たんと 15 | 尾川永次のブログ

尾川永次のブログ

小説、ポエム、旅日記などなど徒然なるままに行きたいと思っています

           スコットタント15

スコットタントは悲しげな顔で大きな木に近寄ると幹に手を当て眼を閉じた。
幹を流れる水の流れと共に深い悲しみが伝わって来るような気がした。
「辛かったのですね。寂しかったのですね」
するとメイルは枝に移り頬を幹に当てた。
「大丈夫だよ。タントもチキもタキも皆優しいんだから。きっと何かいい方法があるよ」
チキとタキが大きな木の枝から枝へと楽しそうに動き回る。

大きなガジュマルの木は昔を思い出した。昔観ていた幸せだった時間を思い出した。
やがて大きなガジュマルの木が泣き出した。大きな声で泣き出した。
「おお・・」
大きな眼から大粒の涙が溢れ出ては乾いた大地に吸い込まれ、大きな声は平原を響き渡った。

少しして大きなガジュマルの木は落ち着きを取り戻すとゆっくりと静かに話し出した。
「ありがとう。そう言ってくれただけでも本当にうれしいよ。だが俺にも一人で枯れていく
 ことしか出来ないのは分かっているんだ」
「タント、何もしてあげられないの?」
メイルはタントの肩に乗り涙ぐんでいた。
「みんなの協力があれば何とかできるかもしれない」
「ホント!」
メイルは嬉しそうに返事をしたが大きなガジュマルの木は諦めに満ちた声で言った。
「お前達に何も出来る事は無いよ。すまなかったな。自分達の旅を続けておくれ」
そう言うと大きなガジュマルの木は回りを囲っていた根を地中に戻した。
するとチキが腕を組んで難しい顔をして言った。
「そうですな、タントの言う通りまるっきり無いとも言えませんな」
「チキもそう思うかい?」
「はい、彼のお仲間を増やすことは可能かもしれません」
「ほんとに?」メイルが訝しげな顔でチキを見た。
チキはメイルを軽く睨むと木の周りを歩きながら言った。
「とにかく水が必要ですね。ただ彼がこうして生きているのですから地下深くに水脈が
 あるはずです。穴を掘り水脈に圧力があれば湧き水になると思います。そうすれば
 池になりそこから流れ出す川でその回りに森が出来るでしょう」
するとタキが怪訝そうな顔で言った。
「でも種なんか無いし。あったとしてもそんな急に芽は出ないし、それまで此処に居るつもり?」
そんなタキの顔をスコットタントは笑顔で覗きこんだ。
「だからみんなの協力がいるんだよ」
その顔を観てタキは全てを理解したと同時に顔が引きつった。
「えー、タントのお願いでもやだよー。あれは俺たちの食料なんだ!」
「大丈夫だよ。次の森までの分は残すから。でも芽が出るまでは待てないから・・」
スコットタントの言葉にチキが続けた。
「それはメイルにお願いするしかねいでしょうな」
メイルも憮然とした顔になった。
「えー!バースデー魔法は一回使うと二、三日何も出来なくなっちゃうから使いたくなかったのにー」
「頼むよメイル」
スコットタントが肩に乗っているメイルに顔を向けるとメイルが眼を逸らした。更にスコットタントが
顔を寄せるとメイルは顔を背けた。
「その代わりメイルのお願い聞いてあげるから」
するとメイルは急ににこにこ顔でスコットタントに顔を向けた。
そして恥ずかしそうにすると。
「いいよ。タントがそう言うなら・・。その代わりにね」
スコットタントに耳打ちした。
「しょうがないなあ」
「やったー!」
すると突然スコットタントが空を見上げて大声を上げた。