12月2日 記念日 その1 | スズメの北摂三島情報局

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2011/08/02 リニューアル
2019/07/14 アメブロ移動
柴犬ハルがお伝えします

西暦(グレゴリオ暦)AD2023年 令和5年 平成35年 
昭和98年 大正112年 明治156年 皇紀2683年 干支 癸卯(みずのと う)
第1土曜日 旧暦 10月20日、大安(甲午)、月齢 18.7  
グレゴリオ暦で年始から336日目、年末まであと29日。
誕生花 シラネリア・ヘリコニア・コケ。

二十四節気・雑節等 
橘始めて黄ばむ。
七十二候の1つ(60候)。 
 
原子炉の日。
1942(昭和17)年12月2日、アメリカ合衆国中西部、イリノイ州シカゴ市にある研究型私立大学、シカゴ大学に設置された実験用小型原子炉「シカゴ・パイル1号(CP-1)」でウランの核分裂の持続的な連鎖反応に成功した。「シカゴ・パイル1号」は、原子爆弾材料のプルトニウム239生成用原子炉を設計するための実験炉として開発された。この「シカゴ・パイル1号」の成果を元に建造された原子炉で生成したプルトニウムは1945(昭和20)年8月9日、長崎市に投下された原子爆弾に利用され、約74,000名の市民が死亡、約75,000名が重軽傷を負い、長崎市街は壊滅した。指導に当ったのは、イタリアから亡命した物理学者エンリコ・フェルミで、後にマンハッタン計画(枢軸国の原子爆弾開発に焦ったアメリカ、イギリス、カナダが原子爆弾開発・製造のために、科学者、技術者を総動員した計画)に参加した。原子炉とは、制御された核分裂連鎖反応を維持することができるよう核燃料等を配置した装置である。ウラン235やプルトニウム239等の核分裂性物質が中性子を吸収することで発生する核分裂反応は、新たに中性子、即ち即発中性子と遅発中性子を放出する。これら中性子は、平均約2MeV(電子ボルト、記号:eVは、エネルギーの単位の1つで、光子や電子、原子等の持つエネルギーを表わす際に広く利用される)のエネルギーを持っているが、媒質中にまだ核分裂性物質が存在していれば、中性子はそれらとまた核分裂反応を起こして、また新たな中性子を放出する。この過程は次々と繰返され、いわゆる連鎖反応、即ち核分裂連鎖反応を起こす。この核分裂連鎖反応を極めて短時間の内に行なわせ、膨大なエネルギーを瞬時に放出させるものが原子爆弾であり、核分裂連鎖反応を制御した形で発生させることで、核分裂のエネルギー等を安全に取出すための装置を原子炉と呼ぶ。燃料物質の量が多く、そこを飛び交う中性子の数が多い程、核分裂反応の起こる確率は高くなるため、一定量を超えると核分裂が複数の核分裂を引起こし、指数的に核分裂が増えていく連鎖反応が発生する。そこで、中性子を吸収する制御棒を使い、中性子を減らして核分裂の増加を制御することで、一定量の核分裂を継続的に行なうことが可能になる。この継続的な核分裂によって生まれた熱エネルギーを、水を気化させてタービンを回す等の方法で利用する。減速材に軽水(普通の水)を用いる原子炉を軽水炉という。水は安価で大量に入手でき、高速中性子の減速能力が大きく、冷却材を兼ねることもできる。しかし、中性子吸収量が大きいため、運転に必要な余剰反応度(運転開始時に原子炉が持っている反応度[原子炉が臨界状態からずれている程度を示すの量])を確保するには、濃縮ウランを燃料とする必要がある。軽水炉はアメリカで開発され、小型大出力で、出力当たりプラント建設費が安価であり、核兵器の製造に適さない(核拡散防止に有利)こと等から現在、世界の80%以上のシェアを占めている。また、日本で商用稼動している原子力発電所は、全て軽水炉である。日本では、第二次世界大戦後に軽水炉による原子力発電が導入されることが決まり、自主開発と海外(主にアメリカ)からの技術導入の2つの方針が採られた。