7月7日 記念日 その4 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
2019/07/14 アメブロ移動
柴犬ハルがお伝えします

川の日(続き)。 
こうした目的で、特に近代以降、工業力が増大して大規模な工事が行ない易くなると、ダムや堤防の建設が盛んになり、また、蛇行する河道を直線化して流れを良くすることも行なわれるようになった。一方で、堤防等の構築によって、自然豊かな山地からの流水が平野部に流入しなくなると、土地固有の生物種の変化が生じたり、窒素や燐といった栄養塩の供給が絶たれる弊害も生まれるようになった。また、特にダムの建設には河道の傍に住んでいた住民の大量移住が必要となる等の弊害も多い。また、山地における森林の荒廃や、堤防工事の進捗によって水が河道に集中するようになり、集中豪雨時には水位が上がり易くなってきている等の問題もある。河川を流れる水は、生活・工業・農業の各用水としての利用や、水力発電も行なえる貴重な資源である。利水のために、ダム、堰(せき)、用水路、河口堰等の施設を建設する。地球上の全ての文明は農耕を基盤とするため、農業用水の源としての河川は文明の死命を制する存在であり、工業時代に入ってもその重要性は衰えなかったばかりでなく、工業用水の供給元としても、さらに規模を拡大し続ける農業の水源としても、そして増大を続ける人口を支える生活用水の水源としても、河川の重要性は増大し続けている。一方で、流域人口の増大や農業開発の促進によって、流域の水需要が河川の水量を越えてしまい、水利用のバランスの崩壊が深刻な環境問題を引起こしている例もある。河川の重要な役割の1つに飲料水の供給があるが、特に都市部において都市中心部を流れる河川からの水道用水取水は通常行なわれない。これは、都市部を貫流する河川の多くが水質汚染の問題を抱えており、浄化に費用が掛かる上に、処理を誤ると疫病の蔓延する状況を招きかねないためである。実際に、産業革命期においては都市内の水質汚染が急速に進む一方で、飲料水は河川から取水されることが珍しくなかったため、疫病の流行の一因となった。現代では先進国の殆どで、河川の水を水道用水とする場合は、水質のきれいな上流に築かれたダムから引水するか、また、河川の伏流水が豊富で清潔な場合はそこから取水して水道に供給されることが多い。同様に、都市の排水路としても河川は重要であるが、処理されていない下水が河川にそのまま排水されることが、近代以前は行なわれており、都市河川の水質の急速な悪化を招いた。現代では、下水道と下水処理場の整備によって、これらの汚染水のかなりが浄化され、都市河川の水質浄化が進んでいるところも多い。また、河川は動力源としても古くから利用されてきた。古くは、河沿いに設置された水車が貴重な動力源となっており、近代以降は、川を堰き止めたダムに水力発電機を設置し、主要な電源の1つとなっている。河川は、古くから船舶による交通路として用いられてきた。他の交通手段として馬車程度しかなかった時代には、船舶での交通は多くの物資や重量物を運搬するのに最適であり、川を下る場合には高速な手段でもあった。そのため、利水の他、水運も都市の形成にとって重要な要素であり、物資の運搬に有利であることが、河川沿いに多くの都市が発展した理由の1つである。特に、大きな船舶も航行可能な水量の豊かな河川は、内陸部の物資輸送に大きな役割を果たし、大陸を流れる大きな河川は、いずれの国においても重要視されてきた。日本においても、水運は主要な交通手段の1つであったが、日本では河川が急流であり川幅も狭く、季節による流量の変化も大きく、四方を海に囲まれているため海運が発達したこと、また、日本が近代化を迎えた時には既に鉄道が開発されていたこともあって、ヨーロッパ諸国程の水運の発展は見られなかった。明治期には利根川や信濃川等の大きな河川に蒸気船が就航し、河川交通の改善が図られたものの、鉄道の敷設が進むと速やかにそれにとって代わられ、明治時代末には船舶による河川交通は衰退した。現在では、アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国においても、船舶の大型化や鉄道・トラック輸送との競合により河川水運の重要性は低下しているが、それでも重量の重いものや危険物等には優位性があり、河川水運は主要な輸送手段の1つとなっている。また、河川水運は道路や鉄道に比べ、環境に掛かる負担が非常に低く、そのため、特にヨーロッパにおいては見直される傾向にある。河川は、水運によって両岸を結び付ける働きもあるものの、渡し船や橋といった手段がない限り、川を越えることは難しい。このため、古くから川は、境界としての役割を持っていた。現代においても、河川を国境とする国々は多い。日本においても、千葉県と隣接各県のように、河川を境界とする自治体は多く存在する。この場合、河川の中央線が国境線となることが多い。しかし、河川は洪水等によって流路変更をすることも多く、山岳国境に比べて安定した境界とは言えない。そのため、流路変更した河川を巡って、国境紛争が起きることもある。逆に、アメリカ合衆国とメキシコ合衆国の国境線はリオグランデ川(アメリカ合衆国西部のコロラド州から流れ出し、北アメリカ大陸南東部とメキシコ合衆国北東部に挟まれた湾、メキシコ湾へ注ぐ川)と定められているが、1906(明治39)年に、人為的に川がショートカットされた結果、南岸にアメリカ合衆国領の飛び地ができ、そして、飛び地であることが忘れ去られてしまい、メキシコ合衆国の施政下に置かれ、リオ・リコという街がメキシコ施政下で建設された、という事件もあった。1970(昭和45)年、この事実が再発見され、この本来はアメリカ合衆国領であった地区は、メキシコ合衆国に正式に割譲された。川には、様々な特有の生物相がある。上流域は起伏に富み、流速が激しいため溶存酸素量も多く、水温が低く、貧栄養であり、このような区域を渓流という。渓流では、水生の大型植物は少なく、岩の表面に多数の珪藻が付着している。動物では、体長約11cm程度から約14cm程度で、トガリネズミ科カワネズミ属のカワネズミ等の哺乳類、ヤマセミやカワガラス等の鳥類、アマゴやイワナに代表される渓流性の魚類、カワゲラやカゲロウといった、幼虫が水生昆虫である昆虫類が非常に豊富である。中流域では、河原が広く、水流は遅いものの、川底は小石が露出している。このような区域では、河原にはヤナギのような樹木を含む特有の植物群が発達し、川底には珪藻が付着する。動物では、カワセミ等の鳥類、アユやオイカワ等の魚類、それにカワゲラ、カゲロウ等の水生昆虫が多数生息する。下流域では流れは遅く、川底は砂泥質となる。川沿いには、ヨシやマコモ等の水生植物が茂る。動物では、アオサギやコサギ等が水辺に住み、ヨシ原には小鳥が住み着き、カモやシギ等の渡り鳥が立寄る場となる。また、フナやコイ等、止水と共通の魚や、河口ではボラ等、海水と淡水が混在した汽水性の魚が入り込む。シラウオ等も、下流から河口域の魚である。昆虫では、泥質の川底には、ユスリカ(成虫は、蚊によく似た大きさや姿をしているが、刺すことはない)等が住み、魚の餌として重要な役割を果たす。また、サメ等、本来海に生息する筈の魚が現れることもある。底生動物の中で、昆虫が大きな比重を占めるのは、河川の大きな特徴となっている。これらは、採集、同定(種名を調べる行為)が比較的簡単である上、富栄養化の状態や汚染によって大きく影響を受け、その種組成がはっきりと変化することが知られているため、環境調査の上で重要な役割を果たしている。