豊田社長の涙から学ぶこと…
リコール問題でアメリカ下院公聴会に出席したトヨタ自動車の豊田社長。
創業者の孫として、万全の態勢で2009年6月に社長に就任したばかりだ。
しかしもしあと1年、就任予定が遅れていたら、
「渡辺(前)社長が引責辞任、そこに創業家から豊田副社長が社長昇格」というニュースが流れ、
豊田氏自身の社長人生は全く異なる展開になったことであろう。
運命いたずらか。もしくはアメリカ議会はこの時を待っていたのか。それは分からない。
そして何より豊田社長自身も、決して口には出すことはないが、
「あと1年、就任が遅かったら…」と、何度も頭をよぎったことだろう。
ところで私が注目したいのは、公聴会後に出席した北米トヨタ関係社員とのミーティング。
アメリカ人社員の一言は豊田社長の胸を打つ言葉であった。
「我々は100%あなたを支持する」
そしてこの言葉には、豊田社長の目にも思わず涙…。
しかしこの言葉は、皆さんもお感じかも知れないが、
普段誰かに言われても、涙なんて出る言葉ではない。
これは、リコール騒動以降、あらゆる重圧に対しても、毅然たる姿勢で
臨まねばなかった豊田社長が、アメリカ人の社員から言われたからこそ、
不意に出てきた涙であったのであろう。
どこの組織にもいる社長やリーダー。しかし強大な権限をもつ半面、
意外かも知れないが【リーダーは想像以上に孤独】なのである。
これは経営学の世界では、比較的よく言われることであるが、
今日の豊田社長の涙を通じて、多くの人がそれを実際に
強く感じられる瞬間ではなかっただろうか。