CH ラグランジュ詳解 その4
シャトー・ラグランジュ その4
Chateau Lagrange
3 級 PP3級
AOC Saint Julien Beychevelle
1983年にサントリーが取得(9億円)してから、金に糸目をつけず改良を加え、畑には素焼きの土管を埋め、排水設備の整備まで行った。
荒廃したシャトー立て直しのための出費がかさみ、1996年まで赤字だったとか。ラグランジュ取得にあたっては、フランス国内で大いなる反対があったとか。曰く「東洋の野蛮なイエーロー・モンキーごときにボルドーのワインが判るのか」と。一寸待ってください。高級ボルドー・ワインの購入先はどこですか。アメリカや日本では?今は中国?
ともあれ、広大な敷地をもつシャトーを購入できる者は限られ、結果的にサントリーが取得できたのですが、現地フランス人の雇用策を打ち出したり、地元文化尊重策等々の努力もあり現在は厚遇されているとか。1984年には当時のサントリー社長佐治敬三氏がメドック・グラーヴ・ポンタン騎士団の正会員に認められています。
当時ボルドー大学でワイン醸造研究所長で醸造学者故エミール・ペイノー博士のコンサルタントや、総責任者に迎えたペイノー教授の門下生マルセル・デュカス、責任者故鈴田健二の努力に負ったところが大きかったようです。
植栽比率は、カベルネ・ソーヴィニョンの比率を高めていくことになりますが、この点は植栽されていない広大な畑があったため、かえって好都合だったのかもしれません。
剪定と収穫量の制限し葡萄の品質を高め、1983年のヴィンテージからセカンドラベルであるレ・フィエフ・ド・ラグランジュを導入し、農薬散布を減少させ、リュット・レゾネ(減農薬農法)の認証も得、葡萄樹の根元にはカバークロップを植えている様です。醸造設備についても大幅に改良を加え、最新式の温度コントロール装置付ステンレス発酵タンクを数多く揃え、品種ごと、区画ごとに醸造することができる体制を造ったとされていますが、更新時期となり2008年から小さな区画に対応できる100ヘクトリットル、90ヘクトリットルの発酵タンク計177基を稼働させたようです。
「これまでは220ヘクトリットルの発酵タンクを使っていた。1985年以降、新たに植えたセカンドワインのレ・フィエフ・ド・ラグランジュが育たないうちは、それでもよかった。20年以上がたって、区画ごとの個性がでてきたので、一緒に仕込むのはもったいない。ロットを小さくする必要がある。来年もこのペースで、60~80ヘクトリットルのタンクを15~17基入れます」発酵用のステンレスタンクは1基5000~6000万円するそうです。トータル的に、畑から醸造施設、そして庭園や館に至るまでに大幅な改革が進められていますが、投資額は当初の購入額の3倍くらいであろうと言われている様です。
責任者は鈴田健二氏から、椎名敬一氏へ引き継がれたようですが、前任者故鈴田健二氏の「シャトー改革は世代をまたぐ仕事。一代で成果を見届けるのは難しい」という言葉が残されています
レ・フィエフ・ド・ラグランジュ
Les Fiefs de Lagrange
AOC Saint Julien Beychevelle
畑 面 積 118ha
植栽密度 8,700本/ha~10,000本/ha
収 穫 手摘み
発 酵 ステンレスタンク、15日~25日
樽 熟 成 13ケ月
新 樽 率 25%
アッサンブラージュ
2000年 カベソー64% メルロー26% プティ・ヴェ10%
2001年 カベソー75% メルロー21% プティ・ヴェ 4%
2002年 カベソー73% メルロー27%
2003年 カベソー80% メルロー20%
2004年 カベソー72% メルロー23% プティ・ヴェ 5%
2005年 カベソー75% メルロー23% プティ・ヴェ 2%
2006年 カベソー46% メルロー42% プティ・ヴェ12%
2007年 カベソー54% メルロー39% プティ・ヴェ 7%
2008年 カベソー57% メルロー29% プティ・ヴェ14%
2009年 カベソー57% メルロー35% プティ・ヴェ 8%
2010年 カベソー60% メルロー31% プティ・ヴェ 9%
2011年 カベソー60% メルロー31% プティ・ヴェ 6%
2014年 カベソー52% メルロー41% プティ・ヴェ 7%
2015年 カベソー55% メルロー41% プティ・ヴェ 4%
2016年 カベソー55% メルロー41% プティ・ヴェ 4%
2017年 カベソー47% メルロー50% プティ・ヴェ 3%
2018年 カベソー51% メルロー44% プティ・ヴェ 5%
2019年 カベソー53% メルロー44% プティ・ヴェ 3%
2020年 カベソー47% メルロー44% プティ・ヴェ 9%
2021年 カベソー40% メルロー52% プティ・ヴェ 8%
2022年 カベソー48% メルロー41% プティ・ヴェ11%
○ 2010年 PP89~PP91 Neal Martin, RobertParker.com, May 2011
ブラックベリー、ブライアリー、紅茶のタッチが非常に細かい香りです。良い定義と純度。プティヴェルドはこのワインに少しエッジの効いたものを加え、飽和した少し歯ごたえのあるフィニッシュに少し長さが欠けている場合、細かいテンションがあります。しかし、非常に優れた純度と精度。
○ 2016年 PP90~PP92 Neal Martin, Wine Advocate ♯230 Apr 2017
2016年のレ・フィフ・ド・ラグランジュは、現在35年の歴史を持つブドウの木から造られており、20%の新樽で熟成しています。特にドゥシエムヴァンにとって、純粋なブラックチェリー、クレームドカシス、砕いたスミレを備えた非常に強烈なブーケがあります。口当たりはミディアムボディで、さわやかな酸味があり、口の中でかなり緊張し、生きる喜びに満ちています。Les Fiefsで間違いを犯すことはできませんし、リリースされると大きな価値になるに違いありません。
○ 2018年 PP90~PP92 Lisa Perrotti-Brown Wine Advocate
フルボディの口当たりは豊かで、しっかりとした粒状のタンニンと長い仕上がりで、果物が詰まっています.
