
365日記念日マンガのakiやん画
「きゃー遅刻遅刻!」
名門高校、私立 回春マムシ学園に通う16歳のロミ子は、通学路を走っていた。昨日の夜に親友のオパ子が、彼氏のことで相談があるというので夜中の3時までバーボン片手に愚痴を聞いていたのだ。オンザ・ロックのグラスを15杯程空にして、ボトルがオパ子の涙で満たされるころ、明日学校であるという事実に気づき大急ぎで受話器を叩きつけて就寝したのだ。おかげで寝不足で朝食もまともに取れぬまま、食パンを咥えながら通学路を全力疾走している、というのが今の状況である。
「もうっ!オパ子めっ!今度クレープおごらせちゃうぞ!(キラッ☆)」
ロミ子は心の中でオパ子に悪態をつきながら、学校へと続く角のカーブを曲がる。
ドンガラガラ・ガッシャーーーン!!!
ロミ子は何かにぶつかり派手に転倒してしまった。

「いててて・・・」
何にぶつかったのだろうと思ったロミ子が目を開けると、そこにはロミ子と同じように倒れた男の子の姿があった。体重200キロはあろうかという巨漢で、リックサックを背負い、Tシャツは最近流行の『ムチムチ・ブルマちゃん』というアニメのキャラクター、それをケミカル・ジーンズにインしているといういでたちである。
「きゅ、きゅうに走ってくるなんて、あ、危ないじゃないか、コ、コフー!」
その男の子が言った。
「な、なによ!あんたこそ気をつけてよ!」
ロミ子は言い換えす。
「ままま、曲がりカ、カドを安全確認しないで、きゅ、急に飛び出してくる、キキキキミが悪いんじゃないか、コフー」
ロミ子は言い返す言葉が見つからず、黙って学校へと走り出した。ふん!こっちは急いでるのよ!ちょっと、カッコイイからって調子にのらないでよねっ・・・!そんな事を考えながら。
学校へたどり着くと、ホームルームのチャイムは鳴ったようであったが、先生はまだ教室に来ていなかった。ギリギリ・セーフだ、とロミ子はほっと胸をなでおろし、親友のオパ子の席に近づき挨拶をする。
「オパ子、おはよー!(キラッ☆)」
オパ子はぐるりと無機質に振り向きロミ子に笑顔を見せる。
「ピピピ・ガー・・・・ロミ子 オハヨウ ロミ子の心拍数は120 血圧90/45.相変ワラズ低血圧 死ヌゾ」
「んも~、オパ子が夜更かしさせるからじゃん!」
憤慨したロミ子にたじろいだのだろう、オパ子が話題を変えた。
「ピピピ・ガー・・・・ロミ子シッテルカ キョウ テンコウセイ来ル イケメン 噂」
ロミ子もイケメン転校生の噂は知っていた。なんでも大企業、妖怪田グループの御曹司で超のつくイケメン、しかも勉強もスポーツもなんでも来いという、スーパー・ボーイが転校してくるという噂が校内を駆け巡っていたのだ。その噂に私立 回春マムシ学園の女子生徒達は浮足立っていた。
「ロミ子 彼氏イナイ 妖怪田グループの御曹司 狙エ」
オパ子がそう言ってロミ子のほうを見た瞬間、先生が教室に入ってきた。ロミ子は慌てて自分の席へ行く。
「きり~つ!」
「ちゅうも~く!」
「ジャンプ!」
「礼!」
クラス委員のいつもの号令のあと、先生が言った。
「みんなも聞いてると思うが転校生を紹介するー。おーい、妖怪田くん、入ってこい」
クラス全員が見守る中、妖怪田と呼ばれた転校生がドアを開け入って・・・入って・・・入ってくるかと思いきや、あまりの巨体に体が教室のドアに入らない。
先生がギュウギュウと廊下側から押してやっと教室に入った転校生を先生が紹介する。
「今日から皆の仲間になる、妖怪田ブタ夫くんだ!妖怪田、あいさつして!」
クラス中の女子が転校生に見とれる。ねぇねぇ、イケメンだよね、あのTシャツのセンスいいよね・・・というひそひそ話がロミ子の耳にも聞こえてきた。
「きょきょきょ、今日からよよよ、よろしく、よよよ妖怪田ブタ夫です、コフー」
ロミ子はあまりの事に、立ち上がって叫んだ。
「あーーーーっ!あの時のーーー!!!」
(続・・・かない)
※ 続けろ、という要望がコメント欄に30件以上入れば続けます(←ない)
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