ローリング・サンダー・レビュー -13ページ目

ローリング・サンダー・レビュー

映画・音楽・小説・マンガのレビューブログ。

マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]/福田麻由子,水沢奈子,森迫永依
¥6,090
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マイマイ新子と千年の魔法は既視感があるアニメだった。
まあ、おもひでぽろぽろなんでしょうね。
とりわけ田舎のリアリティを描いている点で、
おもひでぽろぽろよりも良いアニメだと思うけど、
なんというか、普通すぎるというかんじを受けた。
ジブリ作品とちがって「動きの面白さ」は少ないしね。
それでもこの作品が良いのは健康的でないことだ。
うわああああと泣きながら叫んで走る。
何も解決しなくても、そうするしかないときがある。
いのちの食べかた [DVD]/出演者不明
¥3,990
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原題は「Our Daily Bread」。
僕らがいつも食べてるパンはどこから来たのか。
食料を作る過程をただ映像に映しているだけなのだが、
これまで見ようとしなかったものを存分に見せつけられる。

人間が豚の眉間にノッキング銃を撃って殺す。
機械が死んだ豚の腹を切り裂いてはらわたが飛び出る。
ベルトコンベアーで運ばれた豚の内臓をゴム手袋で選り分ける。
逆さまに吊された豚をチェーンソーで真っ二つに切り分ける。

当たり前なのだ。
我々は生き物を食ってるのだ。
そこから意識的に目をそらし続けていただけだ。
この映画は面白くはない。だが観る価値はある。
ノッキング銃を撃たれる前、豚は必死に逃げようとする。
僕は動物があんなにおびえている姿を初めて見た。
間違いなく、豚はこれから殺されるということがわかっている。
僕らが食ってる豚はすべて、処刑台を通ってきた豚だ。
許されざる者 [Blu-ray]/クリント・イーストウッド,ジーン・ハックマン,モーガン・フリーマン
¥2,500
Amazon.co.jpクリント・イーストウッド監督のずっと前のオスカー受賞作。荒木飛呂彦がコミックスのコメント欄で絶賛していたのを思い出して観る。相変わらずのずっしり感。クリント・イーストウッドの映画は観たあとに何かが残る。この胸の中に残っていくものは一体何なんだろう。その意味でこの映画もすんばらしい映画だが、個人的には泣けそうなほど優しい視線に溢れた近作のほうが良いと思える。70を過ぎて成長し続けるイーストウッドは誰よりも映画に取り憑かれている。

オー・ブラザー! [DVD]/ジョージ・クルーニー,ジョン・タトゥーロ,ティム・ブレイク・ネルソン
¥3,990
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初めてのコーエン兄弟作品。ミニシアターでは大人気だったらしいけど、確かにミニシアター的なユーモアが面白い。笑えるドラマを久々に観た。笑える映画っていいよね。だが、この映画で特筆すべきは音楽。アメリカ南部のルーツミュージックが使われまくっているが、これがめちゃくちゃレベル高い。カントリーやっぱいいなあ。
化物語 ひたぎクラブ 【通常版】 [DVD]/神谷浩史,斎藤千和
¥5,250
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化物語。原作は西尾維新のライトノベル。
見る前は正直完全にナメていたのだが、これは凄い。
話は別にどうでもいい。もう、画面が凄すぎる。なんだこれ。
紙芝居の書き割りのような画面がずっと続くんだが、
独特の色彩と画面構成で街を見慣れないものにしてしまい、
ひとつひとつの画面がそれだけで絵になってしまう。
動かない画面が多いという意味でエヴァに似ているとも言えるが、
終始意味のない無駄な会話をしているところを含めるとむしろ、
ジム・ジャームッシュの映画を見ているような気にもなってくる。
アニメはここまで来てしまったか。
けいおん! 1 (初回限定生産) [Blu-ray]/豊崎愛生,日笠陽子,佐藤聡美
¥7,980
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アニメファンの知人に薦められて見る。個人的にはまあ面白いかなというかんじだが、ある種のアニメオタクがこれを見てたまらなく面白いと思う気持ちもわかる。京都アニメーションの特徴らしいのだが、普通の動きを細部にまでこだわりまくって見せるという面白いことをしている。他の凡百の萌えアニメとは質が全くちがうことはアニメファンが見ればすぐにわかる。(アニメファンはこういうアニメを見ると「カネかけてるな」と思う人種である。)さらに言えば洋楽ファンとしてもかなり納得してしまう音楽の出来で、J-POPより遙かにレベルが高くてびびった。ふわふわタイムのイントロとかすげー良い。あと、何気に親がジャズミュージシャンだという登場人物の部屋にデクスター・ゴードンの『GO』のジャケットが飾られていたりと細かな遊びを忘れない。ということで良作だが話は女子高生がゴロゴロしてるだけのような話なのでおもしろみには欠ける。それがいいと思う人もいるだろうけど。
玲瓏館健在なりや 1巻 (ビームコミックス)/冨明仁
¥788
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コミックビームに脈々と流れるレトロポップマンガの新たな子供。レトロポップマンガなんて勝手に名付けて一括りにしてしまっているのは主に森薫と入江亜季で、古風さとわかりやすさの調和は面白いミニシアター系の映画を見ているよう。ミニシアター系がもつ手作り感を持っているからなんだろう。特にこの巻の最後に収められた回は抜群に面白い。ビームはやはり熱い。
ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス―ヤングユー)/羽海野 チカ
¥420
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今頃全巻一気読み。
これはもう、文学ですねえ。
単なる失恋マンガを通り越して、喪失と再生の物語にまで高められている。誰もが傷つき失っていくのになぜか救われたような心持ちになるのは、この物語がきわめて巧妙に再生のベクトルの開始という大きな起点を描いているからだろう。この物語ではいくつかの喪失が描かれているがそれは主題ではなく、どちらかと言えば全員がはじめから喪失していると言ったほうが正しい。失った状態からはじまって、そこから回復はしないものの、全員が立ち上がりはじめる。巧すぎる。このマンガの主人公は山田さんでしょう。何かを失った僕らの等身大。
寝ながら学べる構造主義 (文春新書)/内田 樹
¥725
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恥ずかしながら、内田樹を初めて読んだ。
寝ながら学べるとまではいかないが、
かなり簡単に書かれた構造主義の本。
構造主義と聞くとウッとなる僕にとっては、
知らんかったなーということも多くて情けない。
哲学は世の一歩先をゆくと言う。
ここで書かれている構造主義の考え方は、
驚くほど僕らにとって当たり前の考え方だ。
だが、そいつを言葉で認識することはまた違う意味をもつ。
言葉があってはじめて理解できることもある。
言葉がない概念は理解できないというのが構造主義らしいけどね。
もったいねえ。
小人の世界を見せるというアイデアはたまらなく良い。
序盤なんかは久々にワクワクするかんじだった。
(特にアリエッティの親父さんが良い。)
普段小さいものが大きく見えるだけでアニメはこんなに面白い。
だがこの物語は進むにつれて小さくしぼんでゆく。
それは単純に、映画が小人の目線ではなくなったからだ。
最近のジブリは僕らの想像を超えるものはおろか、
僕らが見たいと思っているものすら見せてはくれない。
スタジオが健全すぎるのだろう。
エコと癒しからは良い作品は生まれない。
ぶつかり合うエゴだけが、しびれるような作品を生み出すのだ。