洗濯機の日。
8月1日は、限りある水資源を大切にしようと、国土庁(内閣総理大臣自らが分担管理する事務、及び、各行政機関の総合調整に掛かる事務を所掌した行政機関で、現在の内閣府の前身の1つ、総理府の外局[特殊な事務、独立性の強い事務を行なうための組織で、独任制の庁]であったが、2001[平成13]年1月6日の中央省庁再編の実施に伴ない、運輸省、建設省、北海道開発庁と統合されて国土交通省となる)が、1977(昭和52)年に閣議了解を得て設けた記念日、「水の日」であり、水に縁のあることから、「洗濯機の日」ともされる。世界では、歴史的に見ると「洗濯機」と言っても、様々な動力源のものを指してきた経緯がある。日本では昭和時代以降、「電気洗濯機」しか販売されていないので、単に「洗濯機」と言うと、事実上それを指している。初期は、人力で動かす手動式洗濯機であったが、19世紀には、それを蒸気機関で動かすものが多く、20世紀半ばからは、電動機(モーター)で回転させるものが登場して広まり、20世紀後半では脱水機付きのものが登場し、さらに、洗濯から脱水まで自動で行なうもの(当時「全自動」と呼ばれていたもの)が大半となり、その後、洗濯・脱水だけでなく、乾燥まで自動で行なうものまで登場した。洗濯は元々、川や池や泉等で、もっぱら人の手や足で行なっていたものであり、人の手足だけで行なう洗濯は、かなり手間の掛かる作業であり、重労働である。洗濯機は、そうした重労働を軽減する目的で開発されてきた歴史があり、家事労働の軽減に貢献してきた。1782(天明2)年には、イギリスで回転ドラム式洗濯機の特許が取得されている。洗濯後、洗濯物から石鹸水を除去する工程は、全く別の工程で、びしょぬれの衣類を手で絞っていた。この仕事を助けるため、2つのローラーにばねで力をかけ、そこに衣類を通して、ローラーを手で回すという手絞り機(又は、手回し脱水機)が開発された。これには、1枚ずつ衣類を入れてやる必要があった。初めは独立した機械であったが、洗濯機に組込まれるようになり、搾り取った石鹸水が洗濯槽に戻って、再利用できるような構造になった。その後は、蒸気機関やガソリンエンジン等を用いてドラムを回転させるものや、撹拌棒を回転させる撹拌式洗濯機が使われるようになった。1気筒の低速なガソリンエンジン等がよく使われていた。電気式洗濯機は、1908(明治41)年にアメリカで発明されたが、電力が欧米で普及するのは1930年代である。洗濯機の設計は1930年代に改善が進み、安全性を考慮して、電動機等の機械が筐体に覆われるようになった。日本では、1928(昭和3)年に、大手総合電機メーカー、株式会社東芝の前身の1つである東京電気株式会社が輸入販売を開始し、日本産(「国産」)第1号は、1930(昭和5)年に、これも株式会社東芝の前身の1つである株式会社芝浦製作所から、攪拌式洗濯機「Solar(ソーラー)」として販売された。その後、1953(昭和28)年に、大手家電メーカーの三洋電機(現在は、家電製品の他にも、産業機器・通信機器・住宅設備・環境関連機器等の電気機器を中心に多角的な事業を展開しているパナソニックグループの家電メーカーで、パナソニックの機能子会社)から、現在の洗濯機の原点とも言える噴流式洗濯機が低価格で発売され、一気に普及した。第二次世界大戦後の1950年代、日本の家電メーカーや総合電機メーカーは、電気洗濯機を『三種の神器』という宣伝文句で大衆に売込んだ。その後、昭和後期頃からは「白物家電」と呼ばれるようになり、現在でも、家電製品の中でも代表格の1つである。昭和時代は、日本で普及したのは日本製であった。現在では、他の白物家電と同様に、日本では一部の高付加価値製品を除き、生産コストの低いアジア圏で生産されたものが大半を占める状況になっている。