通常、救急搬送の場合、ウチでは主に看護師、看護師に余剰がないときは医師が救急車に同乗する。




大概が看護師が同乗し、それは医療棟を担当する者とは別のフリーかもしくは不調か主任となっているのだが不調は同乗を嫌がりフリーか主任となっている。
その日のフリーはアキちゃんだったがおめでた初期のため、救急車に乗せるのは出来れば避けたい。(救急車はかなりのスピード、ほぼノンストップで走りガタツキも多い)


かと言って不調が『私が変わりましょう』なんて言葉は一切ない。
別棟担当のりーちゃんが『アキちゃん、大丈夫?行けるけ?』わざと不調の前で言っても我関せず。
ま、そんなのは全然想定内だ。利用者の現状や近況など把握していない不調が同乗しても救急隊員からの質問に答えるなんて不可能。だから尻込みせざる得ないんだろう。

アタシは3棟の利用者なら申し送り用の情報用紙があればソコソコ情報把握はしているし、あらかたの質問に答えられる。その日の搬送される患者の担当だから状態も十分把握している。


我関せずの不調を横目で見ながら『アタシが行くよ。』


病院で申し送りや書類の引き渡し、家族への説明、搬送の往復を含めると一時間以上かかる。
タイムリーにしなければならない業務をアキちゃんに申し送り、搬送先の看護師に渡す看護サマリーを作成し救急車に乗り込んだ。
救急隊員によっては患者の個人情報を記入依頼されることもあるのですぐに記入出来るよう患者の概要をまとめた看護サマリーのコピーを持っていた。搬送先の看護師の申し送りにも使うものだ。


救急車がサイレンを流しながら走り出す。
ガタガタと揺れが大きい救急車の乗り心地は決して良いものではない。
合間合間に患者に声をかけるアタシに救急隊員が話しかけた。

最初は患者の個人情報だったので口頭よりも書面確認の方が誤認もないので看護サマリーを見て情報把握してとアタシはコピーを手渡した。

救急車を要請した後、到着する前に救急車内から折り返しの電話があった。情報把握のためとエラく詳細なことを確認のため、電話を取ったアキちゃんがアタフタしていたのでアタシは電話を代わり対応した。
5分ほど様々な質問に答えながらもアタシは首をかしげた。
救急隊員が必要とする情報はいつから状態が悪化したか、悪化してからの経過、最新の状態、後は注意する基礎疾患とコロナ感染が疑われないかぐらいだ。


患者の詳細なデーターや状態は医師からの紹介状や看護サマリーで搬送先の医師や看護師は把握するし救急隊員からは搬送中の状態を教えて貰えば十分。
だが電話の質問は根掘り葉掘り、そんなこと聞いて何のための情報収集かと思うようなことも含まれていた。
まぁ、救急隊員も色んなタイプの人がいるだろう。細かく聞いてなければ納得できない人かもしれんな。。。アタシは無理やり自分を納得させ受話器を置いた。


さて、救急車に乗り込むとしばらくしてデジャブかと思うような尋問が始まった。
ん?さっき電話で答えたよな??と思う項目。
それがしばらく続き、確信。絶対、電話で言っとるわ。
だが、電話をしたのはこの救急隊員とは限らん。別の救急隊員が取っているかもしれん。。。アタシは怒りを鎮めるために無理くり理由をねじ込んだ。


一通りの尋問が終わり沈黙の2分後、アタシの瞳孔は暗闇の猫の眼のように開いた。
ほぼ、さっき答えた尋問が壊れたレコーダーのように始まったからだ。
そしてそれに所々、今、その情報、必要か?という内容を含んで。

アタシは若干、苛つきながら同じ答えを繰り返した。
初めて聞くような感じで聞いているがね、君に答えるのは電話を入れて3回目だよ💢
君はアタシの記憶力テストをしてるのかい?君は30代だろうが50を超えたアタシの方が確実に記憶力は優れているよ、間違いなく!

そして、電話したのは間違いなく



オマエだな!💢


病院に着く直前に4回目の尋問が終わり←3回目とほぼ同様
その救急隊員はアタシが申し送りで使うコピーを貰えないかと言った。





アタシは怒りのオーラを噴き出しながら静かに拒否した。
『それ、アタシが申し送りで使う情報紙ですよ💢アタシが使うとき、渡してもらえるの?』



『あ、、、はい。じゃ、良いです』



おい。アタシが4回、答えたアレは何だったんだ。アホか、オマエは。



若い看護師や乗りなれていない看護師は断りきれないかもしれん。
情報収集と観察は大切な業務の1つだろうが!


こんな救急隊員はアタシもお初。
通常は頼もしい救急隊員しか見たことはない。


おい、おい、君よ。
君はレスキューする立場だ、レスキューされてどうする。
うっかりするな!しっかり仕事してくれ!