ひとつ、想像してみよう。
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真っ昼間に目をランランと輝かせた若者がいたとする。彼は上昇志向が強く『夢』と謂う名の太陽を心に持ち、他人から見れば骨董無形なビジネスや理想を得々と説き、考え、計算し高く、より高くへと飛び立とうとしている。
彼の夢は『宇宙旅行ビジネス』だ。ネットは勿論大学の友人達にそのドリームを語り資金を集めようとしている。しかし、あまりにも現実とはかけ離れた話の為、どんどん仲間内から孤立していく。それでも彼は諦めない。飛翔は合理的に計算されバランスよく可笑しいところなどない。けれども彼の夢は他人の目から見れば狂気に映るのだ。地上から飛び立ち、太陽に近づけば近づくほど溶けてしまうイカロスの翼である。全く以て狂気だ。
この若者は異常だ。
昇天への欲望は狂気に見える。
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対して真夜中のスナックで泥酔しているおじさんがいる。もうグデングデンに酔っ払い過去の武勇伝や仕事で一億動かした、だから俺は偉い、とかなんとか言っちゃっている面倒くさいおじさんだ。
お会計をしようと立ち上がれば、テーブルの上のボトルやグラスを全部倒し、おまけに自分も派手に転倒する。そしてその醜見を店の女の子のせいにしちゃったりする。誰の目から見てもタチの悪い酔っぱらいだ。足なんかフラフラなのに自信だけは立派なもので、レジで会計してる最中にも過去の自慢話のオンパレード。立ち去ったあとには店の女の子には悪口を言われる。
わりとフツーのおっさんだ。
泥酔への疾走は正気に見える。
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極端な例で申し訳ないが、このふたりの昼と夜。狂気と正気。この二人の印象を隔てているものはなんだろう。
上昇志向の若者よりも堕落したおじさんが正常に見えるのはどうしたことか。
飛ぶことに失敗して地面に叩きつけられる覚悟があるワカモノ、グデングデンに酔っぱらって足元を舐めているおじさん。
わたしが思うにおじさんは目が眩むような太陽に到達しようという気概なんかないのだ。他人に不可能と言われればただちに諦める。人の意見を尊重する。太陽への憧れを失い夜の泥酔へと逃げる。陽の光源はおじさんには眩しすぎるのだ。
それが『老い』か。
若者は馬鹿で良い。太陽に向かって飛翔するがいい。批判なぞクソクラエ。
Canecryは馬鹿な若者を応援します。
そんでもって、あたしも若いつもりなんで、飛び立つよサヨナラ
以上!
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