴミだらけで、旧ソの古~~い落書きだらけの無機質団地が永遠と並んでいる零下の貧国。空は常々どんより曇り、夏でも肌寒く、厳冬では寒さの中でホームレスの凍死があとを絶たないような、可愛そうな国。
 
 
前提知識がないまま来たものですから、そんな風にイメージしていたのですよね。笑
 
 
なので、来てみてビッッッッッックリ!
 
 
何だこの美しい国は!何か全てがキラキラしてる。
 
 
何この美しい人々は?同じ人間と思えない!
 
 
何でこれを隠していたんだ!?なんで鎖国してたの?と、口あんぐりですよ、ホントもったいぶらないでー。笑
 
 
まあ、街自体が新しいので、相当開発したとは思われますし、中国資本の匂いも存分にあります。今は若干、鳴りを潜めているように見える「一帯一路」じゃないかな?
 
 
ミンスクの国際空港に着いたとき、館内でリピートするアナウンスに必ず中国語が流れるのには驚きました。この空港も中国が提供したのでは?と。市内に建設中のビルにも中国語が目立ちます。アフリカ並み。
 
 
そしてこの旅、ずっと暑い国を渡ってきていたのに、ここへ来て朝の最低気温6℃。アウターはユニクロの薄い夏用綿パーカしかなく、早朝めっちゃ寒かった。日の当たるところを選んで歩きます。
 
 
さて、ミンスクの中心部をご紹介。
 
 
街の中心にある聖霊大聖堂です。
 
 
信者の出入りが絶えません。
 
 
外装はシンプルですが、内装イコンの素晴らしさと言ったら!中での写真撮影は禁止とのことで、外から見えるところだけ撮りましたよ。一面に貼られています。
 
 
こちらはシアター。
 
 
ミュージカルから、オペラから、オーケストラ、サーカスまで、何でも催されるようです。
 
 
勝利広場です。
 
 
第二次世界大戦で、ドイツに勝利した記念広場です。
 
 
兵士や市民を悼む火も。私の行ったときにはいませんでしたが、本来なら衛兵が常に守衛しており、衛兵の交代も見られるそう。
 
 
ミンスクの列車駅。高輪ゲートウェイ駅に似てる。隈研吾?(高輪のほうが後に建設)
 
 
駅前のシンメトリービル。非常に由緒あるビルなのですよ。
 
 
空港からホテルへ向かう道すがらに見えた教会が気になり、地下鉄で行ってみることにしました。10分くらいその方向へ進み、「多分、この辺りだろう」と駅を降りて地上へ出てみたところ、
 
 
ビンゴ!あった!
 
 

左が建ったばかりで新しい石造りの教会。右は古くからある木造りの教会。

 

 
新しいこちらは、まだオープンしていないほど出来立てホヤホヤでした。こんな感じの教会を観たの初めてかも。なんて美しいんだ。
 
 
白壁にデザインが生えます。
 
 
金ぴか玉ねぎと細分化された窓のゴールド屋根が、太陽に反射しゴージャス。あまりにも美しくて何十枚写真を撮った事か。笑
 
 
中心部へ地下鉄で戻ります。高い木が多く、緑が多いです。
 
 
ウクライナやウズベキスタンもそうですが、旧ソの地下鉄はとにかくホームまで深い。今回のウクライナ紛争で知りましたが、防空壕になるのね!
 
 
それにしましても、貧国と思っていたベラルーシ、首都ミンスクに限ってはホント完璧と思えるくらい街が美しくてですね。
 
 
数々のモニュメントがあちこちオシャレに現れ、
 
 
街にゴミなど一つも落ちてなく、
 
 
至る所に花壇があり、
 
 
しかも素敵にデザインされ、
 
 
自然も多くて、なんやねん、この国ホント、なんで鎖国してたん?
 
 
しかしここも独裁25年。私の訪ねた2年後(2020)に大統領選があり、現職ルカシェンコが圧勝しましたが、不正選挙の証拠が次々に発覚して国民の抗議デモが起こり、相当に混乱していましたよね。
 

私のようにお気楽旅行者は良いですが、ベラルーシ国民はキツイのでは?私の知り合いのチュニジア人が、この大統領選の直前にベラルーシ人と結婚し、チュニジアからベラルーシへ渡りましたが、ドン引きしてました。チュニジアも民主化までに色々とありましたから、2度も同じ目を見るとはという感じでしょうか。
 
 
今回のウクライナでロシア側に着いてるベラルーシは、それだけで各国から制裁されてますよね。大統領はまあアレとしても、国民がなんだか気の毒です。
 
 
主要な国際クレカも、ベラルーシ国内は使用停止になってるらしいじゃないですか。
 
 
国民に罪はないと思うのですが。。このような事態になると、犠牲になるのはいつも一般市民です。
 
 
もしかして内部崩壊に頼るしかない?それとも、その前にEUが崩壊するか?
 
 
体育館のようなところに入ったら、古本市場になってました。売ってる文房具や筆記用具が日本と似通っていて、妙に安心感。笑
 
 
歩き疲れたので一旦ホテルに戻ります。
 
 
夕方、部屋から見える池の噴水が上がり始めた。
 
 
水を飲みながら出窓に座ってボーっと外を眺めていると、サーッと雨が降ってきた。バスの乗り方の要領が分からなくて、何度か無賃乗車しました。懺悔。
 
 
陽が沈んだころ雨が止んだので、また外へ。
 
 
おどろおどろしい空。大陸らしいなと思いました。
 
 
一般人の住むマンションを、ライトアップしているのですよね。
 
 
こんな細部にまで趣向を凝らすとか、ほんと、カザフスタンのアスタナ以来の衝撃ですわ。
 
 
 ミンスクはホント桃源郷のよう。
 
 
アフリカのサバンナも桃源郷なのですが、ここは都会の桃源郷。
 
 
とにかく綺麗。建物も自然も人間も。物価は安いし、夏は涼しいし(冬は寒すぎですが)、カフェやレストランも充実して、インフラは整い、ヨーロッパと同じで旅しやすい国でした。夏旅にオススメです。
 
 
さて、この旅はここベラルーシでフィニッシュです。
 
 
 
 
 
 
今回の旅は、旧ソの未承認国家を中心に周りました。どの国の人々も、民族や宗教の壁を越えられず、内戦(紛争)を繰り返し、未だに一触即発の中で暮らしていらっしゃいました。
 
 
 
 
 
特にナゴルノ・カラバフ は、この旅で訪ねたわずか2年後(2020)に、32年ぶり紛争再燃してしまい、実効支配していたアルメニアがまさかの失脚となるなど、大きな動きがありました。
 
 
 
 
 
未承認国の人々も政治に翻弄され、いつ戦争になるか分からない不安定な情勢の中で日々生活して行かなくてはならないのですが、意外に穏やかに和やかに暮らしているんだなぁとの印象を持ちました。
 
 
 
 
 
ただ暢気に構えているのではなく、いつでもその時(戦争や死)は訪れることを肝に銘じながら、悲観はせずに今を大切に生きている。という感じを受けました。
 
 
 
 
 
その地に生まれて、そこで生きていくことを決めたなら、それが彼らの宿命なのかも知れません。
 
 
 
 
 
なにか切ないですけれどもね。
 
 
 
 
 
さて、いつもながら長くなってしまいましたが、いつもいつも読んでくださる皆様、今回も長文の長旅にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!