コロムビア蓄音機 サウンドボックスNo.15の修理 | 路地裏の骨董カフェ

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アートとふるもの好きが嵩じて、明治、大正、昭和初期のインテリアや雑貨を取り扱う古物商を始めました。また、古時計や蓄音機などを中心に修理・調整をしています。
引き続き情報交換をお願い致します。

久々の蓄音機ネタです。
コロムビアのポータブル蓄音機を入手したのですが、No15のサウンドボックスをよく見ると、裏側から分解しようとして、赤ゴムが割れています。
写真では分かりづらいですが、こじ開けようとして途中でやめたので、斜めになっています。
しかも弾力を失って硬化し、崩れ易い状態にもなっています。


もっと酷いケースは、ゴムの部分を無理に引き裂いて分解されたものも見かけます。

このままでは使えず、捨てるのも勿体ないですので、なんとか修復出来ないものか、やってみました。


まずは、裏からトンボと振動板を固定するビスを塗装剥がしを塗布して外したのち、表のトンボやカバー、振動板、ガスケットを外して分解しました。

問題の裏側は、赤ゴムが固着していますので、ビスを外して、硬くなったゴムをパーツクリーナーや556などで溶かしながら外しました。


ヘラで固着した赤ゴムを削ぎおとして洗浄しました。結構、完全に落とすのに根気がいりますが、ここは我慢です。


次に用意したのは、薬品の瓶などに使う赤ゴム栓です。下径が43mmのもの。これ自体は1個が175円とお手頃価格です。これをカッターで必要な厚さに切って加工しました。


ビスの取り付け場所をリューターで掘り下げて、裏側も同様に加工をしました。0.5mm位直径が大きい印象です。
赤ゴム栓が下径40.5mmのもので、42mm位のところを使う位がベストかと思いました。



糊で固着させていませんが、ビスでサンドして固定しました。43mmでは少しきつい感じでしたがはめ込んで固定しました。
表は、ガスケットを虫ゴムに交換して、トンボを取り付けました。




左右のベアリングは、洗浄してグリスを塗布した後、固定しました。
これで、サウンドボックスの修理も一通り完成です。


音は、ビスの締め具合で変化しますので、解像度が少し甘い感じもしますが、赤ゴムの影響があるかどうかは分かりません。

見た目も問題なく実用で使えますので、捨ててしまうよりは、ゴムの削除や部品のリューターで削るなど手間はかかりますが、新たに歌口を入手する前に自前の修復方法としてはありだと思いました。

突然で恐縮ですが、話は変わって前回の続きです。明治期の二つの時計をオーバーホールしていましたが、漸く完成して、現在、時間の追い込みをしています。




慣らしの運転を兼ねていますが、今のところ不具合なく稼働しています。
年末年始は、精力的に時計などの修理をしていきたいと思っています。
時間が出来ましたら、状況をまたアップしますね。
12月は、もう1回アップして、新年を迎えたいと思います。皆さん良いお年をお迎えください。