○ 2019年 VP88~VP90 Neal Martin Vinous.com Jun 2020
2019年 Les Fiefs de Lagrange は非常に人気のあるセカンドレーベルであり、この最新リリースはその理由を示しています。 カリカリのブラックベリーとラズベリーの果実がたくさん鼻を飾ります。 うるさいですが、それは仕事をします。 味わいは、しなやかなタンニン、杉とクローブを織り交ぜたさわやかなブラックベリーと非常によくバランスが取れており、フィニッシュには黒胡椒のタッチがあります。 今後6年〜8年間これを楽しんでください。
○ 2019年 VP90 Neal Martin Vinous.com Feb 2022
調和のとれた感じで、真っ赤な果実、下草、そして巻きたてのタバコの鼻にかみ合います。味わいはミディアムボディでしなやかなタンニンで、ドゥシエム・ヴァンにしてはかなり重厚で口いっぱいで、フィニッシュに満足のいくサピッドさを提供します。とても細かいです。
〇 2020年 VP89~VP91 Neal Martin Vinous.com May 2021
2020年 Les Fiefs de Lagrangeには、ブラックベリー、ボイセンベリー、砕石、薄紫色の花びらの香りの熟した、はっきりとしたブーケを持っています。ここで良い焦点。味わいはミディアムボディで、しなやかなタンニン、酸味のある細かいビーズ、美しいバランス、魅力的で肉厚でかなり塩味の良いフィニッシュがあります。これは大きな価値を表すと確信しています。
○ 2021年 PP89~PP91 William Kelley Wine Advocate Apr 2022
シャトーの生産量の約61%を占める2021年 Les Fiefs de Lagrange は、カシス、プラム、タバコの葉、そしてうまく統合されたオークの魅力的なアロマを提供します。ミディアムボディからフルボディ、豊富で魅力的な、それはリリース時によく飲むしなやかでシームレスなワインです。
〇 2021年 VP87~VP89 Neal Martin Vinous.com May 2022
2021年 Les Fiefs de Lagrangeには、主に赤い果実、小さなローム、杉の軽いがはっきりとした花束があります。味わいはミディアムボディで、しなやかなタンニンとのバランスが取れています。のんびりしながらもなめらかなドゥシエム・ヴァンは、幅広い魅力を持つはずです。
〇 2021年 VP89~VP91 Antonio Galloni Vinous.com May 2022
2021年 Les Fiefs de Lagrange は、素晴らしいセカンドワインです。ガラスの中で明るく活気に満ちた2021年の毛は、フローラル、ブラッドオレンジ、スパイスのトップノートがアクセントになった赤/紫がかった果実味です。Fiefsは今日絶対においしいです、そして、率直に言って、魅力的です。
価 格 表 Les Fiefs de Lagrange
2000年 £36 2011年 £23
2001年 £21 2012年 £24
2002年 £31 2013年 £23
2003年 £36 2014年 £24
2004年 £18 2015年 £25
2005年 £ 2016年 £25
2006年 £24 2017年 £22
2007年 £20 2018年 £23
2008年 £26 2019年 £19
2009年 £31 2020年 £
2010年 £28 2021年 £
WINE SEARCHER 2021.5.19記
レ・シーニュ・ド・サンジュリアン。
Les Cygnes de Saint julien
AOC Saint Julien Beychevelle
年間生産量 2.4万本
平均樹齢 18年
発酵・マセラシオン ステンレスタンク、3週間
熟 成 樽熟成 6か月
レ・シーニュは白鳥の意で、シャトーのお池にいた白鳥に由来するのですが、2003年にキツネ?に襲われご逝去。暫く、いなかったのですが、2009年あたりに池の大清掃作業時にお池に中島を作って飼いたいとの話が。今は多分優雅な姿が見られるものと。サードと紹介されているようです。
ル・オー・メドック・ド・ラグランジュ
Le Haut Medoc du Lagrange
AOC Haut Medoc
名称変更
パグス・ド・ラグランジュ
Pagus de Lagrange
畑 面 積 13ha SaintLaurentMédoc and CussacFortMédoc
年間生産量 12万本
平均樹齢 30年
収 獲 手摘み&機械
樽 熟 成 14か月
ファースト・リリース 2012年ヴィンテージ
アッサンブラージュ
2012年 カベソー70% メルロー30%
2016年 カベソー60% メルロー40%
2018年 カベソー60% メルロー40%
2019年 カベソー67% メルロー33%
価 格 Pagus de Lagrange Le Haut Medoc du Lagrange
2012年 £11
2013年 £11
2014年 £13
2015年 £15
2016年 £12
2018年 £14
2019年 £ 9 WINE SEARCHER 2021.10.20記
レ・ザルム・ド・ラグランジュ
Les Arums de Lagrange
AOC Bordeaux
シャトー・ラグランジュ詳解 その1 1982年~2009年 詳解はこちら
シャトー・ラグランジュ詳解 その2 2010年~2019年 詳解はこちら
シャトー・ラグランジュ詳解 その3 2020年~ 詳解はこちら
シャトー・ラグランジュ詳解 その4 詳解はこちら
Les Fiefs de Lagrange 等
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