大阪の教育改革
大阪府では橋下徹知事の肝入りで教育改革が行われている。これは2008年までの全国学力テストで、大阪府は全国最低レベルの順位が続いていたためである。
もちろん学力を向上させることは容易なことではないが、大阪府の教育委員に有能なメンバー達を迎え、知恵とアイデアで創り出したプランを実行することにより、2009年には見事に順位を上げることに成功した。
その秘訣は「読み」「書き」「計算」。これらの基本がしっかりと定着することで、学びへの意欲が増し、応用問題の正答率まで上がったようだ。確かに小学校低学年で習得すべき「九九」が不十分なままでは、その後の勉強についていけないどころか、学びへの意欲そのものが減退するのも理解できる。
■参考:大阪府の教育実態と、改革の成果(動画、TV番組「NEWSゆう」より)
そして今、大阪府では、次なるカリキュラム充実を図るために、小学校、中学校、高校それぞれで、民間企業に勤める人を講師に招く授業を実施しようと考えている。授業内容と実社会が掛け離れている現状を打破するためだ。
東京都杉並区立和田中学校で、元リクルートの藤原和博氏が「よのなか科」を提唱・実行して、大きな成果を上げたことは未だ記憶に新しいが、それをモデルにしたもので大いに期待できる。
しかしこれを大阪府下の多数の学校で取り入れるためには、優れた仕組みの構築が必要である。各校が自力で民間人講師を招くのは時間的にも労力的にも簡単ではないからだ。
この仕組み構築に、実は私自身も関与しており、更なる協力者を得るために、ある1兆円企業の人事部長に相談に行った。
同氏は東京都教育委員会とともに、類似した仕組みを構築したキーマンである。もちろん大阪でのこの取り組みへの参画について基本的には前向きに賛同いただけたが、最もこだわったのは、この仕組みが全校に「強制」させるのか「任意(各校の自由)」になるのかだ。
さすが経験豊富、かつ、大企業の人事部長だけあって、人の心理を見越した視点だと感心した。やはりどれだけ優れた仕組みを作ったとしても、「強制」された枠組みの中では期待した成果は上がらないからである。
むしろ各校の自由意志に任せ、取り組みたい学校から順に導入し、そしてそれらの成果を見て、他校も自主的に追随する方が、結果として早道である。
つまりこれは、ある組織の中で、部下の能力を最大限に引き出すことと大いに共通しており、リーダーがすべきことは、仕事を強制的に与えるよりも、部下が主体的・自主的に仕事に取り組めるような環境を創るべきだということだ。そしてこれこそがリーダーシップの原点でもあり、「コーチング」の世界なのである。
「コーチング」とは、「相手の可能性を引き出し、自発的に行動を促すコミュニケーションのスキル」を指す。現在の皆さんの上司が「コーチング」能力を有するかどうかは別にして、むしろ重要なことは、自分自身が部下を持つまでに習得しておきたいスキルの一つだということである。
部下も、組織(会社)も、そして何よりも、自分自身もが、リーダーとして大いなる成果を上げるために。
リーマンショックの効能を語る阪急百貨店トップ
東の伊勢丹に対して、西の阪急と言われる百貨店業界。
今日はその阪急百貨店(現在は株式会社 阪急阪神百貨店)会長から、百貨店業界の現状を伺った。
まず赤裸々に語られたことが、これまでのファッション関連商品(衣類等)への依存体質について。この分野は手っ取り早く多額の利益を上げるのに向いていたそうだ。
数値にして、2004年度では、ファッション関係の売上は全体の58%に対して、その利益はなんと全体の99%をも占めていたという。
つまり、消費者側にとってみれば、百貨店で買うという行為に、相当の利益を支払っていたということであり、百貨店側にとってみれば、まさにこの分野のおかげで企業として支えられてきていた、いわばいびつな構造であった。
しかも、ファッション関連商品は年齢とともに購入グレード(単価)も上がり、百貨店はそれらの層を見事、きっちりと捉えていたのである。
しかしご存じのように、百貨店業界は、今や構造不況の様相を呈している。その背景には、百貨店業界には大きな3つの変化の波が、じわりじわりと押し寄せてきていたことにある。
1つ目が消費動向の変化。
近年は、「H&M」「ユニクロ」等に代表されるファストファッションの台頭により、年齢が上がっても購買価格は上がらないという傾向が見られてきたが、ファッション品の高収益性から脱却できずに、そのまましがみついてしまっていたという。
2つ目に、インターネットの台頭。同氏も本格的な導入に遅れたと認めているが、百貨店業界のどの企業もまだ成功と呼べるには至っていない。
そして3つ目は、ライフスタイルの変化。
「モノ」を求める時代から、「暮らし」を求める時代に変わり、そして今の時代は、「生き方」、つまり「心の豊かさ」を求める時代に変わってきた。しかし百貨店業界は、高収益を効率よく生み出すことばかりを求めてきた。
これにリーマンショックがさらなる追い打ちをかけ、特に本年度の百貨店業界の決算予想数値は惨憺たる結果となってる。
しかし同会長はここで経営者らしい一言を発した。
「リーマンショックのおかげで、我々は目が覚ますことができた」
つまりリーマンショックがなければ、危うくこれまでの延長線上で経営戦略立ててしまうところだったということである。
経営者たる者は、時に大きなピンチであっても、プラス思考に転じることができる。今日はその一端を垣間見ることできたことに大きな価値があった。
大学教員の裏側
皆さんは“ファカルティ・ディべロップメント”という言葉をご存じだろうか?
これは、大学教員自らが成長をすることを意味する。
つまり大学教員も、単に我流で生徒に教えるだけではなく、
別の教員に採点されたり、お互いに勉強会を開くことによって、
授業の分かりやすさや、内容の鮮度を上げ、より良い人材育成を
図るということである。文部科学省も強く推奨しているようだ。
そのために各大学で、ファカルティ・ディべロップメントを考える、
専門委員会を設けたり、またファカルティ・ディべロップメントに優れる、
別の大学のキーマンを大学内の会議に呼んで、その秘訣を
話してもらうこともあるとのことだ。
さらには近年は生徒から、授業の講義内容等について、
アンケートを取ることも多く、実はそれらも昇進や待遇に直結しているらしい。
なるほど、大学でもそんな努力もしているのか、と感心する半面、
今日、大阪のとある大学の若手教員から聞いた話には驚いた。
実はそのような活動に、前向きでない教員も多数いるそうだ。
つまり、生徒や社会の求める授業ではなく、あくまで自分のスタイルで、
自分のやり方を守り抜きたい教員も、今の時代にもたくさんいるらしい。
得てしてそのような教員こそが、鮮度も古く、自己満足としか言えない授業をしているのではないか。
また、学習能力の高い若き世代の人生の時間と、能力が伸びるチャンスを奪ってしまっているのではないか。
今の世の中は、特に中国やインドをはじめとするアジア各国の大学では、世界的企業で通用する人材を多く輩出できるよう、生徒も教員も必死に学び教えている。
しかし日本の大学生は受験戦争を勝ち抜いて、ほっと一息、という傾向にまだまだあり、教員もそれに甘えてか、自己啓発、つまりファカルティ・ディべロップメントにはさほど力を注いでこなかった。
しかしシューカツの現場では、大企業を中心に、他国の大学生を、例えば現地で直接、採用するケースが増えてきている。
つまり日本の大学生のシューカツのライバルは、もしかすれば中国やインドの大学生であるかも知れない。
低レベル教員の授業に付き合って、無駄な時間を費やしていては本当にもったいない。
逆に高レベルの教員を自ら見つけ、今後の糧としなければならない。また高レベルの教員には、高レベルの生徒が集まるものである。
大学生活を有益なものにするためにも、シューカツを有利に進めるためにも、また社会人になってから活躍するためにも、大学教員の裏側を知っておくことには一定の意味があると考えている。




