山本周五郎「さぶ」感想 | リタイアライフのつぶやき

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65才でサラリーマン生活からリタイア。さて、これから何をしていこうか。ブログでつぶやきながら日常生活を報告。参考になれば幸いです。

山本周五郎のすっかりファンになってしまいました。「日本婦道記」で感動し次に「五辨の椿」を読み

今回「さぶ」でますます山本周五郎作品に魅了されてしまいました。

本の裏表紙には、内容について以下の事が書かれていました。

「小舟町の芳古堂に奉公する栄二とさぶ。才気煥発な栄二と少し鈍いがまっすぐに生きるさぶ。ある日、栄二は身に覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。自棄になった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られるが―。生きることは苦しみか、希望か。市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。」とあります。

表題が「さぶ」になっていますが、主人公は「栄二」です。なぜ「さぶ」なのか最初わかりませんでした。

詳しい内容は、申し上げられませんが作者の作品にした意図が編集後記に書かれていました。

「人間どおしの愛や友情が、ここでは貧しいためにゆがめられ、愛が憎しみに、友情が敵意に変わる。

人が人を信じられなくなった時、この人たちは何を救いに求めるだろうか。人間は敵意や憎悪だけでは生きられない、ということを、読者とともに確かめてゆきたいと思う。」とあります。

栄二とさぶの損得を抜きにした硬い友情で結ばれています。人間不信になり自分以外すべてを敵に回し

復讐のみで生きていく栄二が人間をとりもどしていく過程で魂が揺さぶられます。復讐は、些細な事と自分で気づくのではなく周りからの人達により気づかされるのです。けっして一人ではない。みんなに助けらけて生きいる。みんなが味方してくれる。なんども泣いてしまいました。表題がなぜ「さぶ」なのか。さぶは、周りからの人達の代表だと思いました。

三浦綾子の小説のように人間の優しさ、暖かさを感じる小説でした。こんな素晴らしい作家がいたなんてどうして気づかなかっただろうかと後悔しました。最後までご覧になりありがとうございます。

 

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(参考)

ドラマ化されていました。