ホープ・サンドヴァル Bavarian Fruit Bread (2001) | ひとつ言い忘れたこと

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聴いてきたレコードあれこれ

 

バート・ヤンシュ関連の流れから久しぶりにこの盤を持ち出してきました。

この手のものは中々いつもかつも聴くってものでもないような気がします。

こちらのコンディションというか、モードというか・・・ハマったときには、
途轍もなく良いんですが、気分がハイなときには、中々手が伸びなかったりします。

 

僕は世代的にはマジー・スターがどストライクというワケではありませんが、

ジザメリはギリギリ、リアリティを持てたんで、その繋がりからマジー・スターもそれとなく遠巻きに聴いていたようなところがあります。それは、両者ともに根底にリンケージするものを感じていたからだったのかも知れません。

もちろん、ジザメリの耳を劈くようなギター・ノイズに刺激を求めて聴いていたワケ
ではなく、ノイズの影に見え隠れする、病んだ旋律に惹かれてのことだったんでしょうけど。

一方、マジー・スターのノイジーなシューゲイザーなギターは今聴くと、なんかもう古く感じるところも正直あります。・・・
ただ、このホープ・サンドヴァルのソロ(コルム・オホーサクとのコラボですけど)での装飾を極限にそぎ落とした音は、彼女の表現形態にこそ相応しいように思えます。
ジザメリのカヴァー"Drop"ではじまる、このアルバム。彼等に惹かれた部分を抽出したようなアレンジでやってくれています。

また、サム・ペキンパーの映画「砂漠の流れ者」の劇中歌である"Butterfly Mornings"
をカヴァーするセンスあたりにも個人的には来るものがあります。
その"Butterfly Mornings"と"Charlotte"2曲にはバート・ヤンシュがアコギで参加していまして、
彼の持っている繊細なフィンガー・ワークが活きた楽曲になっています。
バート・ヤンシュを好きなのは、何もペンタングルでの活動だけに限定されるわけじゃありません。
とくに、ソロ・ワークでのギター持った歌唄い的側面というのも、彼の魅力として僕はずっと聴いてきた部分です。
後のブラック・スワンでのフリー・フォーク勢との邂逅などにも違和感というものは感じませんでした。
べス・オートンとのコラボなどは特に素晴らしものがありました。出来れば彼女とフルでもう1枚くらい残して欲しかったなという気がして残念です。

そのべス・オートンとはまたタイプ的には違うホープ・サンドヴァルですけど、
彼女も技巧で歌を聴かせる人じゃありませんし、またその技量にも乏しいとは思いますが、歌唄いとしての存在感を感じさせる人だと思います。

一聴、甘ったらしい声にも聴こえますが、胃もたれするようなものとは異質でしょう。
どう聴いても健康そうには聴こえないですよね(笑)
俗にいうアシッド・フォーク的な部分なんですかね?
僕はそういうカテゴライズには疎いもんで・・・。

毎日聴くようなものではないですが、思い出したように聴いたとき、この腐敗ギリギリのところで
奇蹟的な鮮度を保っているようなそんな危さに魅力があるような気がします。。

 

 

 

ステラ・スティーヴンスが歌う劇中で流れたオリジナル