尾川永次のブログ -276ページ目

尾川永次のブログ

小説、ポエム、旅日記などなど徒然なるままに行きたいと思っています

ここのところの暖かさで桜が7~8分まで咲きました。

散り頃となると来週の水曜日辺りですが土日の多摩川土手は凄いでしょうね。

騒がしいのがリブさん共々、私も苦手なので
この時期は土手には行かないんですよね。

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                         最近リバウンドぎみのリブさんです。


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                          そんな桜の木の下にひっそりとたんぽぽが一輪。

        春ですねー。



      スコットタント18

スコットタントが大きなガジュマルの木の側で焚き火の準備を始める中、メイルは木の
根元の置いてあったディバッグから蜂蜜の入った壷と木の実の袋を取り出していた。

「まだ明るいが掘らないのか?」
大きなガジュマルの木がメイルに訊いた。
「うん。タントは太陽の光が無いと動けなくなっちゃうから穴の中にずーっとは居られないんだ」
「そうか、私と同じだな」
「メイルー、蜂蜜と木の実の袋は?」タントがメイルに歩寄りながら言った。
「今出してるー」

すると大きなガジュマルの木がタントに訊いた。
「タント、一つ訊いていいか?」
「はい」
「お前はあんな穴を掘ることが出来る力を持っているのにさっきは何で逃げ出す事に
 使わなかったんだ?」
「貴方に僕達を傷つけるつもりは無かったし、これは穴を掘ったり畑を耕したりする道具で
 誰かを傷つける為に有るわけではないですから」
「そうか」
「上手く行けば明日には水が出るかもしれません」
「そうなるといいな」
「祈っててくださいね」
「タントこれ」
メイルは木の実の袋を外に放り投げると直ぐにバッグに入り今度は自分と同じ位の大きさの
蜂蜜が入った壷を抱えて出てきた。
「重ーい。早く持ってー」
メイルはスコットタントに助けを求めた。
「はいはい」
「ありがと」
スコットタントが袋と壷を持つとメイルはスコットタントの肩に乗った。

そして歩き出そうとしたスコットタントに大きなガジュマルの木が言った。
「タント」
スコットタントが足を止めて振り向いた。
「はい?」
「俺の、俺の願いを聞いてくれるか?」
「はい、何ですか?」
「もし、明日水が出なくても旅立ってくれ、それが俺の願いだ」
「分かりました。それでは僕のお願いも聞いていただけますか?」
「何だ?」
「水が出るまで此処に居させてください」
「だが、水が出なかったら旅が続けられなくなるぞ」
スコットタントは笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ。絶対に水は出ますから」

焚き火へと歩き出したスコットタントの肩に座っていたメイルが振り向いて言った。
「明日ねー」
少しの間を置いて大きなガジュマルの木が答えた。
「そうだな、明日」

・・明日か・・。大きなガジュマルの木はその言葉を考えていた。
明日と言う言葉を何年聞いていなかっただろう。
明日と言う言葉を何年考えていなかっただろう。
帰って来ない昨日の事ばかり考えていた・・。
大きなガジュマルの木は笑顔で小さく呟いた。
「明日な・・」

その夜、大きなガジュマルの木の側でスコットタント達が小さな火を囲んでいた。
その火は大きなガジュマルの木を暖めるほどの大きさでは無かったが、大きな
ガジュマルの木の心を温めるには十分な大きさだった。


        スコットタント17

スコットタントは土埃を上げながらモーレツな勢いで穴を掘って行く。
その様子に。
「タントすごーい!」メイルは感心して。
「相変わらですな」チキは納得して。
「どんどん掘れ、どんどん掘れ」タキは小躍りして喜んだ。

「よーし、がんばるぞ!」
それを聞いたスコットタントはさらにパワーアップして一気に二十メートル程掘り進んだ。
「ん?」
それまで聞こえていた皆の声が急に聞こえなくなった。
・・どうしたのかな?・・。
掘るのを止め地面に上がるとそこにメイル達の姿は無く掘り出した土が山となっいてた。
「あれ、誰も居ない?」
「ここ、ここ」
「出してー」
「おいらはモグラじゃなくてよリスだよ」
「え、何処?」
声は山となった土の中からだった。
慌てて土をどけると土の中からメイル達が出てきた。
「ふえー、タントひどいよー」
「ごめんごめん」

タントがメイルの土汚れを掃った横でチキとタキが
自分達で汚れをはたいて落とした。
「これなら明日にでも水脈まで掘れそうですな」
腕組みをして納得顔で頷いているチキの横ではたいた身体から出る土埃を見ながら
タキが呟いた。
「地リスだねこれは」
「そうだね。大分汚れちゃったから此処を出て行くときは水で綺麗にしようね」
そう言いながらスコットタントは少し夕焼けが近付いたオレンジ色の空を見上げて言った。
「もうじき陽も暮れるから夕食の準備かな」
「わーい」メイルは万歳をした。
「夜は冷えますから焚き火が必要ですな」チキは少し寒そうに肩を震わせ。
「そうだね」
スコットタントが頷くと。
「わーい、焚き火だ焚き火だ」タキは小躍りをして喜んだ。