グレーゾーンの子どものミカタのマツジュンです。

 

昨日紹介した「あなたの力が 家族を変える」高森信子著の本の中には、最後のコミュニケーションについて書いた章に『「私メッセージ」というのは、親となることをきちんと学ぶべきだという「親業教育」を説いたトマス・ゴードンというアメリカの心理学者が考え出したものです。』と書かれています。

 

きちんとトマス・ゴードンの名前を出してくれていて嬉しいのですが、ゴードン博士は親になることを学ぶ「親業教育」を説いていません。

 

親業は英語の原題が「Parent Effectiveness Training」で、親となることを学ぶ教育ではなく、コミュニケーションのトレーニングプログラムです。

 

日本でも、本を訳した近藤千恵さんが、親も職業だと感じてP.E.T.を親業と訳して40年間以上親業訓練協会は活動しています。

 

最近はゴードン博士が作ったコミュニケーションの方法なので、ゴードンメソッドとも表記します。

 

臨床心理学、発達心理学、教育学などの研究成果を基礎として作られました。

 

私もそうでしたが、多くの親は自分の親から伝えられた経験とさまざまな情報・知識に揺れながら試行錯誤しているのが子育てです。

 

でも実はコミュニケーションにはコツがあり、理論があるのです。

 

「能動的な聞き方」を学んだ時に、親が良かれと思って言う提案、質問、批判などは、子どもの言うことを聞いていなくて、親の考えを言っているだけだと気がついて愕然としました。

 

相手が聞いて欲しいと思っている時は、相手の気持ちの鏡になってあげる。

 

キャッチボールで子どもが白いボールを投げてきたら、「今の気持ちは白いボールなのね」とそのまま白いボールを投げ返すイメージです。

 

つい親は白いボールではうまくいかないから、青にしなさい!とか赤にしなさい!と親の考えのボールを投げてしまいます。

 

いつもいつも親からは青いボールしか返ってこなかったら、子どもは自分の気持ちの白いボールを投げる気も無くなってしまいます。

 

白いボールが返ってくると、親は聞いてくれたと実感できます。

 

別にこの聞き方は白が良いと言っているわけではなく、今のあなたの気持ちは白なのねとフィードバックしているだけです。

 

そしてもし青が良いと言いたいなら、「あなたは青にしなさい!」とあなたを主語にしたあなたメッセージではなく、「私は青の方が良さそうな気がするけれど、あなたは白が良いと思うのね」とわたしを主語にした「わたしメッセージ」でコミュニケーションを続けます。

 

自分の言い方を変えたり、聞き方を変えるのは難しいです。

 

だから親業は親業訓練講座として、時間をかけて理論だけでなく、実践もして、宿題もして、少しずつ自分のものにしていきます。

 

今までの自分のコミュニケーションのやり方を変えるのは勇気がいりますが、それで心が通ったときの喜びでやる気になります。

 

相手を変えるのは無理でも、自分を変えることは努力をすればできます。

 

ぜひコミュニケーションを考えることで、親子関係だけでなく、人間関係が良くなることを体験していただきたいです。