本中毒、映画中毒、仕事中毒、そして...恋愛中毒 -117ページ目

■書評 冨山和彦『会社は頭から腐る 企業再生の修羅場からの提言』 PHP文庫2013/9/4

会社は頭から腐る 企業再生の修羅場からの提言 (PHP文庫)/冨山 和彦
¥680
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冨山和彦の本
産業再生機構での経験を基に書かれた本。


経営に携わる覚悟を書いた本と考えれば良いだろう。

■書評 ポール・オースター『ティンブクトウ』 新潮文庫2010/6/29

ティンブクトゥ (新潮文庫)/ポール オースター
¥500
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ホームレスの詩人の飼い犬の視点から世界の有り様が語られる中編小説。
かなりの傑作だ。

犬の視点を借りてはいるが、犬の小説ではない。
作者は犬を主人公とした文学作品が陥りがちな、犬と人間という関係性の小説ではなく、この社会で生きるという事の難しさを描き出す。
生き難さと言う点においては、飼い主であるとホームレスと犬との間に根本的な違いはない。
要は、犬であり語り手であるミスターボーンは、犬に設定されているが、それは戯画化された人間と言う事だ、おそらく。


しかし、この小説は猫では成り立たない。
猫はもっとエゴイスティックで、犬の様に社会的な関係性を求めない。
だから社会の中で生きる事の難しさとは無縁だ。
あくまで猫の生き難さは、自然の厳しさのそれだ。
そんな風に脱線しながらこの小説を読む。

■映画 『宇宙人王さんとの遭遇』 2011イタリア

宇宙人王さんとの遭遇 [DVD]/フランチェスカ・クティカ,エンニオ・ファンタスティキーニ,ジュリエット・エセイ・ジョセフ
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宇宙人とのワーストコンタクトものなのだけど、SF的な展開はあまりなくて、基本的には地下室で宇宙人を延々と尋問し続ける映画。
王さんとの通訳をする主人公のフランチェスカ・クティカがたぶん日本人の好みの白人の可愛い子ちゃん。

テーマは、異文化に属する他者の善意を信じるか、信じない(疑ってかかるか)という事。
この作品の中では、相手を安易に信じようとする主人公の善意は、最後に『おまえバカだな』という宇宙人王さんの言葉と共に裏切られる。


いや、世界の中でこういう映画が作られてしまう辺り、一部の平和主義者が日本国憲法9条に安直にのって唱える非武装中立、自衛隊違憲論の薄っぺらさを、さりげなく突きつけられた様な気がする。

宇宙人が中国語を話す事とか、主人公が如何にも日本人好みのカワイコちゃんなのは、そういう日本人に対する激しい皮肉なのではないかしら…
『日本のアニメみたいですよね』なんてセリフも出てくるし…


それでも、僕自身は日本国憲法9条の条文自体は大好きだし、変更の要は認めない。
理想の条文だ。
一方で、未だそれは理想でしか無い事も認めざるを得ない。
実際には武力で威嚇してくる隣人達もいるし、国権の発動とは別の次元で武力を行使しないといけない場面も多々出てくるだろう。


いまだ9条は画に描いた餅なのだ。


一部の平和主義者の唱える一方的な非武装中立なんて、思考停止の無責任政策でしかない。
それは政権与党になろうとしている政党が、責任を持って主張できる様な政策ではない。
その主張で手に入れる事ができるのは、正義と秩序を基調とする国際平和ではなく、自分達は無垢だという宗教にも似た免罪符でしかない。

目指すべきなのは、そんな無責任な一方的な非武装中立を唱える事ではなく、安心して非武装中立が可能な国際社会を外交によって作る事だろう。
それは単純に自らを武装解除すれば実現出来る様な甘いモノではない。
為政者達は、国際社会の中で平和無料乗りとか言われながら、正義と秩序を基調とする国際平和と希求し、9条の理想に縛られながら外交を行わないといけない。
9条の理念は、国際政治が持つそうした原罪を背負いながら、清濁併せ持った深くて大きな政治的な覚悟を必要とする。
まったく頭の下がる事だ。