コロナ自粛期間中に ご依頼のあった時計修理を振り返ります | 路地裏の骨董カフェ

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アートとふるもの好きが嵩じて、明治、大正、昭和初期のインテリアや雑貨を取り扱う古物商を始めました。また、古時計や蓄音機などを中心に修理・調整をしています。
引き続き情報交換をお願い致します。

3月から4月は、ご依頼の時計修理がありがたいことに続きました。
ネットなどをご覧になった方から色々なご縁でショップやインスタ経由でお声掛けを頂き、色々な時計を修理させて頂きました。
まずは、お部屋の雰囲気に合う時計をご希望とのことで、手持ちの2台を修理し、いずれか選んで頂きました。ともに縦が40cm前後の小ぶりな時計です。


手前が、戦後の愛知時計で、後ろが戦前の鶴巻時計店栄工舎のナチュラル調の頭丸の時計です。
ともに、オーバーホールしました。





どちらにするかとても悩まれましたが、最終的にはアール・デコ調の愛知時計を選ばれました。
お部屋に合う色の時計がご希望でしたので、無事お手元にお届け出来て安心いたしました。

続いて、購入されてインテリアにしていた外国製の目覚まし時計の修理のご依頼です。

下が修理後の写真ですが、右がイギリスのSmith社製、左がアメリカwestclox社製の目覚まし時計です。
ともに戦後頃の製品と思われます。


イギリスのスミス社はオーバーホールできましたが、westclox社は、針の締めがきつくてオーバーホールは断念。


westclox社の方は、ゼンマイが末端で切れていましたので、再加工しました。ゼンマイ部分のみ外して分解ができましたので、幸いでした。


蛍光塗料部分が残念ながら一部欠損していましたので、蓄光レジンで修復しました。
デザインがとても可愛い時計ですので、こちらも無事修理・復活できて安心しました。

さらに、精工舎の本打ち掛け時計とユンハンスのトーマス型の丸時計の修理です。
ともに、オーバーホールはご希望ではなく、動くように調整して欲しいとの事でした。

精工舎の掛け時計は、足が歪んだため、歯車が棒鈴の鋳物の台に接触していました。
ゼンマイを巻く時に、強く押したのが原因と思われます。


足の傾きを立て目に調整し、木ネジが緩まないように、パテで穴埋めして機械を取り付けました。


ユンハンスの丸時計は、振りペラが折れていました。これは、部品を交換しました。




最後は、戦後昭和20〜27年の間に輸出用に作られた、オキュパイドジャパンの置き時計です。
暖炉の上に置く、いわゆるマントル時計と呼ばれる大型の置き時計です。メーカーは愛知時計です。こちらも整備をお約束していました。
下は、オーバーホール完了後の写真です。





元気にカチコチ時を刻んでいます。
やはり愛知時計は、戦前・戦後に渡って、デザインのおしゃれな時計が多い印象です。もちろん機械も劣化はなく、整備すれば、実用で使えます。

修理には、手間も時間もかかります。調整はもちろん劣化した部品の交換をした時計もあります。
元気に動く時計から、私も元気をもらっている思いがします。
連休までに、商品として修理した時計がまだありますが、現在稼働を見守っている時計もあり、もうすぐ完成しそうです。詳細は、また次にアップしますね。