Uさんはスポーツマンでした。
なかなか体格に恵まれていたし、見た目も女性をひきつける何かがありました。
Uさんを交えて話をするとき、スポーツの話はそこそこ盛り上がります。
女性が持ち上げる際によく振った話といえば、
彼が工場で仕事をしていたこともあり、体格の話が良く出ました。
工場部門の人からすると、
高学歴な技術開発部等から勝てるものといえば、
体力・筋力・機械の癖を知ってる
などが主らしく、
そこを持ち上げるととてもテンションが上がるようで・・・
くだらないようですが、当人らにとってはそんな小さな勝ち負けが結構重要らしいです。
正直、その話は私には難しく感じたというか、上手い返しが思いつかなかったというか、
得意ではありませんでしたが・・・
そんな話も潤滑油として使っていたわけです。
そして、Uさんもまた、学歴にはコンプレックスを持っているようでした。
その手の話題には、私は下手にふれないほうがいい立ち居地でしたので、
特に、気を使っていました。
あるとき、
スポーツの話からウェイトトレーニングの話が出たとき、
同じくスポーツ好きの先輩が話を盛り上げました。
一応、私も話を広げるわけですね。
あまり大勢でワイワイ離すのが得意でない彼も、一応、スポーツの話なら、
といった感じで会話には加わっていました。
そこへ、ふらふら顔を出すのが日課になっていたGさんが登場。
UさんとGさんはそれほど相性が良くは無かったのですが、
この頃から、異常に悪くなってきていました。
GさんはUさんとは外見的にも対照的でした。
性格的なタイプとしては似ていましたが、
硬派系であるUさんと、その点も、色々と噂のあるGさんは逆であるという印象でした。
ただ、互いに女性との会話は苦手でしたけど・・・
話が盛り上がっているUさんとGさんが鉢合わせる・・・
何か、変な空気が流れます。
(こんなに仲悪かったっけ?)
と思わせるほど。
とりあえず、互いに業務上の話は普通にしましたけど・・・
明らかに、声の調子も言い方も、変。
(何があったか知らないけど、Gさん大人気ないな・・・)
就業後、玄関にてUさんと鉢合わせました。
おつかれさまです、と挨拶、一礼。
「今日は、盛り上がりましたね。会社のサークル、入ればいいのに。」
『いや・・・それは。』
「そうですか。・・・今日もジム行くんですか?」
『今日は、無いです』
「そうですか。お仕事も肉体労働なのに、私にはできないです。苦手なんで。」
『リフレッシュになりますよ。』
「なるほど。」
『単純だけど、力瘤とか、あればそれなりに自慢したくなっちゃうもんなんですよね』
といって、力コブを作るフリをしました。
私は笑いながら腕を触りました。
「うわっ。」
思っていたより、すんごい力コブでした。
「本当に鍛えてるんですね。」
『飽きっぽいけど、コツコツするのは得意です。』
「難しいですね・・・」
Gさんがそこに現われました。
むすっとした顔で、会釈し、そのまま帰っていきました。
でも、
そのときの得意げなUさんの表情が気になりました。
馬鹿な私。
(というか、今となっては、そんなお二人が子供っぽいとしか思えないけど)
そのやり取りで、人はどこまで気づくものでしょうか・・??
私は、単に、Gさんの機嫌が悪いために、態度が悪い、
(この会社は、そういう人、多いんです)
としか思っていませんでした。
UさんとGさん、それまでは
意見の合うタイプではない
程度だった二人。
必要なとき以外は接触しなきゃいいだけの話でしたが、
これが、すれ違うだけでピリピリしあう関係になった、何か、があったのです。