日本最大の獣害事件⑦ | そうゆう星の生まれだもの・・・

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不幸を笑い飛ばしたい

村長は宗谷の熊撃ち「山本兵吉」に応援を依頼した。

兵吉は樺太でクマを刺し殺したこともあり、熊撃ちに関しては信頼がおけた。


しかし普段は酒を飲んでは暴れるなど、評判の悪い男でもあったため反対の声もあったが、村長は兵吉に依頼した。

兵吉は事件現場でマユとタケが食いつくされているのを見て

「ヤツはもうここには用はねぇ!今夜あたり橋を越えて襲って来るぞ」

と話した。


その夜、ヒグマが残っている六線沢と避難してきた三毛別を結ぶ氷橋をヒグマは渡るだろうと兵吉は予想した。


三毛別側で討伐隊が向こう岸の切り株の数を覚え、変化がないか見張っていたところ…


切り株の数々が一つ多いことに気付いた。よく見ると切り株が一つ動いている…

すぐに署長に報告し、全員対岸に向かって銃を構えた。


黒い影はゆっくりと氷橋を渡ろうとしており、重みで橋はミシミシと音をたてた。


「人か!?熊か!?」

かねてから、間違えて人を撃たないための合図が決まっていた。

この言葉を三回繰り返し返事がなければ撃つことになっていた。


「人か!?熊か!?」

「人か!?熊か!?」



「撃てー!」


討伐隊の銃が一斉に火を吹いた。


黒い影は引き返しものすごい早さで暗闇に消えていった。


調べると、巨大な足跡と血痕が残されていた。


討伐隊は喜んだ。ヒグマに怪我を負わせたのだ。明日弱ったところを撃ち殺せる!


しかし山本兵吉はこの銃撃には参加していなかった…


村長が聞くと、兵吉は

「あんなもの、ヤツにとってはかすり傷にもなっちゃいねぇ」

と言った。


翌日討伐隊はヒグマが逃げ込んだ山に入ったが兵吉は村長と討伐隊から離れ、討伐隊の反対側から山に入った。


討伐隊は風上から入っていたからだ。
ヒグマを知り尽くした兵吉は風上から入ると、嗅覚のいいヒグマはコチラの動きがわかるというのだ。


風下から山に入りしばらく進むと、兵吉の足が止まった。


巨大ヒグマはミズナラの木にもたれて、下方の討伐隊を見ていたが、兵吉たちには気付いていなかった。