グレーゾーンの子どものミカタのマツジュンです。

 

友人から1962年発行(60年前!)の秋山ちえ子さんの本をいただきました。

 

若い人は名前を知らないかもしれませんが、私はラジオやテレビの解説者として名前だけは覚えていました。

 

特殊教育の専門家として、ろうあ学校の教師から解説者になったと著者紹介に書いてあります。

 

私が長男の就職活動の苦労を書いているので、秋山さんが長男がコックになったことを書いた「しあわせな子どものゆくすえ」を思い出して、友人が私にプレゼントしてくれました。

 

サブタイトルに「進学が絶対ではない!長男をコックにした母が心をこめて描く新幸福論」と書かれています。

 

当時は敗戦後の日本が高度成長で戦後の復興と繁栄に向かった時代です。

 

官尊民卑と書かれていて、子どもを東大や国立大学へ入れて、官僚にするのが親の役目と言われていたようです。

 

2人の息子と1人の女の子の親になった秋山さんは、長男が勉強ができないことにとても悩みます。

 

次男も長女もちゃんと勉強して良い成績を取るのに、大事な長男がまるで勉強しないし、成績がひどい・・・・

 

今なら発達障がいかもと思うケースですが、当時の親はこんなにひどかったとショックを受けた言葉があります。

 

父親が成績の悪い長男に「男の子のことだし、普通よりバカだということを自覚させなければならない。一人前になるには、人の数倍の努力が必要だと言うことを悟らせなければならない」と主張し、「お前はバカなんだから、さあ、勉強しなさい」と言うのです。

 

『この「バカ」という言葉は、少年期に入りつつあった長男の神経に、鋭いガラスの破片のように、グサリとつきささって深い傷をつくってしまったようです』と母親の秋山さんは書いています。

 

そして長男は20歳になっても父親にはげしい敵意のようなものを抱いているそうです。

 

どんなに相手のためを思っていても、その言葉が愛として伝わっていないと相手は傷つくのです。