出逢い3 | ヒナココの読むだけで運気がどんどん上がる↑ブログ

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出逢い 3




   あんな感じの人、素敵だな。



最初の印象は それだけ。



私は早めの生成りのワンピース。



哲生さんは 紺色のバンダナを頭に蒔いて、紺色のシャツ、シルバーのアクセサリー、細身のジーンズ。

お洒落な人で落ち着いていてクールな印象だった。




俺様で無愛想な青ちゃんが、コドモのような笑顔で哲生さんには 話しかける。


カウンターに 同じ頃合いの年齢の 一人連れの男女が座っていて マスターの青ちゃんが紹介しないのは、訳があるんだろう。

その時はそう思っていた。

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カシスウーロンを飲みながら、ビーリバーのカウンター席で常連さんと喋っていると、また哲生さんが

戻ってきた。

今度は けんちゃんと一緒だ。

けんちゃんは 
八王子ラーメンの有名店の オーナー店長。何度か 話したことがある優しい人だ。

今度は隣に座った哲生さんに、私は頃合いを見て

「はい、乾杯」

とグラスを合わせた。

「あ、愛里、お前音楽関係の仕事してた事あるんだよな。藤本さんも 音楽の仕事して、バンドでデビューしてるんだよ」と青ちゃん。


「そうなの?」と話を合わせながら実は興味ない私。

私がした音楽関係の仕事はレコード会社の演歌部門の宣伝で。

演歌歌手の方とはよくご一緒させていただいたのだが、バンド関係はあまり関係ない。

「藤本さんはさ、ビジュアル系のバンドでデビューして イカ天にも出ているんだぜ。
あ、イカ天映像みちゃう?」

ごきげんな青ちゃんが、

「いいよ、そんなの」と照れる藤本さんにかまわずに モニターに映像を映す。

『イカす!バンド天国!!


なつかし過ぎる映像だ。

私が二十歳のころ。


イカ天バンドがたくさん、ヒットチャートを賑わせた。

たま、クスクス、カステラ。カステラはちがったかなぁ?

その頃は イカ天バンドか ホコ天バンド、ビジュアル系が人気だったんだよね。

「私は、KATZEが好きだったよ」と言うと、「KATZEかぁ、ライブハウスで一緒だったことあるよ」

無口な印象だった藤本さんも 音楽の話だと 少し話してくれる。

少し笑顔も見れた。



今 思うと私が覚えている哲生さんの 数少ない笑顔だ。


その日、私達は ささやかな幸せに酔いしれていた。

思い出話と 懐かしい音楽。

夜更けまで わいわいと  カウンターバーで みんなで おしゃべり。

初めて出逢うひとに 気をつかいながらも 感じよく お互いの共通点を探し話題を選び

すこしずつ うちとける。


週末のビーリバー。

八王子南口の 小さな レストランバー。

無愛想なマスターの青ちゃん。


もうこの世にいない哲生さんが 一番愛した店。