電力会社による商用炉については、加圧水型原子炉(軽水減速軽水冷却圧力容器型加圧水炉、PWR)と沸騰水型原子炉(軽水減速軽水冷却圧力容器型沸騰水炉、BWR)の併用による海外技術の導入と決まり、電力会社・プラントメーカー・サポートする大学の組合わせは、加圧水型原子炉(軽水減速軽水冷却圧力容器型加圧水炉、PWR)が関西電力、三菱重工業、 京都大学、沸騰水型原子炉(軽水減速軽水冷却圧力容器型沸騰水炉、BWR)が東京電力、日立製作所・東芝、東京大学となっている。この枠組みは現在でも変わらず、後年原子力発電に取組んだ電力各社も、このどちらかのグループに従っている。加圧水型原子炉(PWR)は、核分裂反応によって生じた熱エネルギーで、一次冷却材である加圧水(圧力の高い軽水)を300℃以上に熱し、一次冷却材を蒸気発生器に通し、そこにおいて発生した二次冷却材の軽水の高温高圧蒸気により、タービン発電機を回す方式である。発電炉として、原子力発電所の大型プラントの他、原子力潜水艦、原子力空母等の小型プラントにも用いられる。一次冷却系と二次冷却系という分離された冷却系を有する原子炉では、放射性物質を一次冷却系に閉じ込めることができる為、沸騰水型原子炉(BWR)のようにタービン建屋を遮蔽する必要が無く、タービン・復水器が汚染されにくいため、保守時の安全性でも有利である。ただ、蒸気発生器という沸騰水型原子炉にはない複雑に配管が絡み合った熱交換器や、必然的に増えるポンプや配管類の保守性や安全性は、別に考慮されるべきである。実際に、蒸気発生器のトラブルは過去に頻発しており、近年に事故があまり起こらないのは、保守担当者の労力に拠っている。沸騰水型原子炉(BWR)でもほぼ同様であるが、加圧水の炉心出口温度を上げることでより、高い熱効率を得ることができるが、主に、燃料棒の金属被覆ジルコニウムの温度に対する脆弱性の問題で、あまり高温にすることができない為に、火力発電所では常識となった超臨界水を熱媒体として使用することはできない。沸騰水型原子炉(PWR)では加圧水型原子炉(BWR)に比べ、2つの冷却系間における熱交換ロスがないので、経済性では優位と言える。一次冷却材漏洩減少時や喪失時には非常用炉心冷却装置(緊急炉心冷却装置、ECCS)を作動させる。外部からの即時制御は、制御棒によって行なわれる。殆どの加圧水型原子炉(BWR)では、制御棒が上部から圧力容器を貫いて炉心へ挿入される設計が採られており、また、制御棒の駆動機構が故障する等の非常時には、駆動機構から制御棒を切離し、自由落下によって制御棒が炉心に挿入できるようにもなっている。このため、制御棒が格納容器の下部から入れられる設計の沸騰水型原子炉(PWR)で頻繁に発生して問題となっている制御棒の抜け落ち事故は起こり得ない。制御棒は最も重要な安全装置であり、必要な時に制御棒が炉心から抜け落ちている事態は絶対に避けなければならない。事故発生時に冷却系を停止した後の炉心の冷却は、制御棒が炉心に挿入されていることを前提に事故対応が計画されており、炉心が全力で核エネルギーを開放している場合は、非常用炉心冷却装置(ECCS)による放熱や炉心と一次冷却水の熱容量だけではすぐに限界を迎える。この点で、加圧水型原子炉(PWR)は沸騰水型原子炉(BWR)に対して優位であるが、何らかの不具合で制御棒が挿入できない場合には、同じように危険である。日本の商用炉においては、北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力各社の全原子力発電所、及び日本原子力発電の敦賀発電所の2号機(1号機は沸騰水型)で、加圧水型が採用されている。沸騰水型原子炉(BWR)は、純度の高い水が減速材と一次冷却材を兼ねる軽水炉の一種である。核分裂反応によって生じた熱エネルギーで軽水を沸騰させ、高温・高圧の蒸気として取出す原子炉であり、発電炉として広く用いられている。炉心で取出された汽水混合流の蒸気は、汽水分離器、蒸気乾燥機を経てタービン発電機に送られ、電力を生ずる。