グレーゾーンの子どものミカタのマツジュンです。

 

子どもの問題を扱った映画でカンヌ映画祭の脚本賞も取っているので「怪物」は見たい映画でした。

 

でも、不登校の映画?発達障害?学習障害?それとも同性愛?と見終わってもよく分かりませんでした。

 

脚本賞以外にクィア・パルム賞も受賞していて、少年の友情を同性愛の視点も入れたのが斬新なのかもしれません。

 

クィアは奇妙なとか変なの意味があり、昔の同性愛者への蔑称だそうです。

 

それでも個人的には、知的障害ではなくとても賢いのに、5年生になってもまだ文章をうまく読めなくて、文字も鏡文字を書いてしまう主人公の一人の少年のエピソードがとても心に残りました。

 

親も周囲もディスクレシア(読み書きが不自由な特性)の理解がなく、少年はクラスではバカにされて、いじめの対象になってしまいます。

 

一番ひどいのは妻に出て行かれて、一人息子を育てている父親の態度です。

 

素敵な一軒家に住み、家の中もちゃんと綺麗にして、家の周囲の手入れもしています。

 

でも一人息子が変だと思い、本人に「お前の脳は豚の脳だから、なんとか治して人間の脳にしてやる。おまえがちゃんとしないと、お母さんも戻ってこないぞ」と言って脅迫するのです。

 

ディスクレシアは特性であり、努力不足でも、治す病気でもありません。

 

その特性に理解が無いだけでなく、どうも息子は治らないらしいと分かってきたら、祖母の家の近くの学校へ転校させて、自分は関わるのを止めようとします。

 

知恵おくれでもなんでもないので、「お父さんに捨てられるんだね」と大事な友人に言われて「うん」と答える姿に涙が出そうでした。

 

大事な友人はその子を好きだけれど、男の子を好きという気持ちにとまどって、いじめから守ることもできなくて、自分を心配するシングルマザーの母親に素直に言えなくて、事態が複雑になってしまいます。

 

子どもの小さな嘘や説明不足から、担任の先生が暴力教師の最低な先生としか母親には思えなくなります。

 

私もひどい先生!と思って見ていて、事実を知った時には驚愕しました。

 

何が真実か?を確かめることの難しさも分かる映画です。

 

是枝監督の映画「怪物」は発達障害の知識がないと分かりにくい映画です。