一部では、芋洗いや、タコのぬめり取り等の魚介類を洗うために使われることもあるが、メーカーの想定外・保証外の利用法であり、故障の原因ともなるので、推奨されない利用法である。回転による脱水が一般化するのは、電動機が開発されてからである。回転で脱水するには、高速で強力な回転力が必要であり、脱水機は、洗濯機とは別の装置として作られた。洗濯した衣類を、洗濯槽から脱水槽に移して脱水していた。このような初期の脱水機は、中身が偏っていると、脱水槽自体が危険な程揺れるという問題があった。そこで、この揺れをなんとかしようと、様々な試みがなされた。まず、若干のアンバランスを吸収する緩衝フレームが考案され、さらに、激しい揺れを検出して、脱水機の回転を止める機構が考案された。この場合、人間の手で、中身を均等にして再度脱水する。最近では、液体を封入した環を使い、それを脱水槽と同時に回すことで、全体としてバランスが取れるようにしていることが多い。いわゆる全自動洗濯機は、洗濯槽と脱水槽が1つになり、水の出し入れが自動化され、洗濯から脱水まで自動的に行なうようになっている。1937(昭和12)年、アメリカのベンディックスというメーカーが、初の全自動洗濯機の特許を取得し、それを使った洗濯機を同年に発売した。この洗濯機は、現代の全自動洗濯機の基本機能は全て備えていたが、サスペンション(機器を振動から守るために用いられる防振材)機構がなかったため、動き回らないよう、床に固定する必要があった。初期の全自動洗濯機では、洗濯槽/脱水槽の回転速度は、機械的手段か電動機に供給する電力を可変抵抗器で加減することで制御していた。1970年代には、上位機種から電子制御が一般化していった。1990年代になると、タイマーの代わりに、マイクロコントローラを採用した機種が登場し、今では一般化している。最近では、衣類乾燥機の機能まで1台でこなすものもあり、ボタン1つで最後までいくが、家庭用での普及より、コインランドリーで汎用されている。横を向いた円筒状の洗濯槽を回転させ、洗濯物が上がっては落ちを繰返すことにより、叩き洗いをすることで汚れを落とす方式がドラム式(回転式)で、ドラムの上底面から洗濯物を出し入れする。クリーニング店やコインランドリーの洗濯機では、この方式が良く使われている。洗濯物の傷みが少なく、水の使用量も少ない。ヨーロッパでは主流の方式となっているが、重量が重いために、家庭用では乾燥機付き洗濯機に限られる。斜めドラム式は、パナソニックが開発した方式で、従来の縦型に比べ、使用水量と衣類の傷みが少ない。備え付けの洗濯機を用いて、利用者が自分で洗濯する形式の店舗がコインランドリーで、設置された洗濯機や乾燥機、さらには、洗剤の自動販売機等がコイン(硬貨)で利用できる。業態は、自動販売機による無人店舗と同様であるが、その設置場所は、洗濯という提供される「商品」の性質上、一定の給排水設備を要し、また、乾燥機用に都市ガス、プロパンガスや、灯油ボイラー等の熱源を用意する必要がある。その為、都市部等では、これら給排水設備や熱源の確保が容易な、銭湯の一角を改装して、洗濯機や乾燥機が設置される場合が見られたり、コインランドリーにシャワールームが併設されていることがある。セルフサービスであることから、洗濯物当たりの料金も、クリーニング業と比較して極めて安く、洗濯物の少ない独身者や学生等に利用されているケースが多い。コインランドリーの大きなセールスポイントの1つは、その乾燥機を1回数百円単位の金額で利用できることである。特に、雨季や梅雨等の気候的な問題から、洗濯が難しい季節がある地域でも、数十分程度で洗濯物を乾かせる乾燥機の利用価値は大きく、特に、家庭の事情から乾燥機が購入・設置できない場合に、これらコインランドリーの乾燥機が重宝される。