たんと 3 | 尾川永次のブログ

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小説、ポエム、旅日記などなど徒然なるままに行きたいと思っています

              スコットタント 3

頭と言っても正確には頭に乗せられた円錐状のガラスで出来た帽子のような
物の中にぶら下がっている星が光ったのだ。
ボーイと呼ばれていたその人形の身長は百二十センチほどで、三頭身の頭に
円錐形のガラスで出来た帽子をかぶり、手足は細く冷たい鉄の身体をゴムの
皮膚で覆いその上に洋服を着ていた。
ボーイは椅子から降りるとドアを開けて階段を上がり夕日に照らされた裏庭に
出た。
そして花々に溢れた裏庭を歩いていると早速声を掛けられた。
「ボーイ、さっき人達誰なの?」
「誰?誰?」
リスのチキとタキがボーイの周りをせわしなく走り回りながら言った。
「博士の娘さんだよ」
「一緒にいた太っちょの男は?」
「さあ。僕も初めて見る人だよ」
「ふーん、何だか意地悪そうな感じだったね」
「そうそう」
合いの手専門のタキが頷いていると羽根の生えた小さな妖精、メイルがボーイ
の肩にスーッと現れ顔を覗き込んだ。
「ボーイ、元気ないよ。どうしたの?」
「メイル、心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ」
「ホントに?」
ボーイはメイルに顔を向けてそっと微笑んで見せた。
そこへ狐のヘロンや兎のミック、ヤギのジョイが声を掛けてきた。
「ボーイ、歌ってよ」「ねえ何か歌って」
ボーイは立ち止まって頷くと静かに歌い出した。

「大きな大きな森の中。
 みんなみんな寝ているよ、静かに寝ているよ。
 まーるいまーるいお月様 みんなの寝顔観ているよ。
 小さな命も、大きな命も夢を観て寝ているよ。
 そよ風に 揺れる木々のざわめきと 川のせせらぎ子守唄。
 みんなで遊んでいるのかな。
 大きな大きな森の中、静かな静かな夢の中」

綺麗だけどどこか物悲しいメロディーの歌が終わると周りには沢山の動物や
精霊達が集まっていた。
「今日の歌は何だか寂しい感じだね」
「ねえもっと歌ってよ」
「ごめんね。僕はこれから博士とタントさんとお話してくるから今日はこれで
 おしまいだよ」
「それじゃしょうがないね。じゃね、ボーイ」
「ボーイまた歌ってね」
「また明日ね」
そう言いながら動物達も精霊達も夕闇が迫る森の中に消えて行った。
気が付くとメイルが肩に居た。
「メイルは?」
「ボーイと一緒に行く」
「僕達も行くよ」
下を観るとチキとタキがちょこまかと走り回っている。
「じゃ、一緒に行こう」
ボーイ達は静寂が訪れた花の中を庭の外れに向って歩き出した。

: ちょっとコーヒーブレーク :
この絵が主人公のスコットタントです。
これは私の教え子のウララさんが学生時代に描いたものです。
酒本幸平のブログ
いつかこれをムービーにしたいと思って話を作りはじめました。
どうなるかは自分でも分かりませんが私の何かを動かすのです。
突然途切れたりガラッと文体が変るかもしれませんがご容赦ください。
本当に行き当たりばったりなので・・・。