大きなスクリーンで映画を観ようよ!

 ブラジルの歌姫マリーザ・モンチが、1940年代から50年代に作られながらも録音されたことがないサンバを後世に残そうと、歴史の波に消えた名曲を集め『Tudo Azul』というアルバムを作りました。

 その制作過程で出会ったミュージシャンたちとのインタビューや音楽をまとめたのが、この映画です。

 サンバといえば絢爛豪華な衣装と山車のイメージが強いのですが、その原点は日常的な愛の歌だったのです。はかない恋や燃える思いを伝える歌詞、そしてその音楽と共に生きる人たち。

 サンバってこういうものだったんだ!という発見が沢山ありました。

2008年 / ブラジル / 88分 / ポルトガル語
監督: カロリーナ・ジャボール、ルラ・ブアルキ・デ・オランダ
大きなスクリーンで映画を観ようよ!

 昨年12月に歌舞伎座のさよなら公演で上演された作品が、シネマ歌舞伎として映画館で見られるようになりました。

 作・演出が宮藤官九郎、出演は市川染五郎をはじめとした豪華な顔ぶれ、どんな作品になってるのかなぁと楽しみにして行きました。

 江戸の町に大量に表れた存鼻(ゾンビ)を、退治するのではなく、上手く共存できないかとアイデアをめぐらせ、人材派遣業を始めてしまう半助さんが主人公です。

 年増の遊女やカッコ付けてばっかりの浪人やら、悪徳坊主やら、色んな変な人が沢山出てくるので、ゾンビの方がよっぽどまともに見えてきたりするところもあって。

 いろんな見どころ満載ですが、歌舞伎らしさもちゃんと押さえてあって、メチャクチャ面白かったですよ~!こういう作品も作れてしまう所が歌舞伎の懐の広さなのでしょうか?

 考えてみれば、歌も踊りも特殊メイクも歌舞伎の得意技ですもんね、とはいえヒップホップまで出てきちゃうところにはビックリです!

 笑いの中にも真面目なメッセージが込められていました。ただ生きているだけの人間は、魂を無くしたゾンビよりつまらないよね~!

 この映画は東劇で見たのですが、年末に同劇場で封切られる「ムサシ」も面白そう!舞台って見られる場所も限られてるし、チケットも高いでしょ。映画という形にして、より多くの人に見てもらえるようにするって、いいアイデアだと思うなぁ。

 それと「MET ライブビューイング」というオペラを映画館で見ようという企画にも興味津々!「ニーベルングの指輪」を観たいです~!
大きなスクリーンで映画を観ようよ!

 お母さんが亡くなって、残されたのは兄妹3人と、猫の「センセー」と、母親の母親である「ばーちゃん」。

 英語がまるで分らないばーちゃんとどうコミュニケーションを取っていいのかわからずに悩む3兄妹、彼ら自身にもそれぞれに悩みや問題があるんです。

 モーリー君が作るスカートの柄が可愛くってウフフだし、ばーちゃんが作る餃子が美味しそうだし、オタクなレイ君の髭の剃り方とか、勝気だけど家族思いなリサのエアーギターとか、一つ一つは小さなものなんだけど、それが集まることによって、不思議な空気が生まれていました。

 かもめ食堂 とはまた違う世界だけど、どこか似ている暖かくて、おだやかで、ちょっと変なところが、この映画の魅力なんだと思います。

 モーリー君が引っ張り出したお母さんの形見のミシン、古いシンガーなんですけど、これに魅了されてしまうモーリー君の気持ちよく分かるなぁ。子供の頃にお母さんに作ってもらった服の思い出、こういう思い出を持っている彼は幸せですよね。

 レイ君の同僚のインド人青年、彼もなかなかいい味出してましたね。

 心がトゲトゲしちゃったら、是非この映画でゆったりした気持ちになってくださいね。


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 この映画の原題 "Mao's Last Dancer" が表す通り、この映画のは、国策としてバレエ・ダンサーになるべく英才教育を受けることになった少年リー・ツンシンの物語です。

 11歳で故郷を離れ、たった一人で北京へと旅立つことになったリーの為に、夜なべで布団を縫ってくれた母。毎日真面目に働く父。貧しいけれど仲の良い兄弟。家族の事を思いながら、彼はつらい練習に耐えたのでした。

 練習が続く毎日の中で、バレエに対する気持ちがどうにも湧いてこないリーは、自分を叱咤する教官に食って掛かったりしてしまいます。そんな彼にいつも優しく接してくれるチェン先生から渡されたビデオを見て、彼はビックリしてしまったのです。バレエってこんなに素晴らしいものだったんだ!

 そのビデオに映っていたのは、あのミハイル・バリシニコフ!リーが在籍していた学校では、「あんな亡命したダンサーは評価外だ」ということで、公式にはこのビデオを見ていなかったようです。チェン先生は、本当に素晴らしいものを見なさいという気持ちを込めて、このビデオを渡してくれたのでしょうね。

 青年になってからのリーを演じたツァオ・チーは本当に素晴らしいです!中国に残してきた家族のことと、自由に踊りたいという気持ちの狭間で悩みつつも、強い気持ちをもってバレエに取り組む姿はとてもすてきでした。

 それに、何と言ってもバレエが素晴らしい!普段はどうしても女性ダンサーが目立つことが多いバレエなのですが、男性ダンサーを中心にした視点でバレエを見るって、新鮮な発見が沢山ありました。その中でも 「春の祭典」のシーンは特に印象に残りました。

 文化大革命の時代に生まれたリーは、アメリカは悪だと教えられて育っていました。でも、自分の目で見たアメリカは自由にあふれていました。それを知ってしまった彼は、もう戻れなくなってしまったんです。

 どんなにバレエが上手くなっても、中国に帰って踊るのは国策の政治的な物ばかり、白鳥の湖やジゼルのような美しいものを踊れない国へなんか帰りたくないという気持ちになっても不思議ないなぁと思いました。

 アメリカに亡命することになるリーを助けてくれる弁護士を演じていたのが、カイル・マクラクランだったのは嬉しかったなぁ。

 ダンスに興味ある方なら、是非とも観てください!とってもいい映画でした!

原題: Mao's Last Dancer
監督:ブルース・ベレスフォード
製作:ジェーン・スコット
脚本:ジャン・サーディ
製作国:2009年オーストラリア
上映時間:117分
配給:ヘキサゴン

大きなスクリーンで映画を観ようよ!
左側が主演のツァオ・チーさん、右側がリー・ツンシンさんご本人です。
大きなスクリーンで映画を観ようよ!

 朝の7時半から午後3時半まで「安らぎ霊園」で働き、夕方からはスター女優の家で家政婦をしているルイーサ。時計のようにきっちりと時間を守り、楽しみと言えば愛猫のディノと遊ぶ事だけという実に地味な毎日を送る彼女に、ある日突然不幸が束でやって来てしまったのです。

 朝起きたらディノが死んでいて、どうしたらいいのか分からないままに職場へ行けば、社長に今日でクビだと言われてしまい、女優の家へ行ったら、引っ越すからあなたはもう来なくていいと言われてしまったルイーサ。

 彼女にとって大事なものが1日にしてすべて無くなってしまったのです。仕事もないし、お金もないし、家族も友達もなんにもないってことに気付いてしまったルイーサ。

 町に出てみれば、仕事がない人がそれはそれは沢山いることに気付きます。地下鉄の通路はもちろん、地下鉄の車両の中にまで物売りや物乞いが大勢いて、彼らの真似をすれば自分だってお金を稼げるんじゃないかと思った彼女は、さっそく自分もやってみたんです。

 ルイーサの真面目さは、実は孤独や悲しさを忘れるためのものだったのかもしれません。何も考えずに、時間が来たら決まったことをするというパターンに自分を押し込めて、辛さを思い出さないようにしていたんじゃないかなぁ?

 いつも一人で無表情で食事をしていたルイーサが、初めて友達と2人で食事をしているシーンで、その笑顔は全く別人のようでした。

 人間にとって一番辛いことは、お金や仕事がないことよりも、心を開ける家族や友達がいないって事なんだなぁってルイーサの姿を見ていて思いました。

 あるパターンにはまった生活はとっても楽なんだけど、何かイレギュラーな事が起きるからこそ人生は楽しいんだって事を忘れちゃっていると、限りなく退屈な生活になってしまいます。

 そんなことは自分にはムリだって決めているのは、実は自分自身なんです。自分で勝手に線を引いてしまって、その中だけで生きて行こうとするから、結局何もできなくなってしまいます。

 昨日までと違う一歩を踏み出せるかどうかが、人生を楽しいものに出来るか否かの分岐点なんだと思います。そう、その小さな一歩を、ルイーサは歩み始めたんですよね。