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騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
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「騎士団長殺し」という新作のタイトルを初めて聞いたときに思ったのは、村上春樹はカラマーゾフの兄弟の「続編」(ドストエフスキーの死により結局書かれなかったもの)を書こうとしているのではないか、これはエッジのきいた新作が期待できるのでは、と思ったけど、結局読んでみたらいつもの謎をばらまくエンタメ純文学の村上春樹でした。
カラマーゾフの兄弟の続編を書こうとしたのではないかという推測はたぶん当たっていたと思っていて、カラマーゾフの兄弟の続編はアリョーシャが皇帝暗殺未遂事件(=父殺しは皇帝暗殺のメタファー)を起こすことになっていたというのが通説ですが、本作「騎士団長殺し」では皇帝暗殺未遂というテーマがそのまま出てくるし、騎士団長は殺されるときになぜか急にこんなことを言います。
「諸君は今ここで邪悪なる父を殺すのだ。邪悪なる父を殺し、その血を大地に吸わせるのだ」
それまで父というワードは一切出ていなかったにもかかわらず、急に「邪悪なる父」、さらに「その血を大地に吸わせるのだ」。なんかここだけ妙にロシア文学風になるのです。(ロシア文学は「大地」とか好きですよね)
といっても、作品全体からはカラマーゾフの兄弟のにおいはせず、「1Q84」に「1984年」のにおいがしなかったのと同じで、キーワードを拝借して独自にイメージを膨らませて作品を書いたのだろうと勝手に思ってます。










