大晦日も時計を修理しながらの年越しです | 路地裏の骨董カフェ

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アートとふるもの好きが嵩じて、明治、大正、昭和初期のインテリアや雑貨を取り扱う古物商を始めました。また、古時計や蓄音機などを中心に修理・調整をしています。
引き続き情報交換をお願い致します。

いよいよ今年も残すところあと数時間です。
家族皆んな元気で、平穏無事に一年が過ぎようとしていることに感謝しつつ、大晦日も時計を修理しながら、年越しです。
状態のとてもいいイングラハムの八角時計を倉庫から出してメンテナンスしています。


詳しく年代を調べていませんが、おそらく明治期のものと思われますが、金彩がとても綺麗に残っています。機械の状態も良さそうです。


不具合が一つ、振り竿についてるペラが折れています。このままでは、振り子が下げられない。
振りベラを継ぎ足すか、あるいは加工して作るかの選択です。
時計がいい状態ですので別の部品を継ぐのではなく、オリジナルの振り竿を叩いてペラを作る事としました。


加工後の写真ですが、根元を叩いて広げてペラの薄さに仕上げました。リューターで形を整えて穴あけをしました。1cm近く短くなりましたので、振り子は、長くして再調整が必要です。

機械は分解してオーバーホールしました。
ゼンマイ清掃油引き、ホゾ詰め、磨きといつもの作業です。


積年の汚れと錆を落として、組み上げました。
実用で使われた時期もあったのでしょうが、保管されていた時間も長いように思いました。
時計の箱もさる事ながら、機械も錆はあるものの、状態は良好です。とても100年以上経つ機械とは思えない綺麗なままで残っています。


振り子も元気に振るようになりました。



このまま、時間を追い込みながらしばらく様子を見ることにしました。

さらに、同時並行で、アンソニアの八角掛時計もメンテナンスしています。


実は、入手時の箱の縁は、写真を撮り忘れましたが、ラッカーの金彩塗装で塗りつぶされた状態でした。当時の金彩はイングラハムのように、もっと金属に近い輝きですので、手間ですがラッカー塗装を全て一旦落として元の剥げた状態に戻しています。



また、文字板は白で補修がされています。時代の古い紙コピーの文字板で、黒い影が出た部分を白で補修したようです。
こちらも一旦紙を剥がしてオリジナルの文字板を出して見ましたが、手書きのローマ数字が消えたり塗装が剥げていたりで使えません。
この当時のアンソニア時計は、文字板にマークがないものが多く単にローマ数字のみの文字板がオリジナルのようです。
全ての塗装を落としたのちに、新たにローマ数字の紙文字板を貼って作成しました。
色褪せ加工をして時間はかかりましたが、新しい文字板に修復しました。


箱の状態は散々でしたが、機械の状態は良好のようです。
大晦日は、この機械をメンテナンスしながら年を越したいと思います。


今年一年お付き合い頂き心より感謝申し上げます。
皆さんも良い年をお迎えください。