昭和初期頃の明治時計のレストアの続きです。
この時計は、扉の割れの補修と、機械のオーバーホールは終えたのですが、文字板の劣化が著しいので、新しくスキャンデータから新しい文字盤を作成することにしました。
もう少し白ければ、そのまま使うのですが、日焼けと汚れで、濃い茶色になっているので、ここは交換としました。
スキャンしたてのデータは、色んな汚れや影も拾いますので、極力少ない状態でスキャンして、ペイントで補正して作成しています。
箱に元の様に取り付けて、一通りの作業は終わりました。
ほんのり色褪せ加工をしないと、漂白した白がきつくて古い時計と違和感が出てしまいます。
扉の木の手彫りの飾りがなんともレトロ感を感じさせる時計です。
備品のラベルが箱に残っていて、郵政弘済会の納品の様です。キ197号用時計とありますので、どこかの郵便局で使われていたのではないかと思いますが、詳細は不明です。
こちらの掛時計も、また元気に時を刻みはじめました。近日中にショップの方に上げようと思います。
少し時間差でオーバーホールを始めたのは、以前に入手した精工舎のトーマス型の丸時計です。丸時計は、根強い人気があって、お好きな方も多いようです。
背中に箱を付けた形がグレシャム 型で、箱全体が丸いのがトーマス型です。
まずは、機械のオーバーホールからです。
幸い左右のゼンマイ切れはありませんでしたので、ゼンマイの力を解放させたら、清掃、油引きしました。ホゾも詰めて、調整しました。
この時計の場合は、箱に収めて時間の追い込みをしました。
次は、懸案の文字盤ですが、A3より大きいので、パソコンでスキャンできません。
コピー専門店で、A2サイズでコピーしたものを、修正液とペンで手作業で補正をして、再度A2の大きさにコピーして交換の文字板を作成しました。
こちらも色褪せの加工をして、ブリキの板に貼り付けています。
穴あけして、ハトメをつけてネジ止めをしましたが、ここで問題発生。錆で劣化したネジが半分の位置で折れて穴に残ってしまいました。トホホです。リューターで穴のネジを砕いて除く作業に思いのほか時間がかかりました。
ようやく出口が見えると、並んだ時計を見ながら安堵しています。慣らしで動かしながら様子を見ることにして、こちらも問題がでなければ近日中にショップの方に上げたいと思います。
こんな感じで、作業が遅いので、どんどんという訳にはいきませんが、時間をかけながら一台一台仕上げています。