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ローリング・サンダー・レビュー

映画・音楽・小説・マンガのレビューブログ。

 

 

「ザ・サン」の編集者が語るプレミアリーグ。 
いかにもタブロイド紙出身らしくゴシップっぽいネタが多い。 
カネの話と、ヒトの裏話と。戦術と戦略の話よりもそっち。 
それがプレミアの魅力のひとつであるには違いないのだろうが、 
サッカーにハマりつつある僕が興味のある部分ではまったくなかった。 
カネの話は色々と参考になったけど。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる/NHK出版
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東洋経済の1/12号は近頃読んだ週刊誌の中で一番面白かった。特集は「メイカーズ革命」。欧米で、ものづくりは進化しているらしい。日本がついて行けないほどに。

テスラ・モーターズというベンチャー企業がある。ベンチャーにもかかわらず大手の自動車メーカーに先駆けてハイコストハイスペックの電気自動車を作っているが、この会社の工場では最先端のロボットが「ものづくり」をしている。ドイツの産業ロボットメーカー、KUKA(クーカ)の産業ロボットはプログラミング次第でどんな作業もこなしてしまう。なぜ人件費の高いドイツの製造業が依然として優位を保っているのか、きちんと考えたことはなかったが、ドイツは生産のオートメーションがもっとも進んでいるというのも一つの大きな要因であるらしい。オートメーションの進化が、人件費の低い中国での生産と同程度のコストでの生産を可能にする。ものづくりを中国から西欧諸国へ取り戻す動き。この動きが持つ意味は大きい。粗悪品を大量生産できた中国の人件費はこの10年で倍以上になっている。中国の生産大国から消費大国への移行はすでに見えている近い将来の光景だ。

このテスラ・モーターズの社長、イーロン・マスクはIT出身である。ペイパルの元となる会社を起業したのが彼だ。そして恐ろしいことに彼は同時にスペースXという宇宙産業関連会社の社長でもある。スペースXのビジネス理念のひとつは「火星8万人移住計画」である。こんなことをビジネスとして本気で考えていることに、僕は感服せざるをえなかった。アメリカには色んなヤツが集まってくる。イーロン・マスクは南アフリカ出身だ。アメリカの「大きな夢」のすごさ。かなわない。

さて、本書のテーマからだいぶ逸れた。この本は上記のようなベンチャーメーカーについての話ではなく、「ものづくり」のロングテール化についての本である。ウェブ時代のものづくりのあり方は、バカデカい企業がおんなじような製品を大量生産するのではなく、素人がブログを書きまくるように誰もが手軽に製品を作って売るDIYに変わっていくというのが主な主張だ。この生産のあり方の移行を可能にしているのは、やはりウェブとそして3Dプリンタという新たなツールである。いま、生産設備は自分たちで持つ必要はない。ウェブ上で製品設計さえすればその生産を外注する先などいくらでもある。特に中国では非常に安価に製作を外注できる。試作品は3Dプリンタを使って作ればよい。つまり設備投資がいらないのだ。アイデアだけでものづくりができてしまう世界の象徴が、IT出身であるイーロン・マスクや、未来のスティーブ・ジョブズと言われるジャック・ドーシーなのである。

この本の主張はかなり面白いし新しい。でもまあ、東洋経済を読むほうが簡単にエッセンスを掴めるかな、という意味で★3つ。
狼たちの午後 [Blu-ray]/ワーナー・ホーム・ビデオ
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実際にあった銀行強盗を題材にした映画。
無計画に銀行強盗に入った男と警察との取引が映画の中心である。
無計画犯罪であるがゆえに、ミステリー性もサスペンス性もない。
この映画にあるのは、アメリカの闇。
何も考えずに銀行強盗に入らせてしまうような、
切羽詰まった社会をユーモアとともに描いている。

アル・パチーノは理性的に狂っている。
もう、かっちょよくてねえ、ため息が出るね。
傑作。
坂道のアポロン (1) (フラワーコミックス)/小学館
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友だちに勧められたのと、この前長崎に行ってきたので読んでみた。

男でも読める少女マンガ。
友情と恋愛にジャズと長崎と60年代という時代をアレンジし、
ごく普通の少女マンガとは一線を画しているようにも見える。
音楽モノという意味でも、のだめとちょっと似ている。
だが、のだめほど本気で音楽をやっているわけではなく、
ジャズは60年代の青春の(大きな)一要素でしかない。
実は、非常にベーシックな少女マンガなのだろう。
僕はストイックに突き詰める青春のほうが好きなんだけど、
これも面白いと思わせるほどの力量がある。
ハイスコアガール(1) (ビッグガンガンコミックススーパー)/スクウェア・エニックス
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傑作。ここ3年くらいで読んだ漫画の中で一番面白かった。
90年代初頭のゲームセンターを舞台にしたボーイミーツガール。
一応ラブコメだがほとんどはマニアックなゲーム話に終始する。
この作者のゲーム愛の目線もたまらないのだが、それだけではない。
主人公達は厳しい現実から逃げるためにゲームセンターへ行く。
主人公は勉強は全然ダメだがゲームをやらせれば超一流。
ヒロインは勉強や習い事でがんじがらめの現実からゲームに逃げる。
ここではゲームセンターはいわば弱者の「逃げ場」として現れてくる。
僕らの世代にとって、ゲームは単なる遊びではないのだ。

主人公はあるとき、同級生の女の子に平気な顔でこう言う。
「俺みてーなゲーマーが通いで来たら目障りだと思うからよ
 見かけても気ィ使わなくていいから無視してくれよな」
このセリフを読んだ瞬間、この作品は僕の中で傑作となった。
自分がクソであることの自覚ほど悲しいものはない。
だからこの物語は、ゲームセンターという逃げ場で、
傷つきやすくゆえに優しい少年少女の魂が触れ合う物語なのだ。

「蛾を倒しながらフワフワ浮いてるウーロン茶を攻撃すれば体力アップさ
 ウーロン茶がフワフワ浮いてくんだぜ・・・!? もう病みつきだよ」
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q EVANGELION:3.33 YOU CAN (NOT) RE.../キングレコード
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今ではこれだけポピュラーになってしまったが、エヴァはそもそも常にファンの期待を裏切ってきたアニメである。テレビ版でも旧劇場版でも、その裏切りによって一部のファンの熱狂をつくりだしてきた。新劇場版の1作目と2作目ではその裏切りの要素が見られなかっただけに、私もこのことを忘れてしまっていたのだが、今回の劇場版はその「裏切り」の本領発揮。ファンを見事に置いてけぼりにしてしまう。逆に私はそれほどエヴァファンでもないので、ああ、このかんじ懐かしいなあ、と思うくらいで特に「裏切られた」という感はない。まあ、今回のエヴァくらいは新訳ゼータガンダムのように健康的であってほしいなあと思ってたけど。物語の筋はよくわからんけど、映像はさすがという意味で★3つ。エヴァファンとアニメファン以外は見る必要なし。
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年末にやっと見た。クリストファー・ノーランの映画はできれば映画館で観たかったがやむなくブルーレイで。多くの人の評価と同じく「良作だがダークナイトには断然劣る」という印象。一番の問題は敵の存在感。やはりヒース・レジャーのジョーカーの魅力にはまったく及ばない。構成も映像もキャスティングも良いんだけど、どうしても前作と比べてしまうのが傑作の続編の宿命。ただ、エンディングに関してはこちらのほうが良い。
踊る大捜査線 コンプリートDVD-BOX (初回限定生産)/ポニーキャニオン
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踊る大捜査線のドラマは再放送を何度か見ていたのですが、最初から最後までちゃんと見たことはなく、再放送のドラマシリーズを録画したDVDが家にあったのでいっぺん通しで見てみたらこれはやっぱり非常に良くできていて面白いですねえ。テレビドラマとして完璧、と言いたくなる。脚本と演出とキャラクターがマッチした名作。すべての映画版よりやはりこっち。
踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 スタンダード・エディション [DVD]/ポニーキャニオン
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ドラマはほとんど見ないのですが踊る大捜査線は非常に好きで、脚本の君塚良一に関してはファンと言っていいし(中学生のときラブコンプレックスというドラマに衝撃を受けた)、織田裕二は色々言われてるけどあんなに存在感のある役者はいないと思っているし、本広克行もアニメオタクで押井守の影響をモロに出してくるあたりも面白い。といってもちゃんと全シリーズを見たわけではなく、ところどころつまみ食い程度に見たという程度ですが。

さて、最終回の映画。「老後」という印象しかない。
青島くんもボロボロ、すみれさんもボロボロ、映画もボロボロ。長年の無理がたたって体中がギシギシと音をたてているのは、登場人物だけではない。無謀な若者であった青島が役職者になり、組織の上と下に挟まれながら苦戦する室井が相当の権力を持っている時点で、作品としてのエネルギーは失われてしまったのだ。君塚良一の手でなんとかなるのではないかという期待をしていたのだが、失われてしまったものを取り戻すのは難しい。おそらく制作者はそのことを誰よりもわかっていたんだろう。だから、踊る大捜査線は終わるべくして終わった。シリーズへの恩がある人以外は映画館に行く必要はない。