注目していたアメリカの雇用統計。9月の非農業部門雇用者数は前月比2.9万人増と、市場予想の9万人程度を大きく下回る結果となりました。
さらに、7月と8月の雇用者数も下方修正され、2か月合計で6万人下方修正。失業率も4.1%から4.2%に上昇しました。
数字だけを見ると、「アメリカの雇用、ちょっと弱くなってきた?」という感じですよね。
ところが、株式市場ではこれがむしろ好材料として受け止められました。
弱い雇用統計がプラスになる理由はFRBの金融政策です。
雇用が強すぎると、賃金や物価への上昇圧力が続き、FRBが金利を高く維持したり、追加の利上げを検討したりする必要が出てきます。
逆に今回のように雇用が弱くなってくると、「これならFRBが追加利上げを急ぐ必要はなさそう」という見方が強くなります。
実際、今回の雇用統計を受けて、10月の追加利上げ観測は後退しました。(Reuters)
株式市場にとっては、
雇用が弱い
↓
インフレへの警戒が和らぐ
↓
FRBの追加利上げ観測が後退
↓
金利上昇への警戒が和らぐ
↓
株式に資金が向かいやすくなる
という流れです。
特に将来の利益への期待で買われやすいハイテク株は、金利の影響を受けやすいため、今回もNASDAQや半導体関連が意識されました。
「雇用が悪いのに株が上がる」という、一見すると不思議な動きですが、株式市場ではこういうことが結構あります。
もちろん、雇用が弱ければ弱いほど株にとって良いわけではありません。
今回の雇用統計では、雇用者数が大きく伸びなかった一方で、失業率は4.2%とまだ極端に高い水準ではなく、賃金の伸びも鈍化しています。
そのため今回は、「景気が急激に悪化している」というより、「雇用市場が少しずつ冷えてきて、FRBが利上げを急ぐ必要性が低くなった」という受け止めが強かったようです。(Reuters)
ただ、ここから雇用がさらに悪化していけば話は変わります。
「利上げをしなくて済むから株にプラス」ではなく、「景気後退が心配だから株にマイナス」となる可能性もあります。
このあたりは、今後の雇用統計やインフレ指標をセットで見ていく必要がありそうです。
では、日本株への影響は?
アメリカ株が上昇し、特にハイテク・半導体株が強かったことは、週明けの日本株にとってもプラス材料になりそうです。
日本の株式市場は、ここ最近かなり半導体株の影響を受けています。
東京エレクトロンやアドバンテストなど、指数への影響が大きい銘柄が動くと、日経平均そのものも大きく動きます。
実際、10月1日の日本株では半導体関連が大きく買われ、日経平均を押し上げる場面がありました。
一方、10月2日はその反動もあって日経平均が下落。
つまり今は、
「アメリカの半導体株が上がる
→ 日本の半導体株にも買いが入る
→ 日経平均も上がりやすい」
という流れがかなり意識されやすい相場です。
今回のアメリカ市場で半導体関連がしっかりしていれば、週明けの日本市場でも半導体株が再び買われるかは注目したいところです。
ただし、日本株を見るときには為替も忘れられません。
今回の弱い雇用統計によってアメリカの利上げ観測が後退すると、アメリカの金利やドルの動きにも影響します。
ドル安・円高方向に動けば、日本の輸出企業にはやや逆風。
一方で、アメリカの金利上昇への警戒が和らぐこと自体は、グロース株やハイテク株には追い風になりやすい。
つまり、
「アメリカ株高=日本株も全部上がる」
という単純な話ではありません。
半導体などのハイテク株には追い風でも、為替の動きによっては輸出株には違った影響が出る可能性があります。
今回の雇用統計を受けて、週明けの日本株では、
・アメリカの半導体株の上昇が続くか
・日経平均の半導体株への偏りが続くか
・ドル円がどう動くか
・アメリカの金利がさらに低下するのか
・「利上げ後退」から「景気悪化懸念」へ市場の見方が変わらないか
このあたりを見ておきたいと思います![]()
特に最近の日本株は、日経平均が大きく上がっていても、持っている銘柄によって体感がかなり違うんですよね。
半導体が大きく上がれば指数はグッと上がる。
でも、半導体以外の銘柄はそれほど動いていない……ということもあります。
なので、日経平均だけを見るのではなく、「自分の持っている銘柄には、今の相場がどう影響しているのか」も見ておきたいところです。
今回の雇用統計は、数字だけを見ると決して強い内容ではありませんでした。
それでも株が上がったのは、今の市場が「景気の強さ」だけではなく、FRBの金融政策と金利の方向をかなり意識しているから。
そして、アメリカのハイテク・半導体株が強ければ、日本の半導体株にもその流れが波及する可能性があります。
週末のアメリカ市場を見る限り、明日からの日本市場もちょっと楽しみになってきましたね